プロローグ
目の前は炎の海で広がっていた。絶望的だった。町が崩壊していく。たった一匹の化物によって。目の前では形状しがたい姿をした黒くでかく、そして、異形な存在がいた。幻想の化物。存在するはずのない生き物。そう、例えを出すなら悪魔。その悪魔達は混乱で入り乱れる人間達を掴み、その大きな口で丸呑みに、などしてくれず噛みちぎっていた。血が飛び通う。そんな光景をただじっと見ることしか出来なかった。俺の傍には学校の友達や妹がいた。ここはあの悪魔から少し離れた場所にある公園。この炎の中、みんな頑張ってここまで避難してきたのだ。俺も妹も、ここにいるみんなも。大人は、母も父も子供達を逃がすためにあの悪魔の元へ行った。そして、喰われた。容赦なくその体は噛みちぎられ、跡形もなくあの悪魔の腹へと消えていった。残されたのは血痕だけ。地獄だ。人々が無造作に喰われていく。そして、悪魔の、いくつもある大きな目が、その一つがこちらを見た。そして、最悪は訪れた。悪魔がこちらに向かって走り出した。どこからか足が生え迷いなくこちらに突き進んでくる。その進行上にいた人たちは容赦なく踏み潰された。子供達は恐怖することしか出来なかった。逃げるなんて出来なかった、そして、そいつは子供たちの元まできてその何十とも目でこちらを見る。。悪魔が、悪魔がその大きな口をにやけさせた。そして、悪魔の殺戮劇が始まった。どこからともなく手が伸びてきて周りにいた子供達を掴んでいった。そして、そのでかい口で容赦なく噛みちぎられた。
「うぁぁぁ!!」
「いやぁぁぁ!!」
叫ぶことしか出来ずにみんな、みんな噛みちぎられていく。そして、その残骸を残すことなく飲み込まれていく。その手はついに俺と俺の妹にまで伸びた。絶望に浸っていた俺は妹だけでも守ろうと手を伸ばしたが、決してその手は届かず妹は、目の前で……。
「やめろぉぉぉぉおお!!!」
俺の叫びもむなしく目の前で妹は悪魔に丸呑みにされた。
「ぁ、ぁぁ…」
そして、次は俺のばんだった。俺はゆっくりと、しかし確実にその口へと運ばれていった。殺される。いやもう殺されてる。ここは、やつの口の中。終わった。そう、すべてを諦めて目を閉じると次の瞬間、悪魔の悲鳴が聞こえた。
「グギャァァァァアア!!!」
耳が痛く、鼓膜が張り裂けそうなぐらいの叫びを聞いた後、不意に体が浮遊感に襲われる。その浮遊感はちょっとしたらなにかに抱き抱えられるような感触がして目を開く。そこには、武装した誰かの顔が近くにあって、終わったと思っていた俺の命は、そうして救われた。
国波街被害報告書
不悪魔Ⅱ級による被害をまとめたもの。
負傷者 18万2587人
死亡者 22万3698人
戦死者 7万521人
生存者 1人
以上をもって国波街被害報告届けとする。
ずっと前に言ってたハンドレッドの2番線地みたいなのできてしまったから一応出してみることにしたぞ!気分次第で投稿するからな!(不安