M4-1
集結……とは言え、人数合わせは意味が無い。
メイド達が得た情報によると、相手の戦力は250程、ランクで言えばE〜D、中でも直の眷族は、ランクCに匹敵する。
こちらの戦力は新生MJ2にシルバとクリシュナ、冒険者ギルドのランクD以上と、Eの上位者合わせて50人足らず。対策として、銀やミスリルの武器が用意してある。バンパイアに有効らしい。
「なんじゃなんじゃ?君達騒がしいぞ!」
研究室からリンドーが出て来た。
「リンドー!出来たの?」
「まぁの。後は人体に及ぼす影響というか、副作用の調整が必要じゃな。」
「それは、どの程度のモノなの?」
「まぁ、死にはせん。一時的に神経が過敏になるくらいかの。触れただけで痛みを感じるくらいじゃろ。」
(うーん……痛風みたいなものか?)
「リンドー、時間が無くなった。例の魔笛を使って武王が操られ、屋敷を出て行ってしまったらしい。早く追わないと手遅れになる。」
「なんじゃと?しかし……竜のマナをどうやって……」
「魔法武器で直接撃ち込まれたようだ。」
「ほぅ、面白そうな武器じゃな……などと言うてはおれんか。30分待て。出来る限りの調整と準備をする!」
「わかった。みんなに伝えよう。」
それからきっちり30分後、リンドーは研究室から出て来た。黒いローブをまとい、単眼鏡を着け、数カ所に関節が付いたような杖を手に現れた。
「参るぞ!」
さすがにこの人数での転移は出来ない。するとリンドーが、
「まどかと言うたかの。君は転移出来るのだろう?そこにある衝立を持って、魔女の森まで転移するのじゃ。」
「何これ?」
「それはの、対となるこちらの衝立と繋がり、それが扉となって一瞬で移動出来る魔道具じゃ。我らはこれを使って森まで行く。」
「(な!それって青猫さんのどこでも行けちゃうドアじゃないか!)わ、わかった。では先に行く。」
まどかはコバルトとリンクし、衝立と共に転移した。
-魔女の森。
まどかの設置した衝立から、続々と人が溢れて来る。最後にメグミ、エミリオとジョーカーが到着し、総勢48人の精鋭が森に集結した。
冒険者達は、4人1組を基本として、互いをカバーするチームを作る。リンドーはシルバとバディを組む。(たぶんリンドーの暴走にシルバが振りまわされそうだけど)
ジョーカーは戦況を見ながら各チームのフォロー、メグミはエミリオを守りながら弓による後方支援、クリシュナにはハンスを付けた。
「そろそろ向こうもこちらの動きに気付いた頃だろう。みんな行くよ!」
まどか達は森を抜け、魔女王邸前の広場に出る。250人のバンパイアは、既に玄関前に待ち構えていた。
「やはり来たわね。妾がいくら聖女を欲しているとは言え、手荒なことをしないと思っているの?殺さない程度には痛めつける許可を出しているわ。精々足掻いてみなさい!」
ベランダに立ち、嘲笑を上げる魔女王。それを合図にバンパイア達は武器を構える。
「丁度いい。ハンス、準備出来てる?」
「はいっす!いつでも撃てます!」
「アイツらの頭の上を狙って……撃て!」
ドンッ!風魔術を放つ手持ち筒から、花火玉のような球体が撃ち出される。バンパイアの集団の頭上で二度目の爆音を発し、炸裂した玉は、銀の礫の雨を降らせた!




