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I2-1



歪な魔物達が、林から姿を現す。

群れと言うには、魔物の種類に統一感が無い。ただ身体の一部に鱗の生えた、多種多様な魔物達だ。


「竜の細胞を植え付けたキメラか。」


ジョーカーは操られる事は無かったが、普段よりも好戦的になっているようだ。エストックを抜き放ち、魔物の先頭に切り込んで行った!


「チェリー、コバルト、ジョーカーから離れるな!みんな!ジョーカーに巻き込まれるなよ!」


もしもジョーカーが暴走するような事があれば、止めれるのはまどかしか居ないであろう。まどかはジョーカーに付かず離れずの距離を保ち、魔物の殲滅を開始した。

他の者達はひとまず距離を置き、他の魔物の殲滅をする。武王の兵士達は、三人一組で魔物に当たっている。

ハンスは手槍を持ち、魔物を各個撃破している。メグミは木々が邪魔で弓が使えない。ナイフ二刀流で魔物の相手をしていた。


「ふむ。では笛の音を辿ってみようかの。」


この錬金術師だけは、欲望に忠実というか、団体行動に向いてないというか、寧ろ魔女王邸でのシルバとのコンビが、奇跡だったと言える程の自由人だった。

林の中なので、火炎魔術を使わずに戦っているまどかだったが、リンドーはお構い無しに火を放つ。堪らずまどかが、


「おい!リンドー!火はやめろよ!森林火災とか、環境破壊とか、そういう概念は無いのかよ!」


と叫ぶ。言われたリンドーは、


「めんどくさいのぉ……聖女は……」


と言いながら、渋々従った。


「まったく……林ごと燃やせば早かろうに……ブツブツ……」


「コイツ分かってないな……ハンス!リンドーを見張って!」


「承知!……ったく、まどか様に迷惑かけるんじゃないっすよ。」


ハンスは、自分がまどか(に見えた魔物)に抱きつこうとして迷惑かけた事を棚に上げ、リンドーを追った。



-やはりこの場では、歌いながら無双する少女達は、異様な存在であった。まどかも含めた三人は、ユニット曲を踊るアイドルの如く、ポジションを変え流麗な動きで魔物を蹴散らす。

魔物達も、メイド達の歌が届く範囲では、魔笛の効果が途切れ、動きが止まってしまう。兵士達もそれに気付いたのか、その範囲内で戦っている。おかげで魔物の数を一気に減らすことが出来た。


「普通なら、そろそろボスキャラ登場なんだが……」


何気なくまどかが呟く。


『まどか様!見つけました!』


ハンスの念話リンクが届く。これがフラグってやつか?などとまどかが思ったその時、頭上に禍々しいオーラを感じた!

木々を伝い降りて来た魔物は、蜘蛛の胴体に人間の上半身が生えたような姿、見た目はサキュバスに似ているが、大きさは倍以上、、肩には鱗が生えており、八本の蜘蛛の足には、刃物のような爪がある。

その魔物は、降りてくるなり周囲の魔物を捕食し始めた!喰らう度に身体は大きくなり、人の形だった上半身は、他の魔物へと、その姿を変えていく。


「私の笛を返せ!この盗っ人め!」


魔物の背中にしがみつき、魔笛を奪おうとしているリンドー。見かねたハンスが魔物の腕を切り落とし、リンドーごと抱えて離脱する。


「危ないっす!喰われるっすよ!」


そんな事はお構い無し、魔笛を取り戻したリンドーは、満足そうに笑みを浮かべるのだった。

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