一生に一度の大チャンス
1話1話が遅くてすみません。
誤字とか脱字とか読みにくかったりすると思いますので、もし何かあればどんな意見でも構いませんので、教えてください。
少年は目を覚ますと、白黒写真のような雲と空が最初に目に入った。
起き上がって辺りを見渡すと見覚えのある公園の噴水広場だが同じように白黒に見える。
自分の目を疑い手や着ている服を確認するとちゃんとした肌色の手と黄緑色のパジャマを着ていることが確認できた。
もう一度辺りを見渡してみるがやはり白黒に見える。
一通り辺りを見渡して正面の噴水に顔を戻そうとした時正面の噴水の方から見知らぬ者に声をかけられた。
「起きるのが遅いぞ!待ちくたびれて家に帰るとこだったぞ!」
正面の噴水の声の聞こえた辺りを見ると今までいなかったはずの者が物凄く高そうな椅子に座っていた。
椅子に座っている者の服装はサラリーマンのようにスーツを着ていて顔が見えないように仮面をつけていた。
見るからに怪しい者に少年は今一番気になることを質問した。
「あんた一体なにもんだ?それにここは何処だ?」
少年の質問に椅子に座ったまま答える怪しい者。
「質問は一つずつにしてくれないかなぁ〜めんどくさいから、と言っても答えてあげるんだから感謝しなよ。私が何者かという質問には、人間の上に立つ存在とでも言っておこうかな、それに君はまだそれ以上は知らなくて良いから。そしてここが何処かというと、生と死の境界とでも言っておこうかな」
怪しい者の回答を聞いて少年は新たに質問した。
「何で俺が生と死の境界にいるんだ?もしかして死んだのか?」
少年の質問に怪しい者はめんどくさそうに答えた。
「簡単に言えば君は火事で死んだ、なら何故生と死の境界にいるかについては心当たりがあるだろ?」
怪しい者の答えに少年は少し考えてみるが皆目見当がつかず怪しい者に聞き返した。
「悪いが全く心当たりがない!」
少年の返答に怪しい者は理解したように言った。
「死んだことを理解していて、何も思わないという事は自分の人生に満足してると言う事だな!」
怪しい者はやや早口に言うとパッチンと1回指を鳴らした。
すると怪しい者の目の前に椅子とセットの物凄く高そうな机が何処からともなく現れた。
机の上には何かの書類と羽ペンが置いてあった。
机にある羽ペンをとると何かの書類を書きながら話し始めた。
「まさか上の奴が間違えるとは1世紀にあるかないかぐらいの偶然だから今回は私の昼寝の時間をさいて処理しておいてやろう。だがしかし、私も人間の見る目が落ちてきたかも知れないな、まさかこんなに若いのに自分の死に満足いっているなんて驚いたぞ!」
怪しい者は独り言のように早口で喋りながら何かの書類を書き終えて少年を見て言った。
「すまないが私も忙しいから早急にこの書類にサインをお願いしたい、サインすればすぐあの世に行ける、そこで自分の罪を償って今度はもっと良い転生をすると良い!」
言い切ると書類と羽ペンを少年の方へ向ける。
今まで黙っていた少年は怪しい者に言った。
「さっきの質問の意味がやっと理解できた。」
すると怪しい者はサインするように言った書類を手に取り破り捨てた。
「君はあまり頭が良くないのかな?とりあえず聞いてあげるから言ってみな」
怪しい者はめんどくさいを通り越しあきれながら言った。
「納得いかねぇよ、納得いくわけがない!だからって死んだ事実を知っても、もう俺には何もできないじゃないか!」
少年は激情のままに思った事を怪しい者に言い放つと怪しい者は待っていたかのように机の上に両手をついて勢い良く椅子から立ち上がって話し始めた。
「確かに惨めな人間には何もすることはない、だがもしチャンスがもらえるとしたらどうする?」
「チャンス?どんな?」
「内容はそんなに難しくない、とある世界で、条件を達成すると願いが叶う」
感謝しろと言わんばかりに言った怪しい者に少年は迷わず参加する旨を伝える。
「どうせその道以外で死に抗う事はできないだろ?ならやってやるよ!」
「話忘れてた事を話してから決めろよ」
怪しい者は少年の決断を聞いて思い出したかのように話し始めた。
