魔法
この世界で使われる、一種の人間の力の様な物。
現在までに、数千以上の魔法が使われていると言われる。
だが、その種類の多くは六つに分けることが出来る。
単一に単一の直接的効果をもたらす魔法、アタック。
複数、または範囲に直接的効果をもたらす魔法、エコー。
魔法に対して、抵抗の様な効果を単一または範囲にもたらす魔法、ディフェンス。
単一、複数、または範囲に、治癒、修復の様な効果をもたらす魔法、ケア。
単一、複数、または範囲に直接的以外かつ治癒、修復以外の効果をもたらす魔法、ペイン。
詳細は不明だが、伝説の魔法使いが使ったとされる魔法、サークル。
以上の文は、専門的、かつ難しく書かれた文をなるべく分かりやすく訳した物らしいが、結局のところあまり合理的な説明とは言えない。
アタック魔法に分類される魔法でも、爆風を起こす物は実在するし、ディフェンス魔法に分類される物であっても、相手にカウンターを返す様な物も実在する。
つまり、この説明では、未だに矛盾する点が多いのだ。
だが、同時に、全ての魔法はこの六つのどれか一つだけに該当する物は無いのだとも言える。
この六つの一つに該当する魔法と言っても、僅かに他の分類に当てはまる効果を持っているのだ。
だからこそ、これ以上の魔法の種類の分類は難しいのだと多くの本には書いてあった。
単一の物体を空中に浮かす魔法は、一見アタックに分類されるが、空中に浮かせた物体の上に物体を乗せればその物体もまた浮遊する。
つまり、この原理が成り立つ時点で、単一の物体を空中に浮かせる魔法はアタックからエコーへ分類が切り替わってしまうと言う事だ。
では、なぜ過去の魔法の研究者たちがこんな矛盾まみれの定説を打ち立てたのか。
その理由はとても単純だ。
単純に、魔法も進化したのだ。
この世界に存在する人類であっても、人類としての祖先、つまり人類に達するまでの道のりがある。
その姿や名称はハッキリとしないが、アウストラスピテクス、ホモサピエンス、サヘラントロプスの様な物だと捕えれば問題ないはずだ。
そして、当然ながらその頃の人類、つまりは人類の祖先も魔法を使っていた。
今よりも、ずっと退化した魔法を。
爆発を起こす、物を浮かす、なんて大きな効果を出さない様な、本当に小さな光を起こす魔法や、単一の目標に当たればそれだけで消えてしまう様な魔法を。
そして、それらを魔法と呼ぶことが出来てしまう以上、魔法の分類に加えなくてはならない。
故に、現代の魔法にとっては矛盾が絶えないこんな六つの分類が出来てしまったのだ。
いいや、正確に言うなれば、サークルを覗く5つと言えるだろうか。
ただ、ここでサークルについての言及をするのは、あまり利口ではないだろう。
なぜなら、ここで述べるのは魔法についてであって、魔法の前提である効果が不明の物を、最早魔法と呼ぶことは難しいからだ。
だが、それを除く事でこの魔法と言う項は完成しないからこそ、ややこしくなるのだが。
昔の研究者風に言うのなら、それも魔法と分類される以上魔法なのだから。
ここまでの文で理解してほしいのは、魔法も進化を続けているという点だ。
つまり、これから先、もしかすればこの六つの分類を凌駕する様な魔法が産まれる可能性もあるのだ。
具体的に言うなれば、三つ以上の分類に当てはまる魔法、と言えるだろうか。
本を読む限り、そう言った魔法は未だ見つかっていないとされているが、不明な事の多い魔法についての議論で断言という事は出来ない。
もしかすれば、そんな魔法は既に生まれているのかもしれないと言う意味だ。
魔法を用いた主な格言
『魔法は前進するが、人間は変わらない』