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I3-3



まどかは一度、秘密基地に戻る。

全員を会議室に集め、振れについて話した。それぞれの意見を聞く中、マリアが初めて意見を言った。


「まどか様、国内にはまだ、私が張り巡らせた糸がございます。情報収集には打って付けだと思います。どうぞお役立てください。」


「大丈夫なんすか?こんなヤふべっ!」


ハンスが何か言いかけたが、まどかに殴られ大人しくなった。


「みんなにも言っておく。マリアは私が仲間として認め、名を付けたんだ。みんなもそのつもりで。」


「よろしくね、マリア!」


メグミは素直に受け入れた。これまでもジョーカーやチェリー、コバルトの名付けを見てきた。仕組みは分からないが、魔物に名を付けるという事は、一種の契約のようなものなんだろうな……という認識である。そしてそれは、ほぼ正解であった。ジョーカー達も立場は同じ、寧ろ歓迎しているようだ。


「よろしくお願いします、マリア。分からない事は、わたくし達に何でも仰ってください。」


「「よろしくお願いします。」」


「さてと、全員()()したところで、マリア、武王邸の情報を集めて。誰かの入れ知恵があったのかどうか、出来ればそいつの正体もつきとめたい。」


「分かりました。調べてみます。そして皆さん、ありがとう。」


マリアは薄く涙を浮かべ、笑顔で頭を下げた。


「じゃあ、私はエミリオの所に戻るよ。向こうでも調べて貰ってる事があるんだ。」


「あの、まどか様、俺もついて行っていいっすか?」


「あぁ、エミリオも喜ぶよ。」



-二人は転移の屏風を使って、森の東屋へ出た。そこには一人の男が池を見ながらブツブツと呟いていた。


「リンドー、何してる?私を討伐に来たのか?」


「ちょ、まどか様、危ないっす!」


止めるハンスを押し退け、リンドーに話しかけるまどか。


「おぉ、まどか君か。この森、作られた森じゃな。絶妙なバランスじゃの。ここの結界も、ちと改良しといたぞ。」


「ありがとうリンドー。この森は、精霊が管理してるんだよ。だからバランスが保たれているのさ。」


「なるほどのぅ。君の発想は、我が叡智の先にある。実に興味深い。ゆっくり話したいのう。」


「私は構わないけど、武王はいいのか?」


「私は、君が何者か?など、どうでもいい。錬金術の発展こそが、私の願いじゃよ。仮に魔王であろうと、その技術が優れておるならば、私は教えを乞う。それが更なる高みへと我らを誘うのじゃからの。」


「リンドーらしいな。その気質、嫌いじゃないよ。」


「え!ま、まどか様、こんなのが好みなんですか?」


「気質の話だよ。信念があるだろ。私の国では職人気質しょくにんかたぎと言って、好まれる傾向があるんだよ。」


「そう、なんすね……」


「そんなことはいいだろ?それよりリンドー、ここに来た理由は?森を見に来たわけじゃないだろ?」


「あぁ、これじゃよ。」


リンドーは、耳飾りを手渡す。


「なに?」


「これは念話を可能にする魔法道具じゃ。離れておっても会話が出来る。今後なかなか人前に姿を出せんじゃろ。私は君の発想をいつでも聞きたい。それがこれならば可能じゃ。何か面白い事を思い付いたら、私に知らせてくれ。それくらいなら、邪魔にはならんじゃろ。」


「分かった。思い付いたらな。」

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