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遅くなりました。すみません。

ではどうぞ。

箸で弁当にあるおかずを口まで運び夏樹はいきよいよく食べる。そのいきよいはまるで1週間ぶりに捕らえた獲物をハイエナが貪るかのような激しく食べていた。

口の回りにはご飯粒がいっぱいついていて夏樹はそれに気づいていない。

テイラはその男らしい食いに見とれると同時にそんな早いペースで食べるほど美味しいのかなと思い嬉しくも感じていた。

ただ料理の苦手な自分は昨日コックさんに一品教えてくれただけしか調理知識にない、だから朝食べた食事と同じメニューと被ってしまって少し苦笑いをする。


テイラは新しい品をまたコックさんに教えてもらおうと思ったが生憎時間が無いと思ったのだ。


夏樹が倒れたのはきっとお腹が空いたからだわ、と勝手に解釈して、あれ、でも朝御飯はしっかり食べてたけど、と疑問に思ったりもしたのだが、とにかく本人がお腹が空いたと言ってたので急いで作った。


箸をカラになった弁当箱に置き、夏樹は手を合わせてご馳走さまと言う。


「ふぅ、膨れた」


満足げな表情でそう言いながら腹を擦るとテイラはなにやらツンツンと人指し指同士でぶつけあい、目を泳がせてチロチロと顔を少し赤くしながら夏樹を見つめる。見つめられてる本人もテイラに気づく。


