兎と頭脳とライバルと...
にとりがそんなこんなをしてる一方、河城ファクトリーからの帰宅途中の永琳と慧音はにとりとの会話の事を話しながら歩いていた。
永琳が
『慧音先生はにとりさんと話をしてみてどう思いました?』
と尋ねると
『そうですね~。なかなか難しそうな感じではないんでしょうか?出来上がったらとてもいいんですけど...』
と慧音が答えると
『ホントそうですね。姫様と妹紅さんだけでなく、幻想郷の住人全てが弾幕バトルで傷付く事なく心置き無く戦う事が出来ますからね。完成して欲しいですね。』
と言うと、永琳は遠く先を見つめた。
見つめた先には数人の人影が見えた。
永琳が
『あっ!あの人影は...。』
と言うと、
『あれは、永琳先生の所の輝夜さんと優曇華さんとてゐさんですね。どうしたんでしょうか?』
と慧音が聞くと、
『ホントどうしたのかしら?みんな揃ってこんな所まで。』
と永琳はちょっと考え込みながら答えた。
すると慧音は
『永琳先生の事を心配してここまで来られたのではないかしら?』
と言うと、永琳は時計を見た。
『そうかもしれないわね。来る時に遅くなるかもしれないと伝えては来たのだけれど、少し時間がかかってしまったかもしれないわね。ホント、みんなかわいいわね。』
と永琳が言うと、
『そうですね。皆さん、永琳先生の事を心配して来るなんてかわいいですね。それに比べて、うちの妹紅は...。』
と、慧音が段々と口調が荒くなって満月でもないのに獣人姿になりそうになっていた。
『妹紅さんもきっと家で心配されてると思いますわ。普段、寺子屋が終わる時間よりも遅いわけですし、きっと心配されてますよ。』
と永琳はなだめる様に言った。
すると慧音が
『永琳先生すみません。お見苦しい姿を見せる所でしたわ。』
と、苦笑いしながら答えた。
人影の所に近づいて来ると、
『お師匠様~。大丈夫ですかぁ~。』
と言いながら、手を振る優曇華。
『お師匠様~。年のせいで遅いんですかぁ~。』
と、ニヤニヤしながら言っているてゐ。
ここまで来るのに疲れたのかしゃがみ込んで、
『え~りん。遅いわよ~。何で私がこんな所まで...。』
と、ブツブツ言っている輝夜だった。
永琳はてゐに対して、
『てゐ、今晩はご飯抜きよ。』
と言うと、
『お師匠様~。ゴメンなさい。嘘です。』
と、てゐが頭を下げているのだったが、横でしゃがみ込んで見ていた輝夜は、てゐが頭を下げた時に舌を出したのを見逃さなかった。
そんなみんなのやりとりを見て、
『やはり、皆さん仲がよろしいですね。こんな、仲がよろしいのですから、やはり怪我が起きないスペルカードゲームが出来なければいけないですね。』
と慧音が言うと、
『そうですね。みんなが怪我をしないのが一番ですよ。まあ、傷薬が売れませんが。』
と、永琳は冗談まじりに残念がって言った。
慧音は軽くそれを聞き流し、
『輝夜さんだけで無く、優曇華さんとてゐさんにも協力してもらわないといけないですね。もちろん私達も。』
と言うと、
『お師匠様~、慧音先生~何の事ですか~?』
と、優曇華が聞くと
『帰りながら話しましょ。ここで話してたら、余計遅くなってしまうわ。』
と永琳が言うと、
『皆さんも協力お願いします。詳しい話は私からもお話しますので、どうぞお願いします。』
と慧音が言いながら、頭を下げた。
すると、
『何、なに~?何を協力するの~?』
と凄く興味を持った様でてゐが聞いて来た。
『じゃあ、歩きながら話しましょ。』
と永琳が言うと、慧音と一緒ににとりの所で話した内容を3人にもわかりやすい様に話した。
途中、慧音からの説明もあり3人も話の内容を理解した様だった。
歩きながら話している4人が迷いの竹林まで来ると、竹林の入口に一つの人影があった。
