タイム・なんとか・リープ
ものすっごく短い小説を書いてみようと思いました。
完全に失敗だった。
ごめんね、急に。
キミは混乱してる。そんなことわかってるんだ。
だけど、分かってくれないといけない。
大丈夫。落ち着いて。キミは何もしなくていい。ただ僕の話を聞いてくれるだけでいい。
聞いてくれたら、僕がちょっとだけ良い思いをするから。
まずは、僕は誰かだ。こんなところに急に現れて何者だと思ってるかもしれないけど、
僕は、キミだ。
……大丈夫?少し気を失ってるみたいだけれど。でもこれは紛れもない事実なんだ。
まあ、正確に言うと3年と30分後のキミだ。
キミ、カンがいいね。その通りだ。僕は時空を移動してきた。
ということは、キミもいつかはタイムマシンに乗って、スイスイ時空を泳げるわけだ。
……ああ、本題に入らないといけないみたいだ。あと10分ほどで時間が来るから。
ま、話なんていつでもできるんだけどね。でも僕は今しか話せない。
まず、お話したい事は、歴史は変わるということだ。
今から少々キツイ話をするけど、それでも良かったら聞いてほしい。
キミは30分後……いや、3年と30分後に死ぬ。
無残な死にかただったよ。タイムマシンが爆発。
炎のなかに、見えたんだ。僕が引き裂かれる瞬間を。
そりゃあ、いい気分はしなかったさ。泣きそうになった。
でも、俺にはタイムマシンがある。
これで3年前に戻って、過去の自分に言い聞かせておくんだ。
タイムマシンなんて物騒なもん作るんじゃないぞと。
これでキミは、いや僕たちは、死の運命から回避されたわけだ。
ありがとう。
キミは正直ものだ。これでこのままでいれば、あんな無残な死に方をしないことになる。
もし僕が何かの手違いで死ぬことになっても、キミがまた生きればいい。
じゃあ、僕はもう帰るよ。最後に、タイムマシンの中を見せてあげよう。
世界初公開、タイム・なんとか・リープ装置だ。
どう?どうせ分からないだろうけどね。分かってもつくらないでよ。
おっと、これ以上は駄目。企業秘密なもんでね。
じゃあね。バイバイ。
そのとき、またやってしまったのだ。
タイムマシンは爆発し、僕が、いや、3年後の僕が死んだ。
もう一回、やらないといけないみたいだ。
言っても聞かないんだろうなあ。僕って。
全く、わがままな奴だ。