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もし私が神なら  作者: 福竹
遠い昔から始まった話
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ね子の日記 8

シナリオの大筋が決まったことを祝して今日はお祭りと花火を見に行きました。

隊長を置いて。


「おばあちゃんここから空襲見たって言ってた」


花火を見ながら言うことではない。


「前橋が燃えてたんだって」


芳生くんお前もか。


そんな感じで楽しかったです。

あの二人は双子の姉弟のようだ。


ああ、どうしてこうなっちゃったんだろうな。世界は。


上を爆弾を積んだ飛行機が飛んで、

物心付く前の子らが喜ぶほど燃え上がる町と空を見ながら、

誰かはきっと思ったと思う。


全ての物質と生命の連鎖は、今日という日を私が味わうためにあった。

気休めにそういうことだってできる世界は残酷で愛しい。


今日は遠い昔の話を聞いて、その続きの風景を見ました。


* *


日に日に地味になっていく制作作業の合間に今日も二人は喧嘩。

お題は運命の赤い糸。


「お前の小指から伸びてるのは、絶対糸とかそんな生易しいもんじゃねえ。赤と青の起爆コード。しかも両方共ダミー。そういう代物よ」


「例えそうだとしても、あんたみたいにLANケーブルが巻き付いてるよりマシだから」


「LANケーブルは世界につながっているのだよ。三次元はおろか二次元でさえな!」


私が思うに。あの二人はお互いのことを弟または妹と思っている上本当のバカだと思っている。

笑うポイントが全く違う人というのはバカに見えてしまうのです。きっと。


ちなみに私の指に巻き付いているのは『蜘蛛の糸』だそうです。

格調高くて素敵ですが、それだとつながっているのはお釈迦様かカンダタさんの二択のような。


* *


今日はあまりの暑さに一人ずつ怪談話をしながら作業をしました。

結局作業が進まないということで一時間ほどで終わってしまいましたが、

怖い話が好きな私は結構楽しかったです。


お化け系を信じていないオコは人の話に突っ込みをいれてばかり。

だがそれには彼女らしい理由があったのです。

兄と従兄弟が遠い目をしながら語ってくれました。


「昔はねえ、オバケの話になるとすぐ親の後ろに隠れるような子だったんですよ。あれでも」


―― 以下聞いた話を妄想とともにまとめたもの ――


「サンタナというのはどうかな」


「はあ?」


「なんでもないす」


それは、捨てられていた子猫の名前についての会話だった。

名前よりもまずミルクだと、芳生に牛乳を持ってこさせる間に、春は家の近くの空き地にずっと打ち捨てられたままのボートにそれを隠した。

ようやく二匹の捨て猫を飼うことを許してもらったばかりの春は、どうせ家に連れて帰っても反対されると親には秘密で育てると決めた。

本格的に寒くなる少し前の季節だった。五時を待たずに日が落ちても怒られるぎりぎりまで眠る猫のそばに居て、


「また明日ね」


そう言って帰った。

次の朝、芳生が白い息を吐きながら空き地に到着すると、春はもう船のヘリに腰掛けていた。


「死んじゃった」


彼を見て春は泣きながらそういった。

昨日見つけた宝物からは力というものがまったく感じられなかった。

まだ暖かったが触れた瞬間にもう二度と動かないことと、それが自分たちのせいであることは分かった。

祖母にスコップを借りて目も開いていない小さなものを、捨てた誰かが多分罪悪感で与えたタオルにまた包んで埋めた。

それから春は幽霊をあまり怖がらなくなった。


――


もう手にすることはできないけれど、それでもサンタ(庭の隅にお墓がある)は今でも彼女の宝物(お化け耐性+50)なのだ。

私達もいつ誰の”宝物”や”町の人”や”主人公”になっているかわかったものではないですね。


お気に入りに入れてくださった方、ありがとうございます。

継続していれば何があるわかったものではないですね。

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