表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/98

H3-3



「マ、ダ、だ……」


蝙蝠はマナを求めてフラフラと飛ぶ。


「誰ガ輪廻など……神の言いなりにナど、なっテたまるカ……」


「理から外れたら、魂の消滅しかないんだよ?……」


「言いなりになるよりマシだ……生命を削ってでも、神になど……」


マナの切れた蝙蝠は、生命エネルギーを消費してナイフに姿を変える。


『……リュウジュ……竜のマナが吸えれば……』


ナイフは神速とも言える速度で、精神力を使い果たし横たわるエミリオの胸に突き刺さる!


「しまった!」


一瞬の隙を付かれ、全員が動けなかった。


『まだ戦える……コイツのマナを……』


その時、ナイフとなった魔女王の魂に、直接言葉が響く。


『我が子には指一本触れさせぬ……お前の魂、その全てを我が糧としてやろう……』


エミリオの胸元に炎が灯る。カランと落ちるナイフ。その刃先は、リュウジュの樹皮に刺さっていた。まどかがくれた形見とも言える樹皮を エミリオは大事に胸にしまってしたのだ。

メグミの樹木魔術で発芽を試みた時、マナ不足で出来なかったが、魔女王の魂を糧に発芽を始めたのだった。まどかは、苗となったリュウジュを大事に抱えると、


(お前は勝手に生き過ぎた……もう眠れ……)


と祈りを捧げる。眩い光に包まれると、まどかは元の姿へと戻った。


「みんな、帰ろう。」


そう言ってまどかはエミリオを抱きかかえる。メグミをジョーカーが抱きかかえ、それぞれ無言で立ち上がると、まどかの屋敷へと帰るのだった。



-屋敷に戻り、メグミとエミリオを寝かせると、まどかはハンスと森の池の畔に来た。


「ここなら結界も精霊の見張りもあるしな。」


ハンスがリュウジュの苗を植えると、まどかは池の水をたっぷりと注ぐ。


(親の愛ってやつなんだろうな……)


孤児のハンスも居るので、口には出さなかったが、元の世界で父親だったまどかには、思うところがあった。


「よし、ご飯にしようか。」


ハンスは無言のまま後ろを歩く。ずっと心にモヤモヤする感情が膨らみ、とうとう口に出す決心をした。


「……まどか様は、女神様だったんっすね……」


「ん?違うよ。」


「え?だって、戦乙女って……」


「あぁ、あれは言うなら、借り物だ。私はタダの冒険者だよ。ちょっとだけ神様のチカラを借りただけだ。」


「そんなこと出来るんすか?」


「まぁ、その辺は少し特殊かもな、私は。メグミが精霊のチカラを借りられる事に近いかもな。」


「そうなんすね……」


「何を心配してるのかわかんないけど、私は私だよ。今までと何も変わらない。(たぶんね。)」


「ほんとっすか?じゃあ俺、ずっと仲間で良いんすか?」


「あぁ。みんな仲間だ。MJ2に変わりはないよ。」


「よかった……よかったっす!安心したら、腹減ったっす!」


「戻るよ。ハンス。」


「はいっす!」


この先どうなるか?なんて、考えてもしょうがない。戦乙女装備も、そうそう使える物でもないし、ぶっちゃけ(おっさんが乙女って……)と、とてつもない違和感を感じるのである。


逃げた司祭の事も気になる。司祭の目的は何なのか?今すぐ追いたい思いもあるが、メグミとエミリオを置いては行けない……

まどかの聖なる力を浴びたジョーカーやメイド達も、回復には時間がかかりそうだ。ひとまずみんなの回復を優先したまどかだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