37 相談です。
ちょっと短いです。
『相談があるので放課後、いつもの店で待ってます。』
朝起きて、携帯にこんなメールが来てたんだ。相手はもちろん拓人さんだ。
相談なんだろう? まぁいいか、放課後に訊けばいいや。
俺はそう思い、『了解です』とメールを返信した。
放課後。 いつもデートの時に、お茶してるドーナツショップに向かう。
拓人さんは先に来ていた。俺は、注文したドーナツと紅茶を持って正面の席に座った。
「 相談って何なん?」
座るなり、俺は切り出す。拓人さんの性格上、なかなか打ち明けないと思うから、こっちから、先制攻撃を仕掛けた方がいいんだ。
「 いや、もうすぐ3月だろ。ホワイトデー何がいいかなって思ってさ」
「 ホワイトデーね。でも早くない? バレンタイン終わったばっかりじゃん」
「 そうなんだけどね。部活で卒業生を送る会をやる事になってさ。その幹事まかされちゃったんだよ。その準備で、夕陽に会う時間があんまり取れなくなるし」
「 それで、早目にお返し考えてほしいって事?」
「 ん、まっそんなとこ。――まあ、それだけが、理由じゃないんだけどね」
そう言って、コーヒーを飲む拓人さん。
歯切れ悪い。なんか隠してるな。
深く追求すべきなんだろうか? それとも、素知らぬ顔してるべきなのかな?
まぁいいか、追求はしないでおこう。
「 これといって、ほしい物も無いんよね。あっこの前チョコあげた時、ひっちゃかめっちゃかなデートだったけぇ、ちゃんとしたデートしたい」
「 デートか。行き先は僕が決めてもいい?」
「 うん 、わかった。決まったら連絡してね」
「 明日の夕方には、メールするな」
その時の俺は、デートでどこに行くのか楽しみで、拓人さんが重大な決断をしてるなんて、全然思ってなかった。
翌日の夕方。予告通り、拓人さんは携帯にメールを送ってきた。
『 夕陽の実家に一緒に行こう』
実家って。なんでだろ? お付き合いしてる事は、紫織母さんも隆史父さんも了承済みだから、改めて報告する事じゃないしね。
色々と気になるけど、俺はとにかく、わかったと返信した。しばらくして、拓人さんから、当日の待ち合わせ時間と着てきてほしい服の事までメールに書いてあった。待ち合わせ時間はともかく、服の指定までするなんて、よくわかんないな。
そのせいじゃないけど、俺は、デート当日まで、もやもやした気持ちでいっぱいだった。
あと1話か2話くらいで終了します。




