姫様と永遠亭の愉快な仲間たち
一方その頃竹林の奥にひっそりとたたずむ永遠亭では先ほどの妹紅とのバトルに飽き帰って来た輝夜が一人の女性と話をしていた。
その女性は、かつては月で輝夜の教育係も務めていた「八意永琳」だった。
『姫様、また今日も妹紅と弾幕バトルしていたんですか?お怪我などされませんでしたか?』
と永琳が聞くと、輝夜は
『大丈夫だ!問題無い!』
と笑顔で答えた。
『またネットの影響ですか?ネットするのは構いませんが少しは働いて下さい。妹紅と弾幕バトルするから引きこもらないだけましですが、仕事もしてもらわないとネット禁止にしますよ。』
とちょっと怒り気味で永琳が言うと...
『え~。えーりんそんなケチな事いわないでよ。これでもわたしも考えているのよ。』
と真剣な面持ちで輝夜が答えた。
『姫様がですか?いったい何を考えているのですか?』
と不思議そうに永琳が尋ねると
『それはね...働いたら負けかなと...。それに、わたしは姫よ。遊ぶ事が仕事だわ。』
と自信満々に答える輝夜だった。
『姫様...一度お仕置きが必要かしら?』
ボソッと呟く永琳に対して、その言葉を打ち消す様に輝夜が永琳に尋ねた。
『そ...そんな事より、優曇華とてゐはどうしたのかしら?えーりん知ってる?』
呆れた感じで永琳は輝夜に言った。
『優曇華とてゐには街まで薬の行商に行ってもらってます。もうそろそろ帰って来ると思いますよ。
そんな心配はいいから、姫様には何してもらいましょうかしら?まずは、散らかった姫様の部屋の掃除でもしてもらいましょうかしら?』
とちょっときつめに永琳が輝夜に言うと、
『あっ、そうだ盆栽に水をやりにいかなきゃいけなかったわ。という事で、えーりんわたしは庭に行くから宜しくね。』
と言うと、スタスタと部屋から出て行ってしまった。
『姫様~...。ホント姫はご自分の部屋の片付けもしたくないのかしら?ホント困った姫だわ。』
とつぶやきながら、部屋の中を見渡し少し遅れて輝夜の後を追った。
永琳が庭に面した縁側に行くと、すでに輝夜が盆栽に水をやっている所だった。その様子を永琳が優しく見つめていると、遠くから二人の女の子の声が聞こえて来た。
庭は竹林からの道に面していた為、街から帰って来た優曇華とてゐが永琳と輝夜の姿を見つけ大きな声で叫んでいた。
『お師匠様~!姫様~!行ってまいりました~。』
と叫びながら大きく手を振る二人の姿が見えた。
一人はブレザーを着た、ヨレヨレの一見すると作り物であるかの様なウサギの耳を持つ「鈴仙・優曇華院・イナバ」で月から逃げて来た玉兎。
もう一人はピンクのワンピースを着、半ばから折れたウサギの耳を持つのがイタズラが大好きな「因幡てゐ」で地上に住む妖怪兎だ。
薬の行商に行った2人は、凄く興奮した状態で帰って来た。
『お師匠様~!姫様~!街は凄いですよ~!』
と興奮して話しをしようとする優曇華。
一方てゐもすごい興奮をしている様子だ。
優曇華の話を聞いていた永琳は、
『はいはい。2人共そんなに興奮してどうしたの?いったい何があったの?』
と尋ねると、てゐが
『お師匠様~、あたしも欲しいです~。買って下さい~。』
と興奮したまま答える。
『それだけじゃわからないでしょ。だから何があったの?てゐ?優曇華?』
と聞くと、優曇華が答えた。
『あのですねお師匠様~。今、人間界ではwliってゲーム機が流行っているんですが、街でそれをやってみて欲しくなりました。きっとお師匠様も気に入りますよ~。』
と言うと、いきなり輝夜が話に割り込んできた。
『 ゲーム機?永琳私も欲しいわ。』
と、水撒きをしていたはずなのに、何時の間にか話に加わっていた。
そして、
『優曇華、てゐ、そのゲーム機にはどんなゲームがあるの?』
と、目を輝かせながら聞いてくる輝夜。
『えっとですね。シューティングとかアクションとか色々ありましたよ。姫様の嫌いな運動のゲームもありましたよ。』
と優曇華が答えると輝夜が
『運動?それはいらないわ。シューティングは弾幕ゲームなのかしら?』
と聞くと、優曇華は
『そこまではちょっとわかりませんが、ありましたよ。』
と答えた。
輝夜は
『そのwliってゲーム機すぐ買いましょう。優曇華、てゐすぐに買って来て頂戴。』
と言うと、それまで黙って聞いていた永琳が答えた。
『姫様、ゲーム機はすでにたくさん持っているじゃないですか?まだ買うおつもりですか?』
と聞くと、輝夜は
『当たり前じゃない。ゲーム機は全て揃えるのがわたしのポリシーなのよ。と言う事で、wliも買うのよ。』
と、買うのが当たり前のように答えた。
永琳はため息を吐きながら輝夜に答えた。
『姫様、少しは我慢して頂く事も覚えて欲しいのですが...』
すると輝夜は、
『我慢は身体に良くないじゃない。長生きの秘訣は身体にストレスをためない事よ。』
と、どや顔で答えた。
すると優曇華が、
『姫様は永遠の民じゃないですか~。長生き出来ますよ~。』
と、真顔で答えた。
優曇華の発言に対しててゐが冷たい目で見ながら
『優曇華、冗談もわかんないの?そんなんだからいつまでたっても優曇華なんだよ。』
とニヤニヤしながら言った。
優曇華は「えっ?」っと言う顔をしながら考え込んでしまった。
てゐと優曇華のやり取りをよそ目に永琳は、
『姫様、ゲーム機の件は少し考えさせて貰います。姫様がもう少し言う事を聞くならすぐにでも買うかもしれませんが...。』
と輝夜に言うと輝夜は
『あら?わたしはいつだっていい子よ。だからすぐに買ってね。』
と永琳に言った。
永琳はまたため息を吐きながら
『ゲーム機の件は少し考えます。それより帰って来た事だし、夕ご飯にしましょう。2人共急いで支度して頂戴。』
と伝えると
『はい。わかりました。急いで支度します。』
と答える優曇華と、
『え~、あたしもするの?優曇華だけでいいじゃない~。』
と、我儘を言い始めるてゐだった。
更に、輝夜も
『ゲーム機買ってよ~。』
と駄々をこね始めた。
永琳は、
『我儘を言うならゲーム機は買いません。てゐもすぐに支度しに行きなさい。』
と2人を睨んだ。
てゐはビックリして、
『お師匠様ごめんなさい。すぐします。』
と反省して頭を下げていたが、下げた頭に隠れて永琳には見えなかったが舌を出していた。そして、
『すぐに支度します。』
と言い、部屋の奥へと行った。
一方輝夜は、まだ諦めれないようで駄々をこねていたが、永琳は輝夜の話をまともに聞いていなかった。
そのうち輝夜も言い疲れたのか奥へと行ってしまった。一人残された永琳は、何か考え込んでいた。
『そのゲーム機で...。姫様に運動...。』
暫くして優曇華が呼びに来た。
『お師匠様~支度終わりました。』
と伝えると、永琳はその声にちょっと驚きながら
『ありがとう。今行くわ。』
と言うと、家の奥へと2人で入って行った。
食事をしている時も輝夜はゲーム機の事で駄々をこねていたが、それはまたのお話。