「条件を達成すればどんな願いも叶えてあげるが、対価として命をかけてもらう」
「死んでる奴に命をかけろって何のギャグだよ」
少年が笑いながら言うと怪しい者はあきれながら説明した。
「笑い話をしてるわけじゃない、君たち人間で言うと、RPGゲームみたいな事をしてもらうんだけど、ゲーム感覚で死んだりするなよ、君は死んでるが、私が1度だけのチャンスを与えれるようにこの生と死の境界に繫ぎとめているからな、死ぬと強制的にあの世行きだから」
「チャンスは一回て事だろ、さっきも言ったがその道以外は結局あの世行きだろ?だったら可能性のある方に俺はかけさせてもらう!」
少年が言い切ると怪しい者は机を両手で叩いた。すると物凄く高そうな机はあっけなく壊れ破片が飛び散るとともに光になって消えた。
そしてまた椅子に腰をかけた怪しい者はパチンと指を鳴らすと少年の目の前に金の宝箱、銀の宝箱、自衛隊や軍隊で使っていそうなコンテナ、竹刀や刀などの入りそうなケース、普通の紙袋と、穴だらけで中身が簡単に見えそうな紙袋が現れた。
「君へのプレゼントだ、気楽に選んでくれ」
怪しい者の言葉を聞き少年は中身を聞いた。
「宝箱とかには何が入ってるんだ?」
「君の最も得意とする武器を入れておいたが何か不服か?」
怪しい者の質問に少年は遠慮なく言った。
「武器も必要だからありがたいんだが、今の格好で武器を貰っても困るというか、恥ずかしい」
怪しい者は立ち上がり一度少年を頭からつま先まで見て納得いったかのように言った。
「なるほどそれは人間で言うパジャマというものだな、よしならばこの中で一番良い武器を手にしたら服も私が用意しよう」
少年は目をつぶりある言葉を思い出していた。
金の宝箱から穴だらけの紙袋まで前に立って見た目を確認すると穴だらけの紙袋からは見るからにボロそうな刀の鞘が見えていた、さらに鞘も所々かけていて錆びた刃が見えていた。
少年はまた目をつぶり目を開けると怪しい者に向かって話しながら穴だらけの紙袋を手にした。
「あんた知ってるか?目に見えるものが全てじゃないって事を!」
手にした穴だらけの紙袋から刀を取り出すと、それは穴から見えていたボロい刀ではなく、まるで出来上がったばかりの新品の刀が姿を見せた。
怪しい者も驚きのあまり数秒無言でいたが我に返って言った。
「まさか一番良いのを選ぶとは思わなかった、約束通り服は後で用意するよ」
刀を手にした少年は抜刀しようとしたが鞘を引張てもビクともせずただ鞘に刃が収まった状態のままだった。
その光景を少し見ていると怪しい者が唐突に話しかけてきた。
「君の名前を教えてくれないか?」
少年は今さらと思いながら答えようとした。
「俺の名前は式神式・・・・・」
「新しい名前だよ、まさか君は新しい世界でも嫌いな名前を使うのかい?」
答えようとしていた少年の声を遮って言った怪しい者の言葉に少年は少し考えてから答えた。
「俺の名前は、翔輝だ!」
「なるほど翔輝か、後の説明はチュートリアルの後にでも説明させる事にしよう、私の仕事は君をチュートリアルまで導く事だからね、だからここで私とはお別れだけど、そのうちまた会えるから楽しみにしてなよ、私も楽しみにしてるから、良い再会を期待してるよ」
怪しい者は別れの言葉を告げるとすぐに翔輝に背を向けて言った。
「刀を抜け翔輝!そうすれば一生に一度の大チャンスの世界、フリーオアデッドへの扉が開かれる!」
翔輝は刀を自分の胸の高さまで待ってきて別れの言葉と一緒に勢いよく抜刀した。
「色々ありがとう、今度会う時はちゃんと身分を開かせよう不審者!」
抜刀すると辺りが白光して翔輝の意識もそのまま薄れていった。
1人になった噴水広場で楽しそうに呟く見た目から怪しい者。
「不審者か確かに何も教えなければ人間からはそう見えるかもしれないな」
今の姿を見て納得しながらさらに呟いた。
「久しぶりに面白そうな奴が来たな、まずはチュートリアルの結果が楽しみだ」
自分以外誰もいない噴水広場で、怪しい者は笑いながらどこかへ消えていった。
前書きでも書きましたが何か意見、ご指摘などあれば教えてください。
あと、感想などもお願いします。