ね子の日記 3
今日もすごかったが、もうこれが日常になりつつある。
世界を盾に取られては兎にも角にも完成にこぎつけねばならない。
私だけのものではないけれど、素敵な本も貰ってしまったことだし……報酬もちょっと、かなり、魅力的だしね。
完成の暁にドッキリの看板をもった人達が現れてもそれはそれで。
でも、もしゲームが完成しなくても世界が滅びはしなかったら、一体どうなっていたんだろう。
私達は再会しなかったのかもしれないな。
あの時、私達が駅の入口でぶつかりそうになる少し前、三十秒、いや五秒。
どちらかを足止めすればきっと何も起こらなかった。
あの紳士にとってきっとそれは造作も無いこと。
子猫を転がしておくとか、道を訊くとか、きっとそれだけのことで。
そしてオコは別のクラスになって、違う学校に進学して、彼らはゲームを作って……。
私は本を読んだりちょっとした空想ををしながら、失くしてしまったあの栞のこともいつか忘れて、何を忘れたのかも忘れて。
世界は
ギリギリだ。
***
書き終えてね子は栞代わりに使っている例の送り主不明のカードを見た。そしてあの栞は今どこにあるんだろうなと思った。私の”選ばれし者の証”。本が好きな人が拾って、気に入ってくれて、使ってくれているといいなと思った。
しばらくそうしてから日記帳を閉じると、世界のために、彼女は物語を考え始めた。




