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D1-2



久しぶりのメルクシティ。

まどか達は、ギルドマスターのカスリンを訪ねる。


「おぉ!まどかじゃねぇか!久しぶりだなぁ。しばらく見ないうちに、バケモノみたいなオーラになったな。人の域を超えてるぜ。」


「ま、まぁ、自覚はないけど。それよりカスリン、この街に職人の伝説みたいなものはない?噂でもおとぎ話でもなんでもいい、技を受け継ぐ者でも居れば最高だけど……」


「どうした会って早々、急ぎの依頼か?まぁ、ここじゃ何だ、飯でも食いながら話すか。」


まどか達は食堂へと移動する。歩きながら、カスリンはまどかが旅立った後の街の事を話す。


「そうか、これであの若者たちも、少しは報われるかな。」


「そう願うしかないよ。ところでまどか、さっきの職人の話だが……」


「あぁ、なんでもいい、大昔の伝説でも。」


「まどかは、なんでこの街がメルクシティって名前だか知ってるか?」


「いや、知らない。」


「大昔、神に愛された職人が居た。人の域では到達出来ないと言われた、魂の器を作った職人。その器は、未来永劫朽ち果てることなく、魂を霧散させず密閉出来るという。」


「それだ!」


「その職人の名はメルク。彼を慕って人々が集い、やがて街になった。それがメルクシティだ。」


「その職人に、後継者は居ないの?」


「この街で騒動を起こした魔導師も、彼の後継者を探していた。だが見つけられなかったらしい……」


「そうか……皇帝の魂を保管しようとしたのだろう……見つけられなかったか……」


「あぁ、アイツ胡散臭かったからな。街の誰もが話さなかったのだろう。」


「……え?」


「この事は街のトップシークレットだ。門外不出と言われるその技術を 他所者に言う訳がない。まどか、居るぞ。後継者。」


「本当に?」


「まどかも一度会ってる筈だぞ。ギルド御用達の武具職人。彼が後継者だ。」


「僥倖だ!ありがとうカスリン!今日のメシは私の奢りだ!メグミ、付き合ってやって。私は職人の所へ行ってくる!」


「ちょ、ちょっと、まどかー……」


まどかはそのまま食堂を飛び出した。メグミはカスリンに捕まり、これまでの旅の話を 根掘り葉掘りと聞かれた。結局カスリンが五人前の食事を平らげるまで、メグミは付き合わされたのだった。



-ギルド御用達の武具屋。相変わらず人気のない展示ブースを抜け、職人に声をかける。


「仕事を頼みたい。他の誰にも出来ない仕事だ。」


「あぁ?を!あんたは確か……随分凝ったアーマードレスを作ったお嬢だな!あの仕事はやり甲斐があったぞ!次はどんな仕事だ!」


「これを……見てくれないか。」


まどかは収納から継ぎ接ぎの匣を取り出す。


「ん?……こ、これは!まさか!なぜこれを持ってる!お嬢、なにもんだ!」


「これが何に使われたか知ってるか?不死の化物を封じ込め、この世界の危機を救ったんだ。そして時は流れ、不運にも封印が解かれた。今とある島で、その化物が暗躍している。私は、もう一度封印しようと思ってる。」


「そうか……だが最初に言っておくぞ。まず材料が手に入らない。特別な素材が必要だ。あと、仮に匣が出来たとして、封印の術者が居なければ意味が無い。匣はあくまでも器だ。」


「なるほど。理解した。問題ない。何とかする。」

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