M2-1
屋敷内会議室。
まどか、メグミ、ハンス、ジョーカー、武王、シルバ、クリシュナ、エミリオが円卓を囲む。まどかの後ろに、チェリーとコバルトが控えている。
まどかはまず、収納から樹皮を取り出す。黒曜石のような輝きを放つ、鱗に似た欠片……それをエミリオに渡すと、悔しそうに俯く。
すると、先に口を開いたのはエミリオだった。
「そうですか……逝ったのですね。」
欠片を握りしめ、祈るエミリオ。そこには悲壮感は無く、落ち着いた表情だった。
「やっと解放されたのです。僕を守るためだけに生き長らえた母……」
そこで一筋の涙を流す。最後の生き残りとして、王家の者として気丈に振舞ってはいたが、幼いままで時が止まり、ようやく動き出したら天涯孤独の身……寂しいなどと言う次元ではないだろう、メグミにそっと抱きしめられると、堤防が決壊したように涙が溢れ、グッとしがみつき声を堪えて泣いた。
みんなはそれを見守る。会議を進めたい気持ちが無いわけでは無いが、今は泣く時間が必要だとみんなは思った。
「エミリオよ、今日から儂を父と思うが良い。武王の名にかけて、そなたは必ず守る!」
「シンバ、祖父の間違いではないか?」
シルバの一言で、場が和む。おかげでエミリオも落ち着きを取り戻したらしい。
「ありがとうございます。でも歳は僕の方がかなり上ですよ?」
「それはそうだな。これは面白い!」
会議室が明るい雰囲気になる。ようやく会議が始められそうだ。
「そろそろ始めるか。みんなの意見も聞きたい。思いついたら自由に発言しよう。」
最初に手を挙げたのはメグミだった。
「ずっと疑問だったんだけど、そもそも吸血鬼と教会って、天敵じゃないのかな?」
それはまどかも思っていた。元の世界の考えでは、ドラキュラに十字架と聖水を持った者が挑む映像が浮かぶのだ。異界の常識ではないのかな?それに答えたのは武王だった。
「それよ。だが一つ思い当たる節がある。法王が代替わりした時、教会の力が著しく下がったのだ。その後法王が神託を得るようになって持ち直したのだがな。
先代の法王は、その強大な聖なる力によって崇められていたが、代が替わると聖なる力は弱いが、神託による導きという形に変わったのだ。」
「先代の法王様って、どうやってお亡くなりになったんすか?」
「病死と伝えられておる。」
「そうなんすね。なんか、次の法王様が力ないのに替わったなんて、殺されて仕方なくなのかと思ったっす。」
「!ハンス!お前天才か?」
「え?なんすか?」
「もし法王の代替わりが、バンパイアが仕組んだ暗殺だとしたら……サキュバスを利用し、リュウジュの実を使い、先代の法王が身動きを封じられたとしたら……そして今回、同じ手口でサキュバスを……待てよ、クシナもそのやり方で……」
「姉上も!いや確かに、大した抵抗もすることなく、姉上は……」
「繋がったの、まどか。」
「だとすると、リュウジュを切り倒したのはなぜ?……もう必要無くなったということか?」
「あるいは証拠隠滅……かの。」
「ねぇまどか、私、ちょっと試したい事があるの。エミリオにも手伝って欲しい。」
「あぁ、いいよ。」
リュウジュを切り倒した理由がわからぬまま、会議は小休止した。
いよいよストックが無くなった。
頑張って書きます。




