H2-4
「何故じゃ!何故効かぬ!抗う術など無いはず!」
魔女王の問いに律儀に答えたのは、リンドーだった。
「無い。ではないのぅ。無かった。と言うのが正しいぞ。無いならば作ればいい。それが可能な叡智が、ここにある。ということじゃよ。」
自慢げに人差し指で、こめかみをコツコツと指差す。そのドヤ顔に、魔女王は激高した。
「人間如きが、叡智などと……至高のバンパイアを舐めるなっ!」
「何が至高じゃ。無駄に永く生きておるだけではないか。人間には知恵がある。命は短くとも、引き継ぎ、研究し続ける事が出来る。そうやって熟成させ、完成させるのよ。私が叡智と言うたのは、先人達の思考の到達した知恵じゃよ。」
「どいつもこいつも妾に歯向かいおって!辞めじゃ!武王も聖女も要らん!皆殺しじゃ!!」
-この混乱の中、一人逃げ出す司祭。
「もうこんなところには用はない。」
司祭には、別の目的があった。その為にバンパイアを利用していただけなのだ。魔女王の企みを妨害しつつ、自分の目的を果たした。
リンドーの言った通り、竜のマナが身体に巡る間は、魅惑の術を阻害するようだった。司祭は武王の竜のマナが切れるタイミングで、精神支配の術をかけ、あたかも竜のマナの影響下であるように見せた。
司祭が誤算だったのは、武王の槍は、武王の精神に繋がっていた為、術の影響下では、槍は武王を持ち主だと認識しない……という事だった。
その間武王には、仕方なく剣を握らせるしか無かった。まどかはその事に気付き、武王の手に槍が戻るのを見て、術が解けたと確信し、行動に移ったのだ。
-チェリーの大鎌が魔女王の首をはねる!そこにコバルトの鉄球が襲い掛かる。しかし、首のない魔女王は、鉄球を片手で受け止めた!首を拾い、元の位置に戻す魔女王。
「ハハハハ、勝ったとでも思ったか?妾は至高のバンパイア。例え切り刻まれようとも、この身はいくらでも再生する。好きなだけ無駄な攻撃をするがよい。」
(なるほど。再生すればダメージも残らないのか……マナはほぼ無尽蔵に近い。再生をさせずにダメージを蓄積する方法か……さっきのシルバのように、再生阻害とかする方法があれば……試すか?)
まどかは、聖なる炎を身体に纏う。
『チェリー、コバルト、交代だ。私から離れて。』
メイド二人に爪を伸ばす魔女王。爪が届く直前、二人の姿が消える。爪が空を切り、体制が少し崩れた所に、まどかの拳が鳩尾に突き刺さる!
「ぐほっ!」
身体をくの字に曲げながらも、まどかに爪を横薙ぎする魔女王。爪がまどかに触れた瞬間、熱した飴細工のように溶け落ちた。
「邪魔な炎め!ならば……」
魔女王は蝙蝠の翼を生やし、まどかの頭上を位置取る。
「障壁には、こういう使い方もあるのじゃ!」
手のひらに障壁を展開し、翼をたたんで急降下する!言わば盾による突進であった。まどかは腕でガードし、突進を受け止める。五メートル程下がって押し留まった。
魔女王は両手で連続の障壁をぶつけてくる。まるで掌底突きを連続で撃ち込むような、某格ゲー本田さん風の攻撃だ!
「ライトニング!」
まどかに集中する魔女王に、クリシュナが光弾を放つ!まともにくらった魔女王は、二メートル程吹き飛んだ。
百裂○○に対する波動○ですねー
わかった人いるかな?




