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A3-4



話しも一段落ついたところで、ワインのような紅い飲み物が出た。


「これは島の特産、リュウジュという果物を絞ったものです。」


「不思議なのよ。これ飲むとマナの回復が早いの。」


「俺は力が漲る感じだな。なんかこう、カァーッ!て感じでよ。」


まどかは、アプリさんに解析を頼んだ。果汁に少量の香辛料を入れたもの。薬の類いはないらしい。進められるまま、みんな飲んだ。ドイツのホットワインのような感じで美味い。


「美味しいです!」


「ホントっすね。漲る感じ、わかるっす!」


「お気に召しましたかな?これは私の力の源なのですよ。神託を受ける前には、必ず飲みます。」


「へぇ……私達も聞こえるのかな?神様の声。」


「どうでしょう、もし聞こえるならば、後継者になっていただきたいですね。」


遅くまで語り合い、まどか達は泊まることになった。ここまで体の異変はない。入れるの忘れたのか?それとも安心させて朝食に入れるのか?考えてもしょうがないので、寝ることにした。


-その夜、まどかは、少年の夢を見る。

巨大な竜に抱かれ、少年は成長する。ある日蜘蛛がやって来て、竜に噛み付いた。蜘蛛は卵を産み付ける。孵化した子蜘蛛は、竜の体内を食い荒らし、強大な魔力を得ていった。竜は己の体を紅蓮の炎と化し、子蜘蛛達を焼き尽くした。怒った親蜘蛛は、弱った竜を植物化して、少年を狙う。竜は枝と化した爪で親蜘蛛を突き刺し、包み込むように少年を根で覆った。

少年がまどかに語りかける。


『まどか、親蜘蛛はまだ生きてる。子蜘蛛の生き残りもいるみたいだ。僕も少しづつマナを吸い取られている。お願いです!蜘蛛を退治して、僕を助けて!』


『誰?』


『僕はエミリオ。竜王の子供…竜の島の最後の生き残り……』


『エミ……リオ……?』


まどかはそこで目が覚めた。辺りは真っ暗な深夜、周りに仲間以外の気配もない。


(妙にリアルだったな……植物にされた竜……まさかリュウジュか?)


その時、遠くから笛の音が聞こえた。その音は次第に大きくなり、それに比例してまどかは、血が騒ぐような感覚になる。


「なんだこの音……不快だ、意識が……持って行かれる……」


『……』


『……どか』


『まどか、気をしっかり持って……』


『……ど、こ?』


『わからない。急にまどかの意識が消えたから、必死で呼びかけたんだ……無事でよかった……ちょっと、マナを使いすぎた……』


ようやく気が付くと、知らない部屋に居た。みんな椅子に座り、どこを見るでもなく呆然としたいる。


「ようこそ下僕達よ。今日よりお前達は、我が母なる神の下僕となるのだ!」


笛を持ち、神官服を着て現れたのは司教だった。精神支配系の術はレジスト出来るはずのまどかが、笛の音に操られ、ここまで来たと言うのか?そのカラクリがわからないうちは、下手な手出しは出来ない……


「お前達には神への供物、町の男共を釣る餌になって貰うぞ!しっかり働くがいい!」


そう言うと司教は笛を吹く。まどかも自我を保とうと抵抗するが、意識を失い、次に目覚めた時には、元のベッドの上だった。


何も無かったように、みんなで朝食を食べた。意識もしっかりしているし、操られているような素振りもない。まどか達はそのまま、自分達の屋敷へと帰るのだった。

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