まあ、説明
サイバーネット利用型完全没入式超多人数常時同時接続型オンラインロールプレイングゲーム
俗に言うOCVRMMORPGという奴が昨今人気らしい。
まあ今まで、VRMMOは何種類もあった。だけど完全にサイバーネットの特性を活かした物はなかった。その最大の理由が、各国の電脳法による制限。ではなく、サイバーネット上に存在する都市、サイバーシティの保有権限の取得が難しいと言うことだった。
サイバーネットは、VRをさらに発展させた物で、ネットワークの中にもう一つの空間が存在している物だ。電脳空間とも呼ばれ、ある程度の自由がきくことから、かの有名なハンティングアクションゲームは、このサイバーネットを構築した企業が早々に対応を持ちかけ、サイバーネットサービス開始からわずか5年で対応している。
さらには、かつて一世を風靡した、某艦船擬人化アクションゲームも、サイバーネット最適化を行い、再度サービスを開始した所、あまりの、接続数に、サイバーネットの根幹となるコアネットワークを構築管理する企業が籍を置く国が、「電脳空間非常事態宣言」を発表したほどだ。
サイバーネットでは『魔法体験』や、「飛行体験」なんかも可能だが、早い段階からVRMMOとの親和性がささやかれていた。だが、プレイヤーがゲーム内で死んでも、実際のユーザーデータに反映させないことや、普通の行政(人口30万人レベルの市役所)と同じ業務を行う組織を置かなければならないといった、条件があり、それらをクリアしかければ取得できないサイバーシティの保有権限がネックとなり、今まで存在しなかった。
今から5年前、世界最大級のIT関連企業が、このOCVRMMORPGを5年後をめどに稼働させるという発表を行った。ゲーム業界は一次騒然となった。がすぐに沈静化した。発表した企業が、サイバーシティの中でも最大にして最古の都市を管理している上に、サイバーネットの構築開発に関わっている。そういう企業だったからだ。
発表されたゲームのタイトルは「Firesus Saga Online」略称は、FSOとされること。そして、某艦船擬人化アクションゲームのプレイヤーや、かの有名なハンティングアクションゲームのプレイヤーには嬉しいというかようやるなあというサプライズがあることなどが合わせて通知された。
サイバーネットが世に出て数億単位の年月が経過した今日になって、やっと、発表されたFSO。
先行登録には某艦船擬人化アクションゲーム以来のユーザーが押しかけ、かの国が、またも「電脳空間非常事態宣言」を出すレベルとなった。
それから5年。要は現在。
僕はわくわくしながら、ログインランチャーのダウンロードが終わるのを待っていた。
5年前、FSOの発表を見た時僕は中学2年の冬だった。親に頼み込み出された条件が、難関高校合格。そこで三年間常時成績上位維持。そして極めつけが国の最高学府合格という物だった。最後の条件だけ、ある意味で達成できなかったが、親は、わざわざ、ハイスペックのゲーミングパソコンと、なんとFSO先行登録者にしか与えられないスペシャルアイテムを手に入れるためのシリアルコードまでプレゼントしてくれた。
「5年間よく頑張った。高校合格は私たちの息子だけ有って難なくできると思っていたが、三年間常時成績上位維持。そして、何より私たちが驚いたのは、-大に入学してしまったことだ。おじいちゃんなんてそのパソコンを買った後、秋葉原の店の中で感極まって万歳三唱してたよ。まあ、理由聞いた店の人や、周りの人まで参加してくれたから嬉しかったなあ。
とにかくよく頑張った。大学でおまえに願うのは、よく学び、よく遊べ、そしてよき恋をだ。」
父さん、無駄に言い笑顔でサムズアップは止めてくれ。
まあ、さっきの父の言葉で出てきたけど、僕はかの電脳空間非常事態宣言を2度も出した乗りの良いあの国の最高学府とされる大学に合格した。偏差値98が合格最低ラインとまで言われる、超難関大学に現役合格したのだ。担任に報告した時の顔が楽しみだ。
とりあえず、今はまだ3月下旬。ゲームの方はアカウントを作って、キャラメイクをしたら、このわくわくは後に取っておこうと思う。