15 変化その2
本日二度目の更新です。
「 起きたの? 夕陽?」
いつもの起床時間を過ぎても、部屋から出てこない俺を心配したのか、母さんが覗きに来てた。
「 かあさ~ん。俺」
母さんは、俺を抱きしめながら、血で汚れたシーツを一瞥する。
「 生理になったのね。泣かなくても大丈夫だから」
母さんは、俺を落ち着かせるように、頭を撫でる。
生理になった俺が?
「 生理って。女の子が月に一度なるやつ?」
「 ほうよね。学校でなろうたじゃろ? (習ったでしょ?) 男女の体の仕組みの違いとか。」
「 うん、習ったよ。でも、こんなに、血出るとは思わんかった。びっくりした」
「 うん。びっくりしたよね。はよ、(早く)シャワー浴びてきんちゃい。ここは、母さんが綺麗にしとくけ」
落ち着いてるようで、母さんも若干同様してるみたいだ。普段使わない広島弁で喋ってる。
俺は、新しい下着や制服を持って、部屋を出た。風呂場に向かう途中、俺の様子を見にきた雫ちゃんに、事情を説明すると、生理用ナプキンの使い方を教えてくれた。新品の生理用のショーツと一緒にナプキンを渡してくれる。
「 あっほうじゃ、血で汚れたショーツとズボン水洗いしてから、洗濯機に入れんさいよ」
「わかった」
俺は、脱衣場に入ると、汚れたショーツやズボンを雫ちゃんに、言われた通り、風呂場で、水洗いをしてから、洗濯機に入れた。
「 あーやっと、落ち着いた。」
俺は、熱いお湯で体を綺麗にしながら、ふと目に入った鏡を見つめた。
鏡に写るのは、少女から女性の体へと成長し始めた俺の体。控えめながら、膨らんだ胸。括れた腰に丸いお尻。
こうやって見てると、俺って女になったんだなと、改めて思う。
異世界で、女になって数ヶ月は、経ってるから、改めて思う事では、ない気がするけど、生理が始まったせいか、女の子である事実をありありと突き付けられた気がする。
気持ちの部分では、まだ男だった時の感覚が残ってる。だから、こういう形で、体は、どんどん女になっていく事に、俺は、戸惑いを感じていた。
俺が、シャワーを浴びて、出てくると、母さんが一言。
「 夕陽、学校今日は休みなさい。」
「 えっなんで?」
学校に行くつもりで、制服に着替えた俺は、突如そんな事を言われて、少々困った。
「 夕陽、自分がどんな顔してるのか、わかってる? 青白い顔してるの。それに、泣きそうな顔よ。だから、休みなさい。母さんも休みだから、一緒にゆっくりしましょ」
「 うん、わかった」
俺は、自分の部屋に戻ると、制服からお気に入りの部屋着に着替えた。
机に置いてる鏡を手にする。
母さんの言う通り、青白い顔をしてる上に、暗い顔だ。
こんな顔で学校に行ったら、クラスメイトに、心配かけてしまう。だから、休んで正解かも。
「 夕陽、おいで」
着替えて、リビングに行くと、ソファーに座った母さんが手招きする。
素直に母さんの所に行くと、何故か抱きしめられた。
「 母さん?」
「 いいから、そのまま」
「 うん」
母さんは、俺を抱きしめたまま、幼子をあやすように、俺の頭をなで始めた。
「 急に、体に変化が起きたから、しんどいでしょ。」
「……うん。」
「 今日休みなさいって言ったの、生理になってしんどそうにしてただけじゃないの。」
「 ほうなん」
「 夕陽、ずっと悩んでる事あるでしょ? 」
「 なんで、わかったん?」
「 解るわよ。一人でいるとき、ため息ついてるんだもん」
よく見てるな母さん。母さんに、あの事を相談してみようかな。
「 あんね、母さん。俺の本当の家族に会おうかと思っとんじゃけど、どうかね?」
俺の一言に、母さんの顔色が変わった。




