25隣にいるのは……
俺達の目の前をひなと仁がイチャイチャしながら歩いてる。
少なくとも、俺と拓人さんの目にはそう写る。
――本人達は否定するけど。
「 仁! 今度こっちに行くよ! ほら、はよきんさいや」
「 へーへー。そんなにせかすなや」
ひなは、食べ物の入った袋を左手に下げ右手で仁を引っ張ってる。
仁は仁で、ひなに対しの返事はおざなりなのに、顔は少し緩んでてて全然嫌そうじゃない。
そんな二人を見てて、ふとかつての自分とひなが歩いてる光景が重なった。
俺の立ち位置に仁がいる。
ああやって、ひなに引っ張っられてるのは、俺だった。
いつかひなが拓人さんに嫉妬したみたいに、俺も仁に嫉妬してるのかな。
俺は、そんな事を考えながら歩いていた。
「 どうしたの?」
「 いや、なんでもない。」
「 仁に嫉妬か? 」
「 うん。まあ」
――図星をつかれたよ。俺は苦笑して拓人さんに心のうちを明かした。
「 前にひながさ、拓人さんに向けて言ったのと同じなんだ。 ひなにあんな風に引っ張っりまわされんの俺の役目だった。
けど、もう俺じゃ無理なんよ。」
俺は一旦言葉を切る。数秒間を置いてから、言葉紡ぐ。
「 それに俺の隣には拓人さんがおるしね。――だから、俺が迷わんように手をつないでて。俺が間違ったり迷ったりした時は、この手を引っ張ってくれると嬉しい。」
俺は、拓人さんの手を握った。
「 わかったよ。」
「 ありがとう。」
自然と拓人さんと俺の顔が近づこうとした時、ぶち壊す人物が現れた。
「 はいはい。それ以上くっつかない。ほら、夕陽、こっちに行くぞ。」
「 何するんよ。仁。」
「 こら、仁。人の彼女を奪うな。」
「 別に奪ってません。妹にふしだらな行為させんためです。」
「 んにゃー。仁のバカーいいとこだったのにー。」
俺の叫びがグランドに響き渡った。




