S4-2
魔女王の森、その最深部、魔女王邸。
「おのれぇ!サキュバスめぇ!」
眷族のバンパイア、8名の魔導師と円卓を囲み、激昴するクシナ。円卓は水鏡のようになっており、ある者の見た映像が映し出されている。音声は届かないが、サキュバスが何か、自分に対して良からぬ企てをしているのは感じ取れた。
「なんとかして、サキュバスと武王、聖女を切り離さなくては……何か良い手はないか?」
「おそれながら女王様、町中で騒ぎを起こすのはいかがでしょう。武王も聖女も、言うなれば冒険者。ギルドの小者では手に余るような騒ぎとなれば、出ずにはおられないかと愚行致します。」
「ほう。して、その騒ぎとは?」
「海獣を操り、港にて暴れさせるのはいかがでしょう。」
「なるほど。出来るのか?」
「操ると申しましても、外洋より追い立て、港に入った所で、我らが結界にて閉じ込めれば良いかと。」
「ほう。面白そうじゃ!早速かかるがよい!」
「「ははっ!」」
魔導師は、眷族のバンパイアを呼び寄せる。漁師、冒険者、商人……いたる所に眷族を忍ばせている。法王暗殺の冒険者というのも、冒険者を拉致し、契約によって眷族としたものであった。
「大型の海獣を呼び寄せて参れ!脅すも良し、好物で誘うも良し、方法は任せる。」
「「かしこまりました。」」
「表の港は壊したくない。我らの獲物を招き入れる大事な港じゃ。暴れさせるならば漁港に致せ!」
「「御心のままに。」」
「これでクリシュナとか申す者も、まとめて始末出来ればなお良い。ククク……大した力も持たぬゆえ、放置しておいたのじゃが、コソコソと嗅ぎ回っておるようじゃ。この辺りで片付けるのも手じゃな……」
眷族達は、行動を開始した。商人が海獣の好む匂いの液体を詰めた樽を準備する。それを漁師の船に積み込み、冒険者と共に出航した。
-リュウジュの洞窟。まどか達は、今後の行動の打ち合わせをしていた。チェリーとコバルトが、まどかに思念リンクをしている。
『『まどかお嬢様、わたくし達二人の時空魔術をお使い下さい。』』
『二人の?どういうこと?』
『『チェリーには、空間座標を特定する術がございます。一度行った場所ならば、全てピンポイントで特定出来るのです。本来この術は、遠距離にて攻撃魔術を当てる術なのですが……そしてコバルトには、瞬間移動の術がございます。目に見える範囲でしたら、テレポートが可能でございます。』』
『なるほど。二人の術を同時に発動して融合すれば、特定座標への転移が可能かもしれない……という訳だな。』
『『左様でございます。まだ試したことはございませんが、理論上は可能かと。』』
まどかは思考する。そして、
『アプリさん、いい方法無いかな?』
『アップデート情報。アプリさん1.1.0をアップデート出来ます。アップデート後の機能は、
並列インストール。同時に複数のインストールが可能。
最適化ツール。術の利便性向上のための最適化を行使。
クラウドサーバー機能。まどかに繋がる端末、(ジョーカー、チェリー、コバルト)との、能力の相互利用。
です。アップデートしますか?』
(タイミング良すぎだろ!もちろん『Yes』)




