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M3-4



風雲急とはこの事かもしれない。

まどか達が武王邸に戻ると、辺りはまるで戦場跡の様相、近衛の兵士達は勿論、シルバまでも手傷を負っていた。


「何があった!武王は?」


「ま、まどか……すまん……」


シルバが言うには、司祭が精鋭を連れて屋敷を強襲、進入者の一人が懐から出した筒状の魔法武器で武王が撃たれて、後から入って来た司祭の、笛の音が聞こえた瞬間、武王が剣を取り、兵士達に襲いかかったらしい。


「武王が剣を?槍ではなく?」


(いや、おそらく槍を手にしていたら、兵士達の命は無かっただろう。周囲に槍が見当たらず、仕方なく剣を取ったのか……司祭の指示だろうな。そして、例の魔弾を撃ったヤツが来たのか……リュウジュの実を弾に仕込んで使ったのだろう……魔弾にそういう使い方があったとは……気付くべきだった……)


「そうか……リンドーは?」


「研究室に篭っている。おそらく、こちらの騒ぎにすら気付いてはいまい。」


「それは、不幸中の幸いと言うべきか……それで、相手の戦力をどう見る?」


「そうだな……冒険者で言えば、ランクDに届くかどうか……というところか。数で来られたら、近衛兵では勝てまい。」


「わかった。シルバ、動けるか?」


「あぁ、かすり傷だ。問題ない。」


「じゃあ、ジョーカーとギルドに行って。Dランク以上の冒険者、集めれるだけ集めて来て欲しい。武王の命が掛かってるんだ。嫌とは言わないだろう。」


「よし、任せておけ!」


「チェリーは漁師ギルドへ。クリシュナに伝えて。」


「かしこまりました。」


「コバルトはハンスと先行偵察。相手は気配の察知に長けている。あまり近付き過ぎないように。」


「承知。」「かしこまりました。」


「後はリンドー次第か。間に合わないようなら、行くしかない。ハンス、状況を逐一報告して。」


「任せといてくださいっす!」


「ハンス様、差し出がましいようですが、わたくしに一つ案がございます。」


「じゃあ、それで行くっす!」


「まだ何も申し上げておりませんが?」


「今の状況を把握した上で、コバルトさんが考えた事なら、大丈夫っす。信用してるっすよ。」


「そ、そうですか。では一度、丘のお屋敷に戻って準備いたします。」


ハンスは、メイド達の経験の深さを 素直に受け止めている。まどかにしても、全幅の信頼をしてくれる。数百年の間、仲間さえも裏切り、自身の命乞いをするような、人間のドス黒い部分を見てきた魔族として、ここの人間達の、愚かな程の信頼は、初めての経験だった。


今までの人間であれば、召喚して利用してやろう等と、大した実力も無い魔導師(まぁ、人間にしてみれば上位の者だが)の傲慢な態度に、見せしめのようにクビり殺していたのだが、仲間として扱われる今の環境が、妙に居心地が良かった。


(不思議な人達ですわね……)


人間の仲間等と、魔族には愚行と言える今の自分にフッと笑い、ハンスと転移するコバルトだった。


(なるほど、ジョーカー様が付き従う理由がわかりました。)


チェリーも同様に、今の環境を楽しんでいる。


(悪くないですわね。フフッ……)


コバルトの心中を察して、自分も同感だと笑うと、漁師ギルドへ転移したのだった。

手直しする間もなく投稿…

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