君に送る
これは君の為に書いたと言えば、どれだけ我々が傲慢なのか……書いては消して、消しては書いて、繰り返した後に気づいた。
嗚呼、これは我々の大いなる自己満足なのだと、誰も知らない、誰も喜ばない、誰も苦しまない。
そう、そういうものでいい。
君と共に食事をし、君と共に笑い、語り、それらがもう二度と出来ないのであると知ったこの空虚感をなんと例えればいいのだろうか? 水の入った薬缶を熱すればそれはいずれ湯となり、沸騰する。その沸騰した湯はいずれ蒸発していく。それでも尚その火を受け続けたら、さしもの薬缶にもいずれ穴があく。
我々は人生とはそういうものだと思っていた。自分を大事にして大事にして、大事にした暁に最期を迎える。
あるいは、自分をイジメてイジメて、イジメぬき最期を迎える。人はそうあるべきなんだろうと思う。
そうでない場合を知った。いや違う。そうでない場合がある事を知っていた。だけど、それは何処か遠い国の話のようで現実感をもってはいなかっただけなのだ。
なんで君が……私だったら、僕だったら、アタシだったら、俺だったら、ウチだったら……後悔とは絶対に先には来ない。
我々にできる事はなんだろう。なんだろう。なんだろう……
文字を駄文を綴る事しかできない我々を許して欲しい。許すもなにも許してもらう必要はないのだけれど、言葉の綾と言うべきか、これはスピリチュアルな領域の対話とでも言っておこうか……
我々は君をここに置いていく事にした。これは我々が自己満足として机に向かい、君をここに置いていく為の物語になる。
本心は君ともっと長く一緒にいたかった。少しだけそっちの世界で待っていてほしい。なぁに、人間の人生なんて長くても百年だ。
そしたらもう一度チームを組もう。その為に君をここに置いていく。我々には明日があるから、非情な決断だ。呪ってくれ、恨んでくれ。
その方が、君を感じられるから。
さよならとは言わない、されどまたね。とも言わない。我々は進む、明日を目指して進む。この日、この時、この晩に約束しよう。
いつか、絶対に完結させよう。共に完結させよう。だから君にはできない事を我々はしにいくのだ。
君の知らないタイトルだ。群青未完。我々、青い連中の集まりは完結できなかった。だから群青未完だ。
君のその才を羨んだ。
そんな青くて、馬鹿な我々の物語を君に送る。何処にも宣伝するわけでもない、これは君の為だけでに我々が送る物語だ。これは決して完結はしない。何故なら、君がいないからだ。
もし、生まれ変わりがあったなら、また君と創作がしたい。