いち早く気付いた優曇華が
『慧音先生、妹紅さんがいますよ~。』
と言うと、
『あら?妹紅ったらこんな所で待っているなんて...。可愛いところあるじゃない。』
と慧音は少し照れた様に呟いた。
その呟きを聞いた永琳が
『妹紅さんも慧音先生の事、心配してたんですよ。ホント、可愛いですね~。』
と慧音をからかう様に言った。
それに対して慧音はさらに照れた様に
『そんな、からかわないで下さい~。永琳先生だって同じじゃないですか。』
と、永琳を肘でつつきながら慧音もからかう様に言った。
『そうね。みんな可愛いわ。だからみんなで暮らしている訳だし。それは慧音先生も一緒ですよね?』
と、永琳は慧音に訪ねると
『ええ。ホントそうですよ。妹紅が可愛いからですよ。』
とちょっと慧音は拗ねた様に答えた。
4人が妹紅の近くに近付くと妹紅が
『慧音!こんな時間まで輝夜達と何してたんだよ。せっかく作ったご飯が冷めちゃうだろ。』
と言うと、
『ごめんなさい。遅かったから、心配でここまで迎えに来てくれたのね?今日は永琳先生と河白ファクトリーまで出かけてただけよ。輝夜さん達も永琳先生を心配して、迎えに来てただけよ。』
と慧音は優しく答えた。
すると、妹紅は
『べ、別に心配で探しに来た訳じゃ無いよ。ご飯が冷めるのが嫌だったからさ...。』
と言うと、その様子を見て
『ツンデレだ~!ゲラゲラゲラ...』
と言って、てゐが笑だした。
すると、妹紅が
『お、おい!このうさぎは何言ってんだ...。そんなんじゃないってっ!』
と少し怒った様に言うと
『ツンデレ~!ツンデレ~!ゲラゲラゲラ...』
とてゐは更に笑だした。
それを見て妹紅は
『いい加減にしないと、うさぎの丸焼きにするぞっ!』
と更に怒り出すと、
『妹紅やめなさい。』
と、慧音が落ち着かせようとするのと同時に、
『てゐもいい加減にしなさいっ!』
と言って、永琳がてゐの頭にゲンコツをした。
そして、更に永琳は
『ホント妹紅さんごめんなさい。うちのてゐがとても失礼な事を言って。慧音先生も妹紅さんを怒らないで下さい。悪いのはうちのてゐですから。』
と言って、もう一発てゐの頭にゲンコツをした。
すると、てゐは
『妹紅さん、お師匠さまごめんなさい。』
と泣きながら謝った。
しかし優曇華はてゐが皆が見ていない瞬間に目薬をさして嘘泣きをした瞬間を見逃さなかった。
『お師匠さま~、ホントはてゐは...痛っ!』
と優曇華が永琳に言おうとした瞬間、てゐが後ろから誰にも見えない様に蹴飛ばした。
そしてその勢いで、優曇華は転んでしまった。
『優曇華転んでどうしたの?それに何か言おうとしなかった?』
と永琳が聞くと、
『な、何でもありません...。』
と優曇華は答えた。優曇華を蹴飛ばした後、素早く輝夜の後ろに隠れたてゐはゲラゲラ笑っていた。
『慧音早く帰ろうよ。』
と、悪くなった雰囲気を壊そうとした妹紅が慧音に言った。
『わかったわ。帰りましょう。それでは、皆さん協力宜しくお願いしますね。永琳先生も今日はお誘いありがとうございました。』
と慧音が言うと、
『こちらこそ、ありがとうございます。それではまた近いうちにお伺いします。それでは、わたし達はこっちですのでこの辺で...。』
と永琳が言うと、
『はい。それではまた。さあ、わたし達も帰りましょうか。』
と慧音は永琳と妹紅にそれぞれ言って家の方向に歩き始めた。
『次会った時こそ決着付けてやるからな。』
と、妹紅が輝夜に言うと
『はいはい。気が向いたら相手してやるわ。』
と輝夜は言うと、妹紅の方も見ずスタスタと行ってしまった。
その様子を見ていた、永琳は少しため息をつくと、優曇華、てゐと共に永遠亭に向かって歩き始めた。