17 ついてきてほしい。
翌日。酷かった生理痛もおさまり、顔色 もよくなったので学校に行った。
いつものように、アキと一緒に登校すると、俺は、自分の席に座る。
アキの席は、俺の席から少し離れた所にあるため、鞄を置くと、俺の席にやってきて、仲良くなった友人数人と雑談を始める。――馴染めないって思ってたけど、思い切り馴染んでるなぁ。
「 夕陽、昨日なんで休んだの?」
「あっえっ。 昨日は、頭痛がひどくて休んだんよ」
今、俺と話してる娘は、佐々原香澄。ショートの髪がよく似合う可愛い女の子だ。
香澄が、心底心配そうな顔で訊いてくるもんだから、若干引きぎみに答えた。
つか、アキ理由教えてないのか。
俺は、なんで教えとらんの? そういう意味をこめて、アキに視線を送ると、アキは、ごめんと言うように、手をあわせて、ペコペコと頭を下げてる。
まあ、いいや。反省してるみたいだし。
「 そうなんだ。アキに訊いてもさ、ウチ知らんよ。って言って言うし。心配してたんだよ」
「 そうなん」
理由が理由なだけに、言いづらいのは、わかるけど、その辺は、誤魔化して言ってくれればいいのに。香澄は、本気で心配してたみたいだ。
俺の答えを聞いてホッとしてるし。
俺の休んだ理由がわかると、香澄は、話題を変えて、昨日のテレビドラマの話を始めた。
放課後、全ての授業が終わり、部活がある人は、部活へ、塾や習い事その他用事がある人は、そのまま玄関に向かう。
「 夕陽! 一緒に帰ろ!」
部活がない香澄がそう誘ってくるけど、今日は拓人さんと帰る予定なので、香澄には悪いけど、誘いを断る。
「 ごめん。俺用事があるけぇ、一人で帰る」
「 あっ、彼氏と約束があるの? 」
「 まあ。そうだけど」
「 そうなんだー。じゃあ、仕方ないね」
「 うん。ごめん。」
「 いいよ。彼氏によろしくねん」
ニシシとからかうような笑いを残して、香澄は、教室から出ていった。
俺も早く拓人さんの所に、行こう。約束の時間に間に合わなくなる。
俺は、鞄を持って教室から出ていった。
「 ごめん。待った?」
「 いや、僕も今来たとこだよ」
俺が、拓人さんと待ち合わせたのは、駅前商店街内にある大手ドーナツショップのチェーン店だ。
俺は、好きなドーナツと紅茶を注文し、拓人さんは、ドーナツとコーヒーを注文した。
それぞれ注文した物を持って、空いてる席に座る。
「 で、話って何?」
「 んとね。俺のね本当の家族に会うのに、一緒についてきてほしいんよ。駄目?」
拓人さんは、少し苦い顔で考えこんでる。――やっぱり、無理なのかな?
「 駄目じゃないけど、ついてきてくれる人いないの? 雫とかアキちゃんとかさ」
「母さんがついてくれる」
「 お母さんが一緒なら、僕はついてく必要ないと思うけど。だいたい、赤の他人である僕がそこにいるのは、ちょっとね」
「 そうだね」
俺は、それだけ言って、紅茶を飲んだ。
母さんがついてくるなら、確かに拓人さんがついてくる必要はないな。
快く引き受けてくれるものだと思ってたから、ちょっとショックだ。
俺が、しょんぼりとした気分で、ドーナツを食べてると、意外な人物が現れた。
「 どっかで見た事のある娘がおると思ったら、夕陽じゃし」
「ひな?」
俺達の目の前には、何故か不機嫌そうな顔した幼なじみ様がいた。




