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M3-1



武王邸外周。

リンドーとの顔合わせの少し前、ジョーカーからのリンクが届く。


『ネズミらしき者が出て行きます。』


まどかはこのリンクを待っていた。家人との雑談で時を稼いでいたのは、錬金術師との相談を聞かれないためだ。これで安心して対策が打てる。


『ハンス、チェリー、コバルト、頼むよ。』


ハンスが不可視化で尾行する。時折チェリー、コバルトと入れ替わり、気付かれそうになれば、転移で躱す。ネズミは途中、酒場のような所で繋ぎと会って、暫し話すと引き返した。


『ネズミが屋敷に戻るっす。』


そこからは二手に別れ、チェリーがネズミを見張り、ハンスとコバルトは繋ぎを追った。



-武王邸では、ハンスのリンクを受けたまどかが、


「武王、リンドー、やはりネズミが居たらしい。繋ぎに会って戻って来るようだ。こちらの手の内を見られる前に、リンドーには退席してもらった方がいい。」


「まことか!ではそうしよう、リンドー、頼んだぞ!」


「はい。まぁ半分は私の矜恃ですじゃ。必ずやって見せましょうぞ!」


そう言い残し、ブツブツと独り言を言いながらリンドーは部屋を去った。


「さて武王、ネズミをどうする?捕らえて拷問するか、このまま泳がせるか……」


「うむ。様子を見るとするか。この件は儂に任せておけ。」


バンパイアにとって、武王とまどかは、種を残すための貴重な存在。命を取りに来ることは無いだろう。まどかもそう思い、武王に任せる事にした。


「わかった。」



-ハンスは繋ぎを追う。慎重に距離を保ち、接触する者が居ないか、常に目を光らせていた。

すると人気のない路地に入り、繋ぎは足を早める。


(気付かれたか?)


ハンスも速度を上げ、繋ぎを追う。するとその先は行き止まりの袋小路になっていた。背後から人の気配……五人くらい居るだろうか、完全に誘い込まれた。


「姿を消している様だが無駄だ。出てこい!」


この男、明らかに強者の気配を感じる。ハンスは覚悟を決めた。


「仕方ないっすね。いつ気付いたっすか?」


ハンスには、時間稼ぎや情報を引き出そうなどという意図は無かった。ただ単純な疑問を投げ掛けたのだ。


「酒場を出た時から気付いてたさ。まぁ、あらかじめ人を集めていて正解だったな。」


ただ、このやり取りが、ハンスの命を救う事になる。取り囲む男達の頭上から、棘の付いた鉄球が降り注ぐ!


「ズドドドーーーン!!!!」


一人は頭蓋骨を砕かれ、かろうじて気付いた一人も、躱しきれずに右腕を削ぎ落とされた。


「お待たせしました、ハンス様。」


「助かったっすよ。こんなとこで死んだら、まどか様に怒られるとこだったっす。」


コバルトに腕を削ぎ落とされた男がマナを込める。傷口がモコモコと蠢き、新たな右腕が生えてきた。


「!再生……コイツらもバンパイアっすか……」


「予想通りかと思われますが、なにか?」


「そんな、人を馬鹿みたいに言わないで欲しいっす。頭を潰されたヤツは、再生出来ないみたいっすね。」


「はい。ですから頭を狙いました。」


何を今更?みたいな顔で首を傾げるコバルト。戦闘の知識は、自分よりも相当高いとハンスは思い知らされた。


「みたい……じゃなくて、馬鹿だったっす、俺。」


「いえ。経験の差です。これでも数百年戦闘しておりますから、人種の十年やそこいらでは、追い付く事は不可能かと。」

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