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セシャトのWeb小説文庫2019  作者: 古書店ふしぎのくに
第七章 『Spirit of the Darkness あの日、僕は妹の命と引き換えに世界を滅ぼした 箸・黒崎光』
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口癖のあるキャラは自信過剰

この前ですが、フルーツパフェを食べに行きましたよぅ! 四角いスプーンの先端が何故かギザギザしているんですよね! フォークにもなるらしいのですが、正直使いにくいスプーンです^^ そんなスプーンが私は大好きです!

 石川は、ヘカと欄。彼らと同じく『Spirit of the Darkness あの日、僕は妹の命と引き換えに世界を滅ぼした 著・黒崎 光』をスマホで開く。

 そして石川は目を細める。



「知らない物や相手に対して抱く恐怖というものは人の持つ当然の反応なんでしょう。この物語は実のところ、SFというよりそう言ったスピリチュアルな部分の方に僕は胸を打たれます。吐き気をもよおしませんか? フロンティアの行った未来のコロッセオ」



 自動の人狩用兵器に対して、理論上それを撃破できるマニュアル武装。囚人に重しを架して、同じ武器を持たせたグラディエーター。

 歴史は繰り返す。



「まぁ、コロッセオも事実、見世物として最初は成功してたんすけど、生き残ろうとしたグラディエーターが考え出した網打ちのみになって定石化した為っすからね。頭のいい奴は武器の使い方も上手いんすよ。あと、フロンティアの兵器なら、裏技みたいな使い方もできたかもしれねーっすね」



 欄が石川の発言に対してあえてアナログな回答をする事で石川はこの欄に興味を持つ。



「お姉さん」

「欄でいいっすよ」

「欄さん、ログから戻された存在は生きていますか?」

「そうっすね。生きてるんじゃねーすか? その残されたログの期間分は……と自分は思うっすけどね。そして、フロンティアは響生君のイメージコピーを沢山作ったりしようとは思わなかったんすかね? あっ、これはちょっとダメな奴っすか?」



 ヘカの後ろにわざとらしく隠れる。

 ヘカは少し不機嫌にもう一度言った。



「耳が腐ってるん? なんで怪盗なんかしてるん?」



 石川はヘカを見てからおかしなことを半笑いで言った。



「ヘカさん、もし、この作品のようにログでできた。それも集合体のような存在がいたとしたら信じますか?」

「信じるん」



 即答。それに石川は呆気に取られ、欄は猫みたいな口で笑う。ヘカを知る者であれば当然の回答。

 重篤厨二病患者。



「ヘカさんはアイとは違って、自信しかないんですか?」

「あたりまえなん! ヘカに出来ない事は神様にもできないん!」



 ヘカの言う神様とはあのちんちくりんな神様の事だが、当然そんな存在を知るわけもなく、石川はさらに呆気に取られる。そして少し黙ってから語った。



「僕は豊臣秀吉に一族ごと処刑された石川五右衛門達です」

「なんなん? 『Spirit of the Darkness あの日、僕は妹の命と引き換えに世界を滅ぼした 著・黒崎 光』が、キャラ目線が話事に変わるのに影響されたん? とでもヘカが言うと思ったん? 知ってたんよ!」



 ヘカのその言葉に石川は言葉が出ない。そしてヘカの後ろにいる欄は、またヘカが適当な事を言っているなという呆れ顔。



「安土桃山の時代に、量子コンピュータがあったんですよ! 外宇宙の人々が友好の証にこの世界に送った代物、それは本来。この世界の争いを無くす為に使われるハズだった。なのに、秀吉は……」



 妄言を言っているようには思えなかったが、信じがたい事を話し出す石川。それに欄は少し考えてから話す。



「脳以外を機械化していきたいか? 美玲さんはそう響生君に聞きますが、人は生きたいと思うもんすよ。フロンティアは現実という制限の事までは考える事が出来ないでしょうね。遺物でしか分からないですけど、秀吉は人の心を理解できないような人間だったとも言われているっすね」



 秀吉の逸話として信長の草履を懐に入れて温めていたという話は有名だが、信長死後、秀吉が彼を呼び捨てで見下していた事を知る者は少ない。

 それとは認識が違うがフロンティアにおいては、半端という事はありえないんだろう。その実、現実世界は全てが半端であり、不平等な世界である事。そこまではフロンティア生まれの彼女には考えが及ばなかったのかもしれない。



「そうです。秀吉はこのマッドサイエンティストと同じ事をしたんです」



 やぶ医者と呼ばれるフロンティアの技術に対して異常なまでの執着を見せる男。それに石川は不快感を露わにする。ヘカはもう完全にこの二人の話にはついていけないので、欄が少し考えてから話し出した。



「石川五右衛門って、確か組織的な盗人の集団でしたよね?」

「そうです。外の星から来た人に量子コンピュータの使い方を教わった者達が、石川五右衛門です。石の川を五つの(にぎり)で衛る門。量子コンピューターを縮めて石川五右衛門です」



 石川が言うや否や、ヘカと欄は、ニューロデバイスでも繋がれたかのように当時の状況が目に映った。

 巨大なカラクリ、大理石のような物の中を流れる五つの何かを囲うように鳥居のような物が配置されている。欄ですら、理解できない代物。

 これが量子コンピュータなのだろう。それを見て、欄は本作の文章に目を移す。



「これ、The oneを使わなくても意味は同じハズなんすけど、何か意味があるんすかね? この世界、仮想域と現実域の自分があるんで、今の貴女という事すか?」



 ”貴方が信用すべきは私ではない”という文章に疑問を抱く欄。そこは英語で返答が返される。言語を人間の理解域にコンパイルされているのか、それとも?



