佐賀
佐賀の相方の実家に帰ると義父さんが優しく出迎えてくれた。
義父さんと言ってもまだ結婚しているわけではないので正式には義父さんではないけれど、義父さんと呼ぶことにしよう。
義父さんは法務局で局長をつとめている。
一時半の地震以来、震度五以上の地震がくるたびに法務局の様子を見に行って報告する義務があり、昨日から一睡もできていないと言っていた。
私たちは隣の相方のおばあちゃんの家で少し遅めの昼食にありついた。
おばあちゃんは料理がお世辞にもうまくなく、やっぱり昼食も美味しくはなかったけれど、温かい食事に少しホッとした。
テレビではさかんに被害の模様を伝えていて、阿蘇に行く道が寸断されていることを知った。
つい二日前にドライブで通った道だ。
また、コンビニの裏手が崩壊して崖になっている映像が映し出された。
そのコンビニの前にあるのが、相方が学生の頃住んでいたアパートで、そのコンビニには毎日のようにお世話になっていた。
背筋がぞっとした。
九州東海大学の阿蘇キャンパス、相方が通っていた農学部では、一年生の最初のオリエンテーションで、キャンパスが活断層の上にたっていることの説明があったという。
アパートを離れて六年ほど経つが、もし卒業が今の時期にずれていたら、と思ってぞっとした。