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ね子の日記 13
私が日記を書く机の前には窓があって綺麗な三日月が見えます。
丸い星に住んでいることもしらなかった人たちはいったいどういう気持ちで見ていたのだろうと思う。
地球にとってたった一つの衛星。
自転を地球の公転と同期させ、ゆっくりとまばたきしながらまっすぐ地球を見ている星。
知識に毒された私はそういうことをとてもロマンチックだと思う。
ほんの僅かずつ遠ざかっているその観測結果をセンチメンタルに思う。
ニイニイゼミやツクツクボウシが、いつも気付いたらヒグラシに変わっている麦茶とサイダーの日々。
「また明日」それが全く嘘じゃなくて待ち遠しい。
そんな勇者製作所で過ごす夏はとりあえずおしまい。
夢の様な、私としてはそうとしか言えないイベントを最後に芳生くんは明日帰り、勇者製作所はしばしの休養に入る。
今はなんにもやる気がなくて
ただこの夏の終わりを惜しむのみ。
ところでフィオミアの図書館には宮沢賢治全集三巻を隠してあります。
あまり世界観を壊すようなことはしたくはなかったのだけど、
私達が貰ったせめてもの恩返しというか、
そうすれば巡り巡ってあの本が色々な世界に行くかもしれないそんなことを思ったからです。
私は神では無いからそんなささやかなことしかできないけれど、
もしかしたらあなたの世界にも
いつか。




