27 風邪
期末テストも無事終わって、今日は、終業式。明日から冬休み。そして今日はクリスマスイブ――のはずなんだけどねぇ。
朝起きたら、頭痛と吐き気それと熱っぽさに襲われたから、母さんにみてもらう事にした。
「 風邪ね。熱もあるから、今日は休まなきゃ駄目ね。」
「――うん。わかった。」
……昔から肝心な時に風邪ひいたりするんだよな。
遠足とか運動会とか楽しみな行事程何故か風邪をひいて熱が出てしまう。
――はあ、今日拓人さんと会う約束してたのにな。
俺はお粥を少しだけ食べて薬を飲むと、ベッドに入るなり、枕元に置いてた携帯で今日は会えないという内容のメールを拓人さんに送った。返事は短く了解とだけきた。
俺はそれを確認すると、携帯を枕元に置いて眠りについた。
「 んう?」
額のあたりに柔らかい物があたる感触で、俺は目が覚めた。
「 調子どうなんだよ? 夕陽。」
「 にょえ? 拓人さん? 調子は朝よりええよ。」
まだぼぉーっとする頭で拓人さんを見ながら俺は返事する。
――拓人さん顔が赤いような気がする。
俺はそんな事を考えながら、拓人さんにさっき何から気になる事を訊いてみる。
「 ねぇ、さっき俺の頭触るかなんかした? 」
「 へっはあ?! 何にもしてないよ。うん。断じてしてない。」
拓人さんは、大袈裟くらい首をふって全力で否定してる。なんか気になるけどいいか。
「……ならええけど。ねっそこのスポーツドリンク取って。」
「 ああ。」
さっきから挙動不審な拓人さんを変に思いつつも、俺は体を起こしてスポーツドリンクを拓人さんから受け取り飲む。
俺がスポーツドリンクを飲んでいる間拓人さんは、なにやらブツブツ言ってた。
バレてないよなとか、大丈夫だよなとか。
――マジで今日の拓人さん変だ。
「 ねぇ、さっきから変なよ? ブツブツなんか言うたり、顔も赤いし。」
「 別にぃ。僕は変じゃないぞ。気のせいだ。」
「 ふーん、俺の考え過ぎか。まあええか。俺また寝るね、まだたいぎいし。(ダルいし。)ごめんね。せっかく来てくれたのに。」
「 気にするな。早くよくなれよ。」
「……うん。」
俺は横になると布団をかぶる。布団ごしに拓人さんがトントンしてくれる。
子供みたいな扱いだけど、それが心地よくて俺はすぐに寝入ってしまう。
後日、拓人さんが何をしたのか知って大騒ぎするのは別の話だ。




