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12 デート

告白タイムが済んで、このまま家に帰るのも勿体ないからと、公園から、俺達は移動して、商店街近くにあるファッションビル内のファーストフード店で、早めのお昼を食べているとこだ。

そらは、ギャイギャイ騒いで、俺達の邪魔をするため、雫ちゃんに連絡して連れ帰ってもらった。



「 そう言えば、僕以外に夕陽の秘密知ってる人っているの? 音無家の人は別として。」

「 幼なじみと中学校の時の友達が、知っとる」

「 それは、男?」

「 二人とも、女の子だよ。証拠もあるよ」


俺は、携帯をとり出して、写真を見せた。異世界から戻ったばかりの頃、ひな達と買い物に行った時に撮った写真だ。


「 雫ちゃんの隣におるのが、服部ひな。俺の幼なじみ。ひなは、雫ちゃんとも保育所から小学校卒業まで、同じクラスだったんよ。こっちのツインテールの娘が長谷川真央。中学校の時の友達」

「 もしかして、この写真、ショッピングモールに行った時に撮ったの?」

「 そうだよ。拓人さんに初めて会った日だね」

「 ナンパされて困ってた夕陽を助けたんだよな。あの時の夕陽は、半泣きになってたよな」

「 半泣きになっとらん」

「 わかってるよ。冗談だよ。ほら、冷めるから早く食べよ。」

「 むう。意地悪じゃ」


からかわれた事に対しての抗議の意味をこめて、むくれてみせるけど、拓人さんは、涼しい顔で、ハンバーガーにかぶりついてる。

怒ってみせても、暖簾に腕押しなので、俺もハンバーガーを食べ始めた。

ハンバーガーを食べながら、拓人さんの観察をする。

拓人さんの目の前には、ハンバーガー2つとチキンにサラダまである。

部活でバスケをやってるって言ってたから、沢山食べないともたないのかもしれないな。

俺は、ふと自分の手元を見る。ハンバーガー1つとSサイズのポテトと紅茶。

今は、これだけで事足りる。

かつての自分なら、拓人さんの量に負けないくらい食べてたと思う。

部活は、入ってなかったけど、知人に誘われて、社会人に混じって野球をやってたから、いくら食べても、いつも腹を空かせていた気がする。

もうあの感覚がないのかと思うと、ちょっぴり寂しく思ったりするんだ。


「 夕陽どうしたの? 悲しげな顔してやな事でも思い出した?」

「 んにゃ、なんでもないよ。ちょっと昔を思い出しただけ」

「 ふーん。元気のない夕陽にプレゼント」


拓人さんは、俺の手の平に猫のぬいぐるみを乗せた。



「 ほぇぇ。おにゃんこさんそっくりー。可愛い! ありがとう」


うぁぁ、本当に超そっくりだよ。模様とか全体のぽっちゃり具合とか、歩いたら、たるたる揺れそうなお腹とか。

どこに置こうかな? ベッドの脇に置こうかな?



「 本当は、合格祝いのつもりで渡すつもりだったんだけど、なかなか渡せなくてさ」

「 そうなん。大事にする。ああ、おにゃんこさんだけじゃなくて、そらも欲しいな」


おにゃんこさんぬいぐるみを、持って、ちょっとおねだりしてみたぞ。


「 そう。誕生日かクリスマスにあげるよ」

「 誕生日。10月だよ。」

「 あっそうなんだ。楽しみにしててな。」

「 うん。」


俺は、満面の笑みで答えた。


ファーストフード店を出た後、ファッションビル内で買い物をした。

といっても、俺が拓人さんを一方的につれ回しただけなんだけど。


「 じゃな、また今度。」

「 うん。またメールするね。」


俺と拓人さんは、マンションの入り口で別れた。

そういや、これって、デートだよな。

告ったその日にデートって、すごい事なのかな。

俺は、そんな事を考えながら、我が家に戻ったのだった。



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