「多分、文法の問題じゃないですか? 日本語の文法難解難度は世界一だからです。コンピューター言語との相性も最悪ですから」



 石川が欄と同域で話をするが、それに関しては欄は反対意見だった。



「それは自分達の世界レベルでの技術っすからね。量子コンピュータを作ってしまうセカイっすよ。人口知能だけじゃなくて、人口無能も相当な水準だと思うんすよね」



 欄はWeb小説を読むという事に一日の長が石川よりあった。小説としての柔軟な受け入れ方も熟知している。

 石川が少しだけ、現実的な事を言われて落ち込んでいるので欄は笑いながらこうも言った。



「まぁ、ここまで人間らしく話す対話機能なんだったら、言語認識を日本語にお願いをして断られたら、今そのプログラムを組むように命令すればいけるかもしれねーっすね。あるいは、翻訳して返せとでも」



 石川は成程なぁと思うが、ヘカは全然分からないのでイライラをため込む。石川はサラの取引方法を読んでから呟く。



「秀吉に量子コンピュータの力を見せた時、あいつはおぞましい事を考えた……くそ、この物語。話中に視点移動がこのあたりから多いですね。ちょっと理解がおいつきません」



 今までは、話毎の視点移動という物は多くみられたが、四十話後半くらいから、顕著に視点移動が繰り広げられる。欄はそうでもなかったが、これに苦言を漏らしたのはヘカ。

 ”いちいち、言ってる事の理解が出来ないん。なのに、ころころ場面が変わるん。忙しいんな!”

 そう、専門用語だけでなく、場面の状況に関しても少しばかり、内容が細かい。全情景を表現したい気持ちが伝わってくるが、大分しんどい。



「前のページが関連性なかったら、前まで戻って読まないといけないん!」



 それはヘカの理解力が低いだけなんじゃと欄は黙って聞いていたが、わりと理解力が高く、欄ともツーカーで話せる石川が少し混乱している事からそうなのかもしれないなと欄は二人を見る。

 この現状の空気を変えようと欄が言ってみた。



「この対話英文。随分綺麗っすね。技師は日本人なんすかね?」



 日本人の英語文法は現地人よりも厳しいとはよく言われている。

 その心は……



「まぁ、向うの言語使うマシンだと大体ASKとかで、後は量子ネットワークの復旧をやや命令的に希望してくるんすよね」



 へぇと石川にヘカが頷いている中、ヘカがやぶ医者の口癖に関してどや顔で話し出した。



「このやぶ医者という男の喋り方、イラつくんな? 毎回、毎回うんと言い過ぎなん! こういうタイプは自分への絶対的な自信を持ってるタイプなん!」



 変な口癖といえば、ヘカの「なん!」も中々に耳障りなのだが、それを本人は分からない。というか口癖のある人間は自分の口癖を気にしない。やぶ医者もまたそうなんだろう。彼は随分頭のネジが飛んでいるようで、マッドサイエンティストらしく、人体実験と言えるような所業を繰り返している。



「鹵獲した物を改造、この場合は改悪っすかね? するのは戦争の常套手段すけど、自分でもこんな事はしねーっすよね。中々、興味深い人っす。これはあれっすね。父親の被害者かとおもいきや、子供の方も純然たる同一優勢遺伝子を持っちゃってる感じっすね。ストレスがなさそうでいい事っすね」



 欄がどん引きしながらそう言うのでヘカはオレンジジュースを缶でもってくるとそれをごくりと飲み干す。



「キャラづくりとしては、この父にして息子ありパターンはよくあるん。でも、他兄弟を殺めている描写からして、子供の方が狂気に磨きがかかっていると読めるかもしれないん!」



 ヘカと欄はこういう頭のネジが飛んだキャラクターが好きである。それ故、楽しそうに話している。

 一人だけ親の仇でも見るよにスマホ画面を石川は見ていた。



「これと同じ事を秀吉はしようとしていたんです」



 先ほどと同じ言葉。



「どういう事っすか?」

「秀吉は量子コンピュータの有用性と危険性をいの一番に理解したんですよ。それはすぐに石川五右衛門達から奪い。それを使用できる者を育てようとしたんです。世界宗教を作る為に」



 それに欄が少し考えてから石川に言う。



「秀吉さんって宗教嫌いなんじゃ? 嗚呼! そういう事っすか、宗教の力を知っているいるから宗教が怖かったんすね? あの人、歴史を見る限りかなり臆病者っすからね。それで、自分を頂点にする宗教を作ろうとした……といったあたりっすか?」



 石川はそれを否定しない。

 そういう事なんだろう。だが、歴史上に量子コンピュータを秀吉が使ったという記録はないし、それは失敗したんだろう。



「量子コンピューターの使用は、石川五右衛門達にしかできないように細工されていたんです。ですから、量子コンピューターを取り返そうとして部品を盗み取っていった石川五右衛門達はついに捕まり、秀吉によって煮えた油の中に突き落とされた。かわりに、量子コンピュータを永久に動作不良にする事ができたんです」



 衝撃の史実が語られた。石川五右衛門というコンピュータを操作する一団の処刑こそが、大泥棒の最期であると……

今回のお話ですが、誰が書いているか分かりやすいですね^^ こういう系を書かれるのは……

『Spirit of the Darkness あの日、僕は妹の命と引き換えに世界を滅ぼした 著・黒崎 光』

皆さんは読まれていますか? もうじき学生さんは夏休みですよね? その長い休みを使って是非ともSFの世界に短期旅行してみませんか?

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