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M2-2



メグミはエミリオを連れて、森に入った。

様々な植物が育ち、大きな池の畔には、花々が咲き乱れるエリアがある。


「ここはねぇ、何も無い丘だったの。それを私が森にしたんだぁ。」


「メグミが?」


「うん。私、ちょっと樹木を育てるの、得意なの。だからぁ……」


「まさか!」


「うん。そのリュウジュの欠片、まだ死んでないみたいだから。貸してくれる?」


「うーん……」


メグミは、欠片を媒体に発芽させようと言う考えだ。果実からの発芽は成功している。おかげで屋敷の食卓には、新鮮なフルーツが常に並んでいる。

メグミは欠片に手を翳し、樹木魔術を発動する。


「たぶん、無理だと思う。」


「え?どうして?」


「竜のマナが、足りない……人のマナで補おうとしたら、十人居ても足りないと思う……」


「そ、そっか……」


メグミは自分の考えの甘さに少し落ち込んでしまう。そしてふと、まどかの事を考える。自分と歳もかわらないのに、まるで未来が見えるかのような考え、人の心を見透かすような目、勘が当たるというレベルではない。

まるでまどかの手のひらの上の出来事のように、全ての事が動く。教会がまどかを唆し、引き込むために言ったであろう神託の聖女、あながち間違ってないかも……と思った。


「ん?どした?」


まどかが近付いて来る。メグミは首を横に振り、


「ダメだった。」


とだけ言った。まどかは一つ頷き、二人を連れて会議室に戻った。



-「さて、これからの行動だが……まず最初に狙われるのは武王だな。向こうがどんな手で来るか……」


「まぁ、何かしらの接触はあるだろうな。儂はそれに、乗ってみようと思う。」


「囮になると言うのかシンバ!お前が落ちれば、こちらの手の打ちようが無くなるのだぞ!それならばワシがお前に化けて……」


「シルバ、そして武王、どちらも悪手だ。サキュバスの話では、強者の種を欲している。つまり、シルバでも構わないわけだ。勿論、武王が捕らえられたら、打つ手が無くなる。やるなら魅惑の術を封じる手を考えてからだろう。」


「なにか手はあるのか?まどかよ。」


「うーん……その術を実際見たことがないから、なんとも言いようがない……精神に対する防御や無効化が通用すればいいんだけど……」


『……アプリさん、精神攻撃の無効化で魅惑の術が防げると思う?』


『防御確率演算……可能性は54%です。』


「半々ってとこだろうね。」


「試す価値は、あるんじゃないか?と言うより、それしか手はなかろう。」


(おそらく、耐性を持つ者に対する確率を上げるために、魔笛を使っているのだろう。ならばなぜリュウジュを切り倒したのか?取り尽くした実を使って、何かの策があるのか……

そして、それに対抗する手段もまた、リュウジュが持っていた……と考えれば、辻褄が合うな。チェリーとコバルトの、音による打ち消しで、どこまで抵抗出来るか……)


「たぶん、それだけではダメだ。それでなんだが……武王の配下に、錬金術師はいるの?」


「一人おるぞ。変わり者だが、腕は確かじゃ。」


「その人に会わせて欲しい。」


まどかは何をするつもりなのか?その場にいる誰も想像出来なかった。その日の会議はそこで終わり、まどかはハンスとリンクする。そしてジョーカーとメグミにも。


『まぁ、全てはその錬金術師次第だけどね。』

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