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第8話 白雪姫が暗殺される!?

 白雪姫が2人の王子に想いを込めて送った2つのリンゴは、無事に王子の元に届きました。名前の宛先も間違っておらず、王子達も白雪姫から送られたリンゴを見て喜びます。これで2人がリンゴを食べれば、彼女の想いは果たされるのです。


「うわー、白雪姫から僕達にプレゼントが届いた。なんて立派なリンゴなんだ!」


「こんな綺麗なリンゴは見たことがない。食べるのが勿体無いよ」


「でも、食べないと腐ってしまう。なら、このリンゴを使って、彼女の大好きなアップルパイを作ってみたらどうだろうか? 白雪姫の喜ぶ顔を思い浮かべれば、こんな立派なリンゴさえも無価値に思えて来る」


「そうだね。白雪姫が喜んでくれるのなら、僕も腕によりをかけてアップルパイを作るよ!」


 こうして、ブタ王子の提案の元、弟王子がプレゼントされてきたリンゴを使って、白雪姫のためにアップルパイを作りました。それを、その日のうちに彼女の元へ届けたのです。さすがの白雪姫もあまりの早さに別のリンゴだと思っていました。


「ああ、弟王子様が私のためにアップルパイを作ってくれるなんて♡ きっとブタ王子は今日の朝に送ったリンゴで眠っているはずよ。数日後に奴を暗殺したら、ようやく弟王子様と正式な婚約が可能になるわ。うふふ、骨の髄までしゃぶり尽くしてあげるんだから……」


 白雪姫は、何の疑いもなく、美味しそうなアップルパイを口に頬張りました。とても美味しく、天にも登るような幸福感を噛み締めていました。お菓子を食べ終わり、手に付いた甘いシロップを舐めとっていると、突然な眠気を感じ取りました。


「ちっ、ちくしょう……。ブタ王子、ブタだけに野生の勘は鋭いようね……。まさか、この私に毒を盛るなんて……」


 なんというブーメラン、白雪姫は自らが仕込んだ毒入りのリンゴによって一週間の眠りに陥ってしまったのです。しかし、さすがは白雪姫、根性を見せて眠る前にダイイングメッセージを残しておいたのです。他の者の目には、白雪姫が暗殺されたように見えました。


「いやああああああああああああああああああああ、私の白雪姫が! 雪ちゃん、しっかりして! いったい何があったというの!?」


 王妃は、死んだようになった白雪姫を抱き抱えて絶望し始めます。美しい姿のまま、呼吸さえもしなくなった白雪姫。その傍らには、彼女の書いたダイイングメッセージが残されていたのです。


『私は、愛する者とのキス以外には目覚めません。汚らわしいブタが容易に近付けないように、無菌室で保管してください。もしも、私の愛する王子様以外がキスした場合は、命がないかもしれません。byあなたの白雪姫より』


 このメッセージを見て、王妃は早速奴隷小人を総動員させて、白雪姫の愛する王子様を探し始めました。白雪姫の好きな王子様とはいったい誰なのか、王妃も確実には知らなかったのです。とりあえず、イメケンや隣国の王子様に助けを求めました。


「私の愛する白雪姫が死にかけています。どうか、白雪姫と相思相愛だという王子様は名乗り出てください。彼女にキスをすれば、意識を取り戻す事ができます。しかし、それ以外の方はご遠慮ください。彼女がショック死してしまうかもしれません」


 王妃様がこのようなメッセージを各国に伝えると、数日後には白雪姫を救おうという大勢の王子様やイケメン達が集いました。我こそはと意気込んで、彼女にキスをしようと試みますが、ガラスの無菌室に囲われているのでこっそりとキスする事はできません。


「くっ、白雪姫の秘密の恋人は誰なんだ? こんなガラスが無ければ、そくキスをして、俺が本物の彼女の恋人である事が証明できるのに……。この大勢の王子達の中でキスをするには、確実な証拠が無ければトライさえも容易にはできない!」


 多くの王子達がそう言ってキスをためらっていると、ブタ王子と弟王子がやって来ました。その近くには弟王子もいます。すると、無表情だった白雪姫の表情が変わりました。眠っているものの、声はちゃんと聞き取れていたのです。


「白雪姫が好きなのは、僕をおいて他にはいない。僕が白雪姫と熱いキスをすれば、全ての者は僕を彼女の婚約者だと認めるだろう。権力も地位も僕が一番上なんだ。僕以外に彼女が好きな奴など存在しない!」


「ブタはお断りします。見なさい、彼女の表情とその手元を……」


 鏡を見る事さえもないブタ王子は、自分こそが白雪姫の最愛の者であると言いますが、王妃がそれを食い止めます。白雪姫の顔は青白くなり、相当嫌がっている事が分かります。その手には、暗殺用のナイフがしっかりと握られていました。


 ブタ王子がガラスのケースを開けようとすれば、その瞬間でナイフで首を切られて殺されていた事でしょう。ともかく、これで白雪姫の愛する者が誰なのかが分かるヒントは分かるようになりました。自称最愛の者達は、こぞって彼女に声をかけ始めます。


「白雪姫、僕だよ! 君の恋人を忘れたのかい?」


「いいや、白雪姫の結婚相手は俺だよ。あの日の約束を忘れたのかい?」


 白雪姫は、誰だよという眉毛をしかめる顔で眠っていました。どうやら他の王子は、記憶にすら残っていなかったようです。話を直接したのも、10秒程度だった事でしょう。ブタ王子は、デブで太っているとはいえ、弟王子の親族という事で話だけは許されていました。


「ええい、ラチがあかないわ。なら、白雪姫のファーストキスを奪った私がやるしかないわ!」


 王妃は、ガラスケースの蓋に手をかけると、白雪姫の顔が曇ります。目にも留まらぬナイフ捌きで王妃を殺そうとしていました。今蓋を開ければ、確実に斬り殺されてしまうでしょう。その危機を救ったのが、弟王子でした。


 各国の王子達が集っていたために、大人しくしていましたが、自分が作ったアップルパイを食べて倒れたと聞き、責任を感じていました。誰かが白雪姫の手にかかって死ぬくらいならば、自分が先にキスすると男らしく名乗り出たのです。

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