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11 告るその1

「 告るとか無理」

「 なんで? 好きなんでしょ? ウチが見ててもわかるよ。夕陽が、林原さんを見る目は、完全に恋する乙女だもん。」

「 うん。好きなんじゃけど、俺の場合、特殊な事情を話さんといけん、じゃけ無理」


アキは、イライラとした表情で、俺を睨み付けながら話す。


「 それは、元男とか、一度死んで異世界におった事を話すと、嫌われたりするかもしれんけぇ、告るの無理って事?」

「 うん 」

「 もう、告る前から無理とか言いさんなや! 素直に全部話せばいいじゃない。当たって砕けろよ」

「 うん。ほうじゃね。明日にでも告る」

「 その調子で頑張ってね」


アキの勢いに押されて、告ると言ってしまった。でも、俺の胸の中に、林原さんへの思いを留めたままにしとくのも辛い。だから、林原さんに明日告る。


明日は、土曜日で学校が休みだ。学校から帰ると、携帯を出して、林原さんから教えてもらったメルアドに、メールを送る。お話があるので、明日10時に、商店街近くの公園で待ってます。とメールを送信した。しばらくして、了解と短い返信があった。


「 そら! ちょっといいか?」

「 なに~? 」


俺は、机の下に潜りこんで、お昼寝してたそらを呼ぶ。



「 あのさ、お願いがあるんじゃけど、俺さ、林原さんに、告るけぇ着いて来てほしいんよ。」

「いやにゃ、なんで、そらが着いていかなくちゃいけにゃいの? そらは、涼しいお部屋で、ねんねしたいにゃ。」


やっぱり、そう言うか。―しゃあない、ここは、最終兵器を出して、交渉するしかないか。



「 そこをなんとかお願いします。着いて来てくれたら、 そらの好きなミャーバのカリカリ食べてもええけ。」


俺は、最終兵器(お高いカリカリ)をそらの目の前にちらつかせた。


「 しょうがにゃい。着いていってあげる。その代わり、着いてこなくちゃいけにゃい理由を話してよ」

「 わかった。あんね。……という理由なんよ。」

「 わかったにゃ。でも、それだけじゃ、納得出来る理由には、足りない気がするにゃ。夕陽が唯一使える()()も使うといいと思うにゃ。」

「わかった。」



翌日。約束の時間より20分も早く俺は、公園に来ていた。

林原さんを待ってる間、俺は、手鏡で髪チェックしていた。

いつもなら、後ろで一つに結んでいるけど、雫ちゃんのアドバイスで、髪をおろしている。寝癖がないか再度チェックする。うん、寝癖もアホ毛もない。

服装は、色々悩んで、学校の制服だ。まぁ、可愛い服を1着も持ってないからなんだけど。

緊張するなあ、早く時間にならないかなあ。

俺の視線は、公園の真ん中にある時計と携帯電話の時刻表示の間を、行ったり来たりする。時計の針も携帯電話の時刻表示も、いつもより、進むのが遅い気がするよ。

容姿が似た人を見る度、嬉しくなったり、がっかりしたりと、俺の気持ちは、ぐるぐると忙しいのに、時間は、ちっとも進まない。

そんな複雑すぎる気分で、約束の時間はやって来た。



「 待った?」

「 いえ。全然!」


約束の10時ジャストに林原さんは到着した。髪をおろしてるのに、林原さんは、すぐに俺だと分かったらしく、まっすぐ俺の元にやって来た。


「 で、話って何?」


うわっじっと、俺の顔を見てるし。緊張するけど、さっさと言ってしまえ。


「 えと、まずは、林原さん。俺は、あなたの事が好きです。」


林原さんは、あーやられたみたいな感じで、苦笑いしながら、返事してくれる。


「 うわ、先に言われるとはな。いいや、僕も好きだよ。」

「 嬉しい。あとね。あなたに、もう1つ話さんといけない事があるんです。聞いてもらえますか?」


林原さんは、どんな反応するのかな?



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