S4-3
『アップデート完了。アプリさん2.0.2は、正常にインストールされました。』
『よし。まずは時空魔術の共有だな。クラウド接続!』
突如まどかを襲う偏頭痛。
『うっ!なんだこれっ……頭が……』
『一度に大量の情報が流入したため、まどかに高負荷が掛かりました。生命の危険はありません。』
(あ、あぁ、そう……久々だな偏頭痛。元の世界じゃ割りと定期的にくるから、ドラッグストアで60錠入りの徳用頭痛薬買って持ち歩いてたなぁ……イベント会場で、女の子の痛みで蹲ってる子にあげたこともあったし……でもこっちじゃ薬も無いしなぁ……)
『この痛みは、治まるの?』
『時間が経てば治まります。』
『そう……んじゃ、最適化ツールで、空間転移を……』
『高負荷がかかります。宜しいですか?』
『Yesだ。』
するとまどかは、その場で意識を失ってしまった。
気がついた時には、まどかはコバルトの膝枕で横たわり、チェリーがまどかの汗を拭いていた。
「……ど、どうなったんだ……」
「「お目覚めですか?まどかお嬢様。」」
周りでは全員が心配そうに見ている。サキュバスでさえ心配したようだ。
『まどかの高負荷軽減のため、オートモードに切り替えました。最適化完了。通常モードに移行します。』
『そういうの、先に言ってくれないかなぁ……まぁ、私が頭痛いって言ったから、アプリさんの判断なんだろうけど……』
「心配かけてすまない。もう大丈夫だよ。ちょっと新しい能力を修得するのに、負担がかかっただけだ。」
「もう!まどか心配したんだからね!新しい能力って、なにもここでやんなくてもいいじゃない!」
「いや、メグミ、今すぐ必要だったんだ。」
「なんなんすか?その能力って。」
「ハンス、待って。サキュバス、私達は一度屋敷に戻る。この場所はマーキングした。何かあれば、空間転移ですぐに来れる。魔女王に動きがあったら連絡をたのむ。」
「いいだろう。我が糸にて知らせる。」
まどかは、ジョーカー、チェリー、コバルトと共に、全員を四方から囲んだ。最適化された空間転移術を共有し、屋敷の会議室へと転移した。
「うん。なんとか成功したな。」
「おい!まどか!ちと無防備過ぎるのではないか!」
「そうだぞ!敵地も同然の場所で気を失うなど、もってのほかだ!」
武王とシルバが詰め寄る。エミリオも頷いている。
「まぁまぁ、私も迂闊だったが、仲間を信じてるからな。それに……今の段階で私に手は出さないだろう。」
「……ふむ……かもしれぬが……」
「ほんと、まどかって、すっごい先の事まで考えてるかと思えば、時々思いつきって言うか、行き当たりばったりでやっちゃうことあるよね。」
「左様でございますな。」
「まぁ、そこがまどか様の魅力っす!」
「能天気な奴らよ……シルバ、これはいちいち気を揉んでいたら、こちらが損だぞ。」
「のようだな。まったく、能天気はシンバ一人で十分なのだが……」
「なんか言ったか?」
「なんでもない。」
「さて、エミリオはこれからどうする?なんならここに住んでも構わないけど?部屋は空いてるし。」
「うん。そうさせて貰うよ。僕もこれからのこと、ゆっくり考えたい。それがまとまるまで、ここで住まわせて欲しい。」
「という訳で、エミリオも今日から仲間だ!」




