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H2-2



精霊界。

何も無い空間に、荘厳な竜が顕現する。


『何用だメグミよ。』


『精霊王様、お力をお貸しください。』


『今のお前では、我の霊力には耐えられぬ。』


『バハムート様、僕の身体も使って下さい。メグミと僕、二人で受け止めて見せます!』


『ほう。サラマンダーの子か。だがそれでも容易ではないぞ?2分が限界であろう。』


『それでも構いません。せめて、邪悪な者の結界を破る事が出来るなら。』


『覚悟は良いのだな。良かろう。2分だぞ。』


『『ありがとうございます。』』


……


「「……邪なる者を討ち滅ぼす為、顕現せよ!精霊召喚、バハムート!!」」


大聖堂と見紛う程の部屋の、天井まで届く巨大な竜。全員がその背に避難するのを見計らい、バハムートはその顎を開く!


「フレアプロミネンス!」


バハムートは、部屋に充満するマナを吸い尽くし、体内で循環させる。巡る度にその熱量を上げ、小型の太陽のような赫炎を魔法陣に向けて吐いた!


「なんて熱量だ!天井が蒸発したぞ!」


「あぁ、しかもマナの膜で覆っているのか、その熱が拡散せず収束されている。おかげで私達が蒸し焼きにならずに済んでいる。」


クリシュナとシルバが口々に言う。まどかも、室内で高火力を使うことには反対だった。しかしアプリさんの演算結果による最適解は

【バハムートの高火力にエミリオのブレスで膜を張る】

というものだった。これなら武王にも影響を出さず、魔法陣を破壊出来る。尚且つ、不足分のマナを室内で吸収出来るという答えだった。念の為、氷雪魔術による障壁も準備していたが、どうやら必要無さそうだ。魔法陣を焼き尽くしたバハムートは、光となって消えていった。


「チャンスだ!」


「うおぉぉーーーっ!!」


クリシュナが雄叫びを上げ、突進して行く。魔導師達が前にでて、結界を張り直そうと術の詠唱を始めた。


「遅いっす。」


手を前に翳し、術の詠唱中であった魔導師達の腕が切り飛ばされる!クリシュナの雄叫びは、言わば囮であった。クリシュナより早く、不可視化で駆け出していたハンスが、魔導師達がクリシュナに気を取られているうちにナイフで切り付けたのだ。怯んだ隙を見逃さず、チェリーが転移で飛び、大鎌を振り抜いた。


「残しておきましたよ。」


一人残った魔導師に向けて、クリシュナが渾身の投擲をする。光を纏う槍は、魔導師を突き抜け、魔女王に向けて飛ぶ!


「ガシーン!」


変わらず寛いでいる魔女王の前で、クリシュナの槍はピタリと止まった。その槍を止めたのは、なんと武王だった。


「シンバ!何故邪魔をする!」


シルバが一歩前に出た。それに答えたのは司祭だった。


「武王は魔女王様の盾よ。どうする?武王を殺すか?ハッハッハッハッ……」


武王は掴んだ槍を打ち捨てた。徐に魔女王の前に立ち、剣を抜いた。


「そういう事か。」


まどかはそのやり取りで何かを理解し、シルバもまどかに頷いた。


「そういうことならシンバ、良い機会だ。我ら長年の勝負に、決着を付けようではないか!」


シルバは剣を抜き、ゆっくりと歩き出す。武王も応えるかのように歩を進めると、魔女王からあまり離れない所で立ち止まった。


「めんどくせぇが、見守るしかないか。」

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