「なにもじもじしてんだよ」

「あ、いや、美味しかったかなぁと気になりまして」

「美味しかったと聞かれても朝と同じメニューだったからな、朝言った同じ感想だな、旨かったよ」


夏樹が笑みを見せてそう言うとパァって表情が明るくなり、心の中に次はもっと料理を学んで食べさせてあげよう、と思い夏樹の喜ぶ顔を浮かべさせる。

すると次第に顔を赤く火照らせ、さぁと素早く俯く。


なに考えてるの私は、何か昨日からおかしいし夏樹さんの事を考えるとしんぞうの鼓動が早し…どうしちゃあったんだろう私は。


胸を手に当て心に聞くが返事が戻ってこない、そこで夏樹の顔を再度みるとやはりドキドキしていまう。

本当にどうしたのだろうか。


はぁとため息を吐くが夏樹の顔を見たまんまなので


「お前人の顔を見てため息を吐くのは失礼だぞ」

「ごめんなさいごめんなさい本当にごめんなさい!」


ひたすら謝った。


コンコンと何かを刺す音に二人は気づき、俺らはその音がするほうへと振り向く

そこには無感情な目で夏樹を重視し、呪詛を唱えながら藁人形に釘を刺していくナグの姿が見えて、既に多数釘の餌食になっていた。


釘を指し終え、新たなる釘をポケットから出そうと一時は夏樹から視線をそらすが釘を取った瞬間またもや夏樹の顔を見ようとするが。


「どっこいしょ!」

夏樹の強烈なドロップキックによりそれを阻止した。


「いまの儀式だよねそれ、俺死ねってか!」


地面に這うように倒れムクッと起き上がり、ふて腐れた表情をしながらこう言う。


「夏樹がテイラの弁当食べた、俺は食べたことないのにぶつぶつ」


最後はなに言ってるのか分からなかったが、とりあえずこいつは兄バカということは分かった。


「お、お兄ちゃんにも作ってあげるわよ」

「本当か! いやった! 夏樹ありがとう、お前のきっかけでテイラが俺に弁当を作ってくれる!」

「お前殴っていいか!」


ナグのテンションに苛立ちを持ち、つい突っ込んでしまう。

だがこの兄妹の仲を見て少し羨ましいと思ったのも事実だ。

小さい頃から夏樹の家庭的生活は決して豊かとは言えず、両親は何時も仕事で家に居ない。

当然家族が家ににいないので、何時も孤独を持ち、ご飯の時は虚しくもテレビの音声しか聞こえていなかった。


今の時代が周り、夏樹にも友達と言う仲を持っているので昔見たいに孤独感はないがそれでも家庭がまだ安定していない今でも少し寂しさを持っている。


だから楽しく二人の振る舞う姿を見て夏樹の顔が少し綻びるのも無理は無いだろう。

二人の楽しそうにしている姿を見て夏樹はこう思う。


ああ、早くダチと雪野に会いたいな。


「あ? 何笑ってるんだよ、気持ち悪」


不意にナグがそう言う。


「あ? テメーの兄バカ態度のほうが余程気持ち悪いわ」


ギャアギャア騒ぐナグの言葉を手で耳をふさぐ。


ふぅ、ここは随分楽しませてくれたからな、そろそろおいともしますかな、打倒魔王復活を企む組織を倒す目的があるしな。


すっと立ち上がり夏樹は村に出ることを報告しようと口が動く。


「俺旅があるからこの村を」

「お兄ちゃん、あれ!」


あわただしくテイラの放った言葉により夏樹の声が尽く消え、テイラは指を真っ直ぐその方角を向け、3人は唖然とする

。空が夕陽の様にオレンジに輝くと同時に煙までもが空に集まりオレンジに輝く何かがその煙が妨げる。村が燃えているとナグの思考が横切りそれは二人も同じだった。


次の瞬間爆発音が夏樹達の耳に刺激する。

どーんと鳴り響き、その振動で地面が揺れると同時に夏樹はこう思う。


「敵の襲撃、か」

「夏樹さん、なに言ってるんですか!?」


夏樹の言葉を否定するように怒鳴るテイラの表情は今でも泣きそうな顔になっていた。


「まだ襲撃と考えるのは早い、とりあえず爆発音した所までいくぞ」


ナグの提案に夏樹とテイラは頷き、爆発音のした所に走り抜けた。

しばらく沈黙を持ったまま走り、二人の顔はみるみると蒼白になっていくのに夏樹は気づく、何か話そうと思ったりもしたが夏樹にそのような気を使う言葉が脳内には浮かばずただ黙考に走り続ける。


あの爆発音は爆弾として中身は火薬を使っているよな。

あくまでも俺の考えだがこの村は元々は草原だったのを村に作り替えたとのこと、だから火薬と言うのは恐らく王国に保管されているだろう。

これといった理由はないが獣人族はいままで厳しい生活をして来たと村長やナグ達に聞いた。

食料探しに集中していたなかで火薬と言う二文字を余裕のない獣人族が王国から持ち運びは不可能に等しい。


例え今は安定感保ったこの村でもわざわざ人間のいる所に行って危険を犯すことをしないはず、第一に持ち運ぶ理由がない。


これ等の考えに俺は敵の襲撃かと思うのだが…あの村長の事だ、花火でもして皆を驚かさそうとしたんだが失敗しちゃったって展開とかありそうだ。

いや、花火なんかしたら音と明かりで王国の奴等にばれるから流石にないな。


何だかんだで村に着いて何時も通り平和な村…てことはなかった村は炎に覆われて酷い惨状になっていた。


獣人族の人達は炎に焼かれていたり、体中に血まるけで倒れてもう明らかに意識が捉えただろうと思う人など様々な人が

やられていた。


「い、いや…」

テイラが呻く。

ナグは倒れている人に声を掛けるが応答がない。

夏樹もこの惨状をみて、いままでにない怒りが噴水の様に溢れていた。


「いやぁ愉快愉快、でもこれでお返しが終わると思うなよ」


炎でよく姿が見えないが1人の影がそう言う。


「リーダーあいつらですよ、俺らに歯向かった奴等は」

「何だ、たかが人1人と獣が2匹じゃねぇか」


ガハハと笑うリーダーらしき人は炎をくぐり抜け姿をみせる。顎面に髭を生やし、体格が正にゴリラみたいに筋肉に覆われていた。


「土産だ」

「村長!」


リーダーは腕に村長を担ぎ、まるで人と見ていないように平然と投げ捨てて高笑いしナグがそれを受けとる。


テイラは今でも殺してやりたいと思うが身体が震え体が言う事を効かない。

だがそれでも憎悪に塗れた目付きで奴等を確りと睨み付けていた。


「貴様ぁぁぁ!」

ナグが唸り、攻撃をリーダーに仕掛けるが意図も容易く避けられ背中を掴みボディーに蹴り、ナグはその振動で吐血し更に顔面パンチを食らう。


数メートル吹き飛びテイラの隣に倒れる。

うっ、とナグが呻くように声をあげ、テイラがナグにすがり付く。


「お兄ちゃん!」

「大丈夫だ」

「ハハハ愉快だ、身体能力が優れている獣がこんなくそよぇなんてな!」

「リーダーの言う通りだぜ!」


ここまで一言も喋っていない夏樹は遂に怒りがビッグバン様に爆発した。


「おい」

「あ?」


次の瞬間、夏樹の強烈なパンチによりリーダーの顔が歪み鈍い音が響き、そのまま数メートル吹き飛ぶ。

隣にいた奴等はえっ、とポカンと口を開け呆然と立つ。

ナグやテイラも同様に立つなか夏樹はリーダーの仲間の前に達塞ぎ怒りを露骨に出してこう言った。


「俺が始めて異世界で出来たダチになにしてんの?」



















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