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A3-3



法王邱。

王城と言うより、教会と屋敷の間のような建物で、石造りの白い豪邸だ。神官服を着た人達が数十人、忙しそうに働いている。この島は、三人の王の領地の区分はない。派閥という概念がなく、それぞれが役割を果たし、島全体を統治している。


この日、法王邱に三人の王が揃っていた。どうやらそれぞれの目で、まどか達を見極めようというのだろう。円卓に白髪の老人、白い髭を蓄え、法衣を着た王コクーン、右隣には黒いドレスを纏い、褐色の肌に穂長の耳、年齢不詳のダークエルフ、島の結界を司る女王クシナ、法王の左隣には、銀髪のウエーブがかった丈夫、未だ現役と言わんばかりの鋼の肉体、武王シンバの姿があった。


「ほう。コイツが噂の聖女か!俺には武人に見えるがな。冒険者なんだろ?だったら俺の管轄だ。俺の顔、覚えとけよ。シンバだ!」


「そなた、エルフの血を引いておるな。我が屋敷にも遊びに来い!森もあるぞ。ゆっくり話をしたいな。この島にエルフが訪れるなど、120年ぶりか、クシナじゃ。」


「その姿、神のお告げそのままじゃ!やはり神託は間違い無い!聖女よ、我が国の危機に訪れた者よ、どうかお救いくだされ……」


「コクーン殿、その話しは後だ。国の危機ってヤツもピンと来ねぇ。まずは食って飲んで語ろうぜ!」


「そうじゃコクーン。会ったばかりでいきなり危機を救えと言われてもな。まずは心を開こうぞ。」


「おぉ、私としたことが。あまりの感動に我を忘れてしまいましたな。まずは宴としましょうか。」


神官服の人達が、料理を持ってくる。この世界に来て思ったのだが、男にしか出来ない仕事、女にしか出来ない仕事というものがないらしい。力仕事だろうが女性も働くし、家の事も当然のように男もする。男だからと威張る事もなく、女だからという甘えも虐げもない。本当の意味での平等だ。配膳をしてくれた人達も、男女それぞれ居た。


流石は島国、海の幸が豊富だ。野菜が少なめだが、熟れる前の果物を野菜代わりに使って補っている。絶妙なタイミングで柔らかく蒸しあげられた貝類が、ことのほか美味かった。さすがに生で食べる習慣はないらしい。表面を炙るなり、干すなり、何かしらの熱を通した料理だった。


「どれも美味しいです。海の恵みが豊富なのですね。」


「シンバ殿や、町の冒険者達が、海獣の被害を抑えてくれているおかげです。」


「まぁな。民の暮らしを守るのが、王としての務めよ。島に魔獣が入って来ねぇのもデカイな。結界さまさまだ。なぁクシナ様。」


「民と言えば我が子も同然。子を守るのは親たる我等の義務です。ねぇコクーン。」


「お二人には感謝しております。私など、王とは名ばかり。神のお告げをお伝えするだけでございますゆえ。」


「そのお告げで、俺たちがどんだけ命拾いしたと思ってんだ!あんたも立派な王だよ。」


「そうですよ。結界の綻びをいち早く見抜き、魔獣の上陸を防げているのも、そのお告げのおかげですよ。」


「まぁまぁ、我等の話しより、まどか様達の冒険の話しが聞きたいですね。」


「私はエルフの子と、森の話しがしたいわ。」


「俺は陸の魔獣の話しだな。どんな強ぇヤツがいるんだ?」


食も進み、話しも進む。まどか達は順追って旅の話しをしたのだった。

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