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17/42

17 ついてきてほしい。

翌日。酷かった生理痛もおさまり、顔色 もよくなったので学校に行った。


いつものように、アキと一緒に登校すると、俺は、自分の席に座る。

アキの席は、俺の席から少し離れた所にあるため、鞄を置くと、俺の席にやってきて、仲良くなった友人数人と雑談を始める。――馴染めないって思ってたけど、思い切り馴染んでるなぁ。



「 夕陽、昨日なんで休んだの?」

「あっえっ。 昨日は、頭痛がひどくて休んだんよ」


今、俺と話してる娘は、佐々原香澄。ショートの髪がよく似合う可愛い女の子だ。

香澄が、心底心配そうな顔で訊いてくるもんだから、若干引きぎみに答えた。

つか、アキ理由教えてないのか。

俺は、なんで教えとらんの? そういう意味をこめて、アキに視線を送ると、アキは、ごめんと言うように、手をあわせて、ペコペコと頭を下げてる。

まあ、いいや。反省してるみたいだし。


「 そうなんだ。アキに訊いてもさ、ウチ知らんよ。って言って言うし。心配してたんだよ」

「 そうなん」


理由が理由なだけに、言いづらいのは、わかるけど、その辺は、誤魔化して言ってくれればいいのに。香澄は、本気で心配してたみたいだ。

俺の答えを聞いてホッとしてるし。

俺の休んだ理由がわかると、香澄は、話題を変えて、昨日のテレビドラマの話を始めた。




放課後、全ての授業が終わり、部活がある人は、部活へ、塾や習い事その他用事がある人は、そのまま玄関に向かう。


「 夕陽! 一緒に帰ろ!」


部活がない香澄がそう誘ってくるけど、今日は拓人さんと帰る予定なので、香澄には悪いけど、誘いを断る。



「 ごめん。俺用事があるけぇ、一人で帰る」

「 あっ、彼氏と約束があるの? 」

「 まあ。そうだけど」

「 そうなんだー。じゃあ、仕方ないね」

「 うん。ごめん。」

「 いいよ。彼氏によろしくねん」


ニシシとからかうような笑いを残して、香澄は、教室から出ていった。

俺も早く拓人さんの所に、行こう。約束の時間に間に合わなくなる。

俺は、鞄を持って教室から出ていった。


「 ごめん。待った?」

「 いや、僕も今来たとこだよ」


俺が、拓人さんと待ち合わせたのは、駅前商店街内にある大手ドーナツショップのチェーン店だ。

俺は、好きなドーナツと紅茶を注文し、拓人さんは、ドーナツとコーヒーを注文した。

それぞれ注文した物を持って、空いてる席に座る。


「 で、話って何?」

「 んとね。俺のね本当の家族に会うのに、一緒についてきてほしいんよ。駄目?」


拓人さんは、少し苦い顔で考えこんでる。――やっぱり、無理なのかな?



「 駄目じゃないけど、ついてきてくれる人いないの? 雫とかアキちゃんとかさ」

「母さんがついてくれる」

「 お母さんが一緒なら、僕はついてく必要ないと思うけど。だいたい、赤の他人である僕がそこにいるのは、ちょっとね」

「 そうだね」


俺は、それだけ言って、紅茶を飲んだ。

母さんがついてくるなら、確かに拓人さんがついてくる必要はないな。

快く引き受けてくれるものだと思ってたから、ちょっとショックだ。

俺が、しょんぼりとした気分で、ドーナツを食べてると、意外な人物が現れた。


「 どっかで見た事のある娘がおると思ったら、夕陽じゃし」

「ひな?」


俺達の目の前には、何故か不機嫌そうな顔した幼なじみ様がいた。


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