ね子の日記 11
私が一番死に近づいた瞬間は生まれた時。
へその緒が首に三重に巻き付いていて半分死んでいたそうです。
走馬灯の記憶はありません。
覚えている覚えていない以前に振り返るべき過去がないのですからきっと見なかったと思います。
でも芳生くんは走馬灯を見たことがあるそうです。夢での話ですが。
「見終わるとあとはまあ死ぬしか無いんであきらめると……全てから開放され……一瞬が永遠になる……」とのこと。
驚くべきことに彼は精神的に一度死に、復活を果たしている。神の子みたい。
それにしても、である。
全てからの開放
夢
飢えや乾き
痛み
愛
憎しみ
幸不幸
そして自分から
切なくも甘美な響きです。
まだ上に挙げたもののどれらもよく分かっていない故の、いかにも子供っぽい憧れだとは自分でもよくわかっているのですが。
だから今日私は世界の終わりを一瞬夢見ました。
あまねく全てのものが同時に開放されるその瞬間を。
お陰で紳士さんに怒られました。
確かに世界を救う勇者ではなくてラスボスの方の思考でした。
私は昔からわりと全てを無に帰そうとする系のラスボスには共感してしまう人間なんですよね。
暦の上ではもうとっくに秋。
残念ながら、もうすぐ夏休みもゲーム制作も終わってしまいます。
「秋まで生き残されている蚊を哀蚊と言うのじゃ。蚊燻は焚かぬもの。不憫のゆえにな」
「今は夏だから焚いたっていいんでしょ? それとも足と腕がちくわみたいになってもいいわけ?」
「それもまた一興」
「お前は口を出すな!」
あの人達のせいで『私の心の一文』のイメージの一つがちくわになりました。
(しかもなぜか三人共猫耳をつけている)
今日は紳士と、あの人達に元気づけてもらいました。




