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『マチェーテ』(ラストまでのネタバレを含む)

前回の『山桜』で書き忘れていましたが、一青窈ひととようさんの主題歌も素晴らしかったです。

やはり音楽も、映画には欠かせない要素のひとつですね。


さて、それでは今回は……。

 今回紹介する作品『マチェーテ』だが、最初はおふざけの偽の予告編を作ったのが始まりらしい。それが、以外と好評だったのと、監督の従弟でもある主演のトレホが本編を作れとせっついた為、本編の撮影が開始されたのだが……。


 監督と制作に名を連ねるのは、B級映画を愛すると自他共に認めるロバート・ロドリゲスとクエンティン・タランティーノの二人となると、どのような作品になるか自ずと知れよう。

 前述の始まりからして、悪のりしているのだから、本編も、のりのりのぶっ飛んだB級映画になるのは当然の事だろう。

 で、主演のマチェーテ役のダニー・トレホは、ロドリゲスの従兄弟にして、彼の作品の常連の俳優。メキシコ系の俳優で、脇役一筋(悪役)のいかにもといった厳つい風貌、極悪面したおっさんだ。ハリウッド映画の脇役では、最も多く出演してる俳優のひとりでもある。

 多分、その顔を見ると、「こいつかぁ」と誰もが知っているだろう。

 日本で言う所の、「斬られ斬られて5万回」の悪役専門俳優の福本清三さんみたいな人?

 まぁ、とにかく、そんな俳優さんを、幾ら従兄弟とはいえ主演に据えるのだから、タランティーノとロドリゲスの悪のりぶりが分かるというものだろう。


 で、作品のタイトルにもなっている主人公の名前『マチェーテ』は、南米でよく使われる生い茂る樹木を切り払うのに用いられる、鉈に似た刃物(実際は鉈ほど分厚くなく重量もない)。ようは、マチェーテのように危険な男と言いたいのだろう。

 まさに、トレホが演じるには、ぴったりのネーミングだ。と、いうのもこの人、見たまんまガチで本物。若い頃、強盗、殺人、ドラッグの所持で逮捕されて、サンディエゴの刑務所に11年も収監されていたからだ。しかも、ならず者だらけのその刑務所で開催されたボクシングの大会でチャンピオンになっている。腕っぷしの強いガチのアウトローなのだ。


 凄ぇ、マジで本物だよ。


 ま、出所後は更生して真面目に俳優をしてるようだけど。昨今の日本の芸能界では、まずは考えられないよね。


 さて、前置きはこれぐらいにして、作品の方はというと。

 メキシコの伝説の元連邦捜査官マチェーテは、メキシコの麻薬王トーレスに愛する妻と子を殺され、恨みと失意を抱えつつアメリカへと流れていきます。

 いわゆる、違法移民ですな。

 で、米移民局捜査官や謎のタコス売りの女(実は移民を支援する地下組織)らと知り合う。


 おやぁ……近頃、大統領選で有名な暴言王も問題にしている、メキシコからの違法移民問題ですかぁ。もしかして、社会派ドラマ? てな事もなくしっかりとB級映画でした。


 そこに登場するのが移民嫌いのタカ派議員で、トレホはその議員の暗殺を依頼される。が、実はこれが、議員側のマッチポンプ。議員の参謀は麻薬組織に繋がる人物で、暗殺自体がヤラセだったのだ。

 罠にはめられたマチェーテに危機が迫る。押し寄せる麻薬組織の殺し屋たち。

 そこからハイテンションで物語が進み、ばんばん人が死にます。

 作中で、「好きな武器を選べ」と言われてマチェーテが選ぶのは、当然ながらマチェーテ(鉈ぽい刃物)。銃をバンバンと撃ってマチェーテを振り回し、首をすっぱりと切り落としたりと、エログロシーンの連続ですな。

 で、最後は地下組織と議員が関係する移民狩りする連中との大乱闘。そこに、麻薬組織の大ボスまで現れて、マチェーテと何故か刀で一騎討ち。めでたく悪党議員や麻薬組織のラスボスを倒して、かつての恨みも晴らして万々歳。

 物語はありきたりで、今あらすじぽいの書いてても、端折りたくなるほど陳腐なもの。実際、映画を見てる途中で、物語を真面目に追いかけるのは諦めました。有り得ない物語の展開に、突っ込みどころが満載でした。

 でも、この映画は良い意味でのB級映画。見るべきところは、そこじゃない。物語性などぶん投げて、頭を空っぽにして見れば良い。

 にやりと笑う突っ込みネタも満載で、派手なアクションに爽快感は満たされる。


 で、何が凄いって、B級映画とは思えない豪華なキャスト。夢の競演ですよ。


 まずは、麻薬組織のボス役に、スティーブン・セガール。最近は、ハリウッドでも落ち目になってきているが、未だに日本では根強いファンが多い。

 さすがに、最後の一騎討ちのシーンでは、トレホでは役不足か。達人オーラ全開で、刀を振り回してた。善悪とはみたいな、禅問答ぽい問い掛けをマチェーテ相手にぶつけてるのも、セガールぽくてにやりと笑えた。


 で、議員役を演じていたのが、オスカー男優で有名なロバート・デ・ニーロ。

 ええぇ、デニーロさん、あんた大御所俳優でしょ。何故に、こんなB級映画に……。

 しかもこの議員役、小物臭漂う小悪党。最後は、メキシコ移民に扮して乱闘の場から逃げ出すんだけど、別の移民狩りのグループに狩られちゃうんだよね。

 良いのかあ、大物議員でなくこんな小物議員役で……でも、本人は楽しそうに演じてたように見えたのは、私だけだろうか。

 彼ら以外に女優陣も。

 米移民局の女性捜査官ジェシカ・アルバは全米ナンバーワンのセクシー女優に選ばれた事もあるし、日本でのファンも多い。

 『ガールファイト』や『ワイルド・スピード』に出演していた、アクション女優のミシェル・ロドリゲス。途中で死んだとはずが、最後にアイパッチにへそ出しルックの戦闘スタイルで登場とか、タランティーノってアイパッチとか好きだよねぇ。

 それと、ハリウッドのお騒がせセレブで有名な、リンジー・ローハン。確か、この映画の撮影の頃って、アルコール依存性やドラッグなんかで、何度も逮捕されて収監されたり大変な時だったんじゃないかな。銃を片手にシスターのコスチュームで登場とかなんかもうねぇ。

 女優陣の全裸とか見れるし、それだけでも眼福かも……。


 後、ドン・ジョンソンとか割と有名な人も、脇役として固めています。『マイアミバイス』や『マルボロマン』とか好きだったなぁ。


 単純に、頭を空っぽにして見るには十分に楽しめる娯楽映画でした。

 ただし、良い子には見せたくない映画でもある。

 ひとつ難を言えば、感動成分が足りないぐらいか。



 この映画の評価点は、70点(MAX100点)

 

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