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40/42

38 改めて言います。



3月始めの日曜日。俺は駅の前で拓人さんと待ち合わせしてた。

服はもちろん、拓人さんに指定された通りの物を着てる。

白いふわりとしたワンピース。その上から、淡いピンクのカーディガンを羽織って、肩には小さなショルダーバッグを提げてる。寒いかと思ったんだけど、思いの他暖かいから、春物のコートは着てない。



「 それにしても、拓人さんなんでこんな服装指定してきたんじゃろ?」


手持ちのワードローブになかったんで、先日母さんと一緒に買い物に行った時に買ったんだ。その時、試着した俺を見て母さんは、『 花嫁さんみたいね』と言っていた。

花嫁さんかあ。なんか今日実家に行く事と関係しそうなんだなけど。

俺がそんな事を考えていると、拓人さんがやって来た。

拓人さんは、紺のジャケットに白いシャツと暗い色のジーンズ。何度か目にした事のある服装だけど、今日は、なんだかかしこまった格好に感じるのは、気のせいだろうか? まぁいいか。


それから、俺と拓人さんは、電車に乗り俺の実の家族が住む中島市へと向かった。

今日まで何度か、なんで俺の実家へ行く事とにしたのか、拓人さんに訊いたけど、のらりくらりとかわされて、理由がわからないままだ。今も訊こうかと思ったんだけど、拓人さん難しい顔してるんだ。何か緊張してるみたいな感じ。だから、訊ける雰囲気じゃないからやめておいた。


電車に乗る事約2時間。俺の実家がある中島市へ到着。駅から歩いて、約20分程で俺の実家についた。



「いらっしゃい。待っとたで」


玄関で俺達を出迎えたのは、隆史父さんだ。ニコニコしながら、上がるように言ってくる。

隆史父さんは、俺達をリビングへ通してくれた。リビングへ入ると、紫織母さんと朝陽兄さんまでいた。

本当に今日なにするの?ソファーに座った 紫織母さんは、ニコニコしてるけど、その隣の朝陽兄さんは、ムスッとした顔だよ。なんというか、娘の彼氏に会うお父さん的な雰囲気なんですけど。


「 まあ、座ってくれや」


と隆史父さんは、紫織母さんの隣に座りながら、そう勧めてきたんで座る。


「 失礼します」


拓人さんが先に座って、その脇にちょこんと俺も座ると、隆史父さんが口火を切った。


「 ほいじゃ( それじゃ)改めて、この前、電話で話してくれた事について、言ってもらおうかいの」

「 はい。夕陽さんと結婚を前提にしたお付き合いをさせてください」


えーと、拓人さんいきななり何言ってるの? 結婚とか早すぎるでしょ? 俺達まだ、10代だよ。


「 えかろう。やーこれで一安心じゃ、のう母さん」

「 そうね。拓人くんなら、夕陽の事安心して任せられるわね」


二人供納得せんでや! (しないでよ)何、先に話すすんでんの?


「 ちょっとたんま。 隆史父さんも紫織母さんも、拓人さんがこんな話するって、知っとったん? てか結婚って何なん?」

「 まあ、座れや。拓人くんが、一から話してくれるけぇ。落ち着け」


思わず立ち上がっちゃた俺は、ソファーに座り、拓人さんの話を聴くことにする。


「 実はこの話さ、隆史さんと紫織さんお二人だけじゃなくて、瞳子さんと優さんもご存知なんだ」


そうなんだ。ちなみに、優というのは、言わずもがな現在の俺の父親の名前だ。

まあ、父さんの名前はともかく、今は、拓人さんの話だよ。


「 この前、ここに来た時に、隆史さんにさ、『 夕陽の全てを受け止める覚悟はあるんか?』って訊かれただろ。その時、『あります』って答えた。あれからね。色々、僕なりに考えたんだ。夕陽の全てを受け止めるって、一生支えていく事じゃないのかなって。だから、結婚って考えにいきついたって訳なんだ」

「 そうなんだ」



拓人さんそこまで考えてたんだ。なら、俺もその覚悟に答えなきゃ。


「 改めて言います。僕と結婚を前提に付き合って頂けませんか?」



今日の夜にも更新予定です。

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