表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/98

D4-1



武王の手が、シルバの眼前で止まった。

三叉の槍は、正しく武王の心臓を貫き、シルバの手元に戻った。


「馬鹿な!だがこの程度では、我は死なん!」


だが言葉とは裏腹に、武王は指先から灰のように崩れていく。槍に貫かれた穴から、大量のマナが漏れ出ていたのだ。いつの間にか武王の背後に立つ男が、溢れるマナを吸い取っていた。


「武王を傀儡として国を乗っ取るつもりでしたが、ここまで約立たずだとは……なんの為に力を与えたのか……やはり脳筋では理解出来ないのでしょうね。でもまぁ、この身体に精神が馴染むまでの時間稼ぎにはなりました。いいでしょう。少し遊んであげましょう。」


バンパイアは他には目もくれず、まどかに爪を伸ばす!咄嗟に聖のオーラをまとい、拳で爪を払った。


「どうしました?戦乙女。やはり貴女の力、仮初のようですね!一時的に亜神に近付ける技、やたらと使えないのでしょう?」


「死に損ないのバンパイア、今のお前に、使う必要が無いだけだ。遊びなんて言ってると、火傷じゃ済まないぞ!」


「私を侮辱したこと、あの世で後悔するがいい!」


バンパイアは床に爪を突き刺す。すると床や壁から無数の爪が突き上がる!


「揃って串刺しになるがいい!」


予期せぬ足元の攻撃に、身動きも取れぬまま全員が貫かれた。


「呆気ないのぉ。お前達のマナ、まとめて吸ってやる!」


バンパイアは勝ち誇り、爪からマナを吸い始めた。だが一向にマナの気配が無い。


「なんだ?マナの欠片も無い。そんなはずは……」


すると、部屋中に突き出ていた爪が、尽く切られていく。串刺しになったはずのまどか達は、霞のように姿を消した。


「なんだ、何が起きてる!」


「俺のナイフも、爪切りくらいにはなるっすよ。」


「お前の仕業か!ハンス!」


「俺に気を取られてると、かなり危ないっすよ!」


「なに?」


「聖炎陣、フルスロットル!」


突如目の前に現れたまどかが、その拳をバンパイアの顔面にめり込ませる!バンパイアはそのまま壁に叩きつけられ、瓦礫の中に埋もれた。


「まさかこの程度では死なないよな?バンパイア。」


「……おのれぇ、小賢しい!」


瓦礫を跳ね除け、立ち上がるバンパイア。


「メテオストライク!」「ソウルイーター!」


バンパイアに向け、隕石の如くコバルトの鉄球が降る!続けて魂を切り裂くようなチェリーの斬撃が飛んでくる!


「ぐあぁーーっっ!!」


「双剣乱舞!」


ジョーカーのエストックがバンパイアを切り刻む!そこにシルバの投げた槍が突き刺さる!


「ボルテッカー!」


避雷針のように、槍に稲妻が落ちた!


「ぎゃあああっ!!」


埃の舞う中、六人が立っている。


「なんなのだ……串刺しになったはずでは無いのか!」


「ほう。不死の者とはこういう者か。あまり良いものではないのぅ……興醒めじゃわい。」


「誰だ!」


「儂は帝国魔導師、ジャンと申す。お主が串刺しにしたのは、儂が作った幻影じゃ。残念じゃったの。」


「馬鹿にしおって!!切り刻んでやる!」


バンパイアは爪を揃えると、剣のような形になる。両手を剣に変え、瞬間移動で斬りかかって来た!


「ガキーン!」


まどかが拳で受け止める。その間にジャンが再び幻術を展開した。


「さて、第二幕じゃの。存分に味わうがよかろう。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