???との邂逅 三度目の……
名もなき島の基地。
マリアに留守を任せて、いよいよ明日は出発の日。
その夜、旅の支度を終え、ジョーカーの淹れるお茶をひと口含み、喉を鳴らしてフゥと息を吐いた時、手に持っていたはずのティーカップが寿司屋の湯呑みに変わり、ちゃぶ台に置かれた菓子盆に、形の歪んだ煎餅が盛られている。
「あ。」
「島での働きお疲れ様でした。まずはゆっくり……」
「いや、ゆっくりしてただろう!」
「あら、そうですか?」
「(絶対わざとだ……)で?茶飲み友達が欲しくなって呼び出したんじゃないんだろ?」
「えぇ。そろそろ貴方に言っておかねばならない事があります。」
「とは?」
「ひとまず戦乙女の試練は合格です。ですが……」
「まだ何か?」
「神々の中には、貴方と魔族の関係を 心良く思ってない柱もいます。今後、あの者達をどうなさるつもりですか?」
「どうもこうも、変わらないよ。いけないの?」
「まぁ、そう言うと思ってましたけど……前例が無いのよねぇ……」
「何が?ハッキリ言えばいいのに。」
「貴方を戦乙女と認める条件として、魔族と手を切ること……と言われています。」
「無理に決まってるだろ。これからも色んな魑魅魍魎とも仲良くなろうと思ってるんだ。だいたいおっさんが戦乙女って時点でおかしいのに、勝手な条件付けないでもらいたいな!」
「はぁ……そうなると、奥の手を使うことになりますね……」
「なんでも使ってよ。」
「一つ聞かせてください。なぜ仲間にこだわるのですか?」
「ほっとけないだろうよ!実際役に立つし、助かってる。」
「それは、利用価値の問題ですか?」
「利用価値じゃない!存在価値だ!それとも何か?神様ってのは、私達を道具だと思ってるのか?」
「……」
「仲間ってのは道具じゃない。替えが効かないんだよ。言いたくは無いけど、私にとっては神様って存在の方が信用出来ない。」
「私にそれを言いますか……」
「私の国に、お客様は神様って言葉がある。お客様ってのは、こちらの労働に見合う対価を払う者。難癖付けたり、理不尽な注文付ける客は、疫病神だ!」
「はぁ……やっぱり貴方はソフィアの子ね……」
「なんだそれ?」
「そのうち分かるわよ。そして今は信じなくていいけど、これだけは覚えておいて。私は貴方の味方よ。」
「よくわかんないけど、わかったよ。」
「では、結論を伝えます。これからまどかを戦乙女として承認します。魔族の仲間については、今後貴女の枷となる事は間違いないでしょう。故に自己責任でお願いします。」
「つまり?」
「なんにも変わらないってことね……」
「そうか。ひとついい?枷ってどういうことだ?」
「もう気付いてるはずよ。」
「……」
「勘違いをひとつ正しておくわね。神の理不尽は、人では決断出来ない事を英断した結果なのよ。」
「?」
「偶然の積み重ねで一時的に難を逃れたとしても、災いは必ずやって来る。人の手に負えない大きさでね。人は神罰と言うけれど、それは先送りにした災いが、膨れ上がっただけのこと。神は意図的に罰など与えないわ。よっぽどの事じゃない限りはね。」
「さっき女神様は、私は味方よ。って言ったよな?」
「えぇ。貴女、人にも魔物にも善悪があるって言ってたでしょ。それは真理よ。神も例外では無い。私が言えるのはそこまでよ。」
「そうか……」
「少し喋りすぎたわ。もう戻りなさい。」
まどかは再び基地に戻った。
(貴女は最悪の場合、神と戦う事になる……)
To Be Continued ?




