避難
私たちは迷っていた。
相方の家は佐賀にある。そこまで避難するかどうか、だ。
明るくなってきて、同じアパートの人と話す機会ができた。
そこで初めて断水していることを知ったのだ。
昨日の夜まではトイレは普通に流れていた。
あれは最後の水だったんだろう。
私たちは決意した。
みーちゃんもいるし、水は死活問題だ。佐賀に避難しよう。
私は独り暮らしの母を誘ったが、母は猫がいるため避難できないと断ってきた。
私たちは冷凍食品や冷凍していたお肉などをクーラーボックスに詰め込んで、アパートを後にした。
冷蔵庫にものは入っていたが、安全のためブレーカーを落として出発した。
出発時、開いていた近所のコンビニに立ち寄ったが物はほぼない状態で、冷凍食品なども売り切れてしまっていた。
そこで購入を諦め、出発することにした。
途中、大きな余震があり、ハンドルをとられたりしたが、なんとか無事渋滞も避けて南関まで抜けた。
みーちゃんの心臓がバクバクいっていて、あまりに相方が心配するので、南関で休憩をとった。
道中、みーちゃんが大をしてしまい、そのゴミもコンビニで捨てた。
コンビニには関所マラソンのポスターが貼ってあり、地元の人とおぼしき人が楽しそうに関所マラソンに参加するんだ、と言っているのが聞こえた。
同じ熊本なのに、コンビニには物資がたくさんあり、陳列棚から落ちることもなく、平和そのものだった。