表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

人に絶望した花

久々の投稿です。これから定期的に投稿していきたいと思います。

今回のお話は、二回にわけておおくりいたします。

-暇だ。


遠山病院は今日も平常運転である。受付では先程から、菖蒲あやめ睡蓮すいれんが楽しそうに話している。たまに聞こえてくる話の断片から察するに、恋愛の話しをしているようだ。いわゆる女子トークというやつだ。遠山は中学から高校まで男子校に通い、大学も医学部であったため女子との関わりは希薄であった。いや、ほとんど関わりがなかった。正確にいうと、0だ。そんな遠山が、今では自分が経営している病院で女性二人を雇っている。奇跡といっても過言ではない。


-しかしな、、、、。女性と一緒にいるというのは、もっと、こう、心の踊るものだと思っていたんだがな。


女性というものに幻想を抱く。男子校出身の人間によく見られる傾向である。遠山も例外ではない。女性と一緒に働くといのは、もっと夢のような世界であると考えていた。「先生、お疲れですか?肩でも揉みましょうか??」とか、「これから、、先生のお家にいってもいいですか?」とか、、、もっとフワフワした世界を夢に見ていたのだ。しかし、現実とは常に無情なものである。菖蒲あやめは遠山に対していつも強気だし、間違っても「お疲れですか?」とか、「すごいですね!!」とか、いたわったり労ったりなんてことはしない。先ほどから聞こえてくる女子トークも、かなり辛辣な内容が多い。こんなものを男子校の中高生が聞いたら、きっと卒倒してしまうだろう。


男子校では、女性の生態系について学ぶ授業をやるべきである。そんなことを考えていると、不意にドアにつけられた鈴がチリンチリンと音を立てた。音のする方へ目を向けると、そこにはほのかに茶色がかったショートヘアの少女が立っていた。制服から考えるに睡蓮すいれんと同じ学校の生徒であろう。遠山は少女を見て少し気が重くなった。確信は無いが、少女はどうやらアッチ系の問題を抱えているようだ。美少女とまではいかないが、容姿は整っているし、立ち姿からは気品も感じられる、しかし、目が、明らかにおかしい。全く生気が感じられない。視線は確かにこちらに向けられているのだが、どこか虚空を見つめているように見える。


「こんにちは。今日はどうされましたか?」


初めても患者さんであるとハリキッた様子で睡蓮すいれんが少女に話かけた。


「、、、、。」


-反応なしかよ。


目の死んだ少女は遠山のほうを見つめたまま全く動かず、睡蓮すいれんの存在など気にしていないように見えた。


「えっとー、、、」


始めても患者さんにいきなり無視をされて、睡蓮すいれんは途方にくれているようだ。このまま、ほっといて自信をなくさせればバイトを辞めるのではないか、などという考えがチラリと頭をかすめた。しかし、途端、背後に冷たい殺気を感じた。振り返らなくても誰から向けられた感情なのかはわかる。


-しょうがないな。


ため息をつきながらも遠山は謎の少女と戦闘を繰り広げることにした。


「『孤独は、知恵の最善の乳母である。』と哲学者マックス・シュルティルナーは言った。君はどう思うかね?」


遠山は唐突に少女に質問を投げかけた。すると、いまだ虚空を見つめたまま少女は口を開き始めた。


「孤独は自分について知るために必要なもの。でも、自分をしることに意味はあるの?」


その声には感情というものが感じられなかった。


「自分について知ることはとても大事だと思うがね。」


そう言いながら遠山は少女に椅子をすすめた。少女は椅子に座りながら応える。


「自分について知ったって悲しくなるだけ。そして、それは他人に関しても同じ。」


「それは、つまり知れば知る程人間が嫌いになるということかな?」


「人の考えが聞こえるようになれば、先生もわかりますよ。」



アドバイス、批判等なんでも受け付けています!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