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S2-2



翌日、まどか達はギルドへ向かった。

現時点でギルドが掴んでいる情報を聞くためと、町の人達がギルドに対して、どう思っているのか、その確認をしたかった。

町の人達は、まどかに対しての態度は変わらなかった。むしろ、今の状況から聖女様が救ってくださる……という思いが強いようだ。武王やギルドに対しては、


「なぜ武王様は、あのような事をなされたのか……」


と、困惑している者が大半を占めていた。まどかは違和感を感じる。武王が首謀者という点には、誰も疑問をもってないのか?普通なら、武王様に限ってそのような事をなさるはずが……

という者が居ても、いいのではないか?教会から齎される情報は、100%信用しているようだ……誰も疑わない。それは危険なことでもあると、まどかは思った。

(情報操作、ミスリード、思考操作……何かが行われている気がする)


「とにかくギルドへ急ごう。何が正しくて、何が嘘なのか、見極めなければ。」



ギルドは静まり返っていた。人が居ないわけではない。むしろ、することがなく、途方に暮れた冒険者達で溢れていた。その中をまどか達はカウンターに進む。


「ステラと話がしたい。取り次いでくれないか?」


「ま、まどか様ー、私達、どうなっちゃうんですか?ステラさん、衛兵に連れてかれちゃいました……」


「なんだって!」


「それでみんな心配で、ここで待ってるんですぅ。」


「……そうか。じゃあ、その時の状況、詳しく聞かせてくれないか?」


まどかを中心に、冒険者の輪が出来る。その場に居合わせた者、町で情報を聞いてきた者、それぞれがまどかに説明する。一通り聞いたところで、一人の冒険者が呟く。


「武王様、とんでもない事を仕出かしてくれたもんだぜ……」


「!」


まさかギルドの冒険者までがそういう感想を言うのか!まどかは立ち上がり、みんなを見回すと、


「武王様という人物は、本当に暗殺などする方だと、みんなは思ってるの?」


「え?だって教会が……」


「お前らギルドの冒険者なんだろ?ギルマスの武王様と、教会が言うこと、どっちを信じるんだ!なぜ教会を疑わない?なぜ鵜呑みにする?何か特別な理由でもあるのか?」


冒険者達はそれぞれ考える。言われてみれば……なぜ武王様を犯人だと決めつけているのか、自分達にもわからない。まどかの問いに、今初めて疑問をもった。ざわつくホール、何故だ?みな口々に疑問の言葉を呟き、首を傾げる……


「聖女様、どうやら貴女はまとものようだ。」


ギルドの扉が開き、二人組が入ってくる。一人はステラ、もう一人は銀髪の老人、背筋がピンと伸び、佇まいは歴戦の強者である。


「先生!ステラさん!」


先生と呼ばれる老人、彼の名はシルバ。元ギルドのエースにして、今の中堅どころを鍛え上げた槍術の達人。武王をして、生涯のライバルと言わしめた漢である。法王暗殺の一件に疑問を持ち、ステラと共に衛兵の詰所に行っていたらしい。


「貴方は?」


「シルバだ。コイツらをほっとけない、ただのお節介じじぃさ。噂は聞いてるよ、聖女様。」


「まどかでいい。」


二人はガシッと握手をする。


「驚いたなぁ、底が見えねぇ……しかも仲間達まで化物揃いだ。」


「あんたも大概だろ、シルバ。」


「年寄りをからかうな。それよりシンバだ。アイツを助けたい。協力してくれるか?」

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