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「「「かんぱい!」」」

村に戻った俺達は早速宴の入り賑やかな夜を迎えた。

辺りには白く長い棒が複数立ち、それに何本か糸が繋がれていて赤く照された提灯がズラリと奥まで並ぶ。門の近くにあった展望台は町の中心部に移動しその展望台に糸を固定してる。


今なら分かるぞ、村長が言ってた萌えと言う言葉を。

展望台には浴衣姿をした女の子が盆踊り的な躍りをしてとにかく可愛い。

あのフリフリ動く尻尾に猫耳を着けた女の子、あれは間違いなく男を誘う兵器だ!

まぁ、浴衣があるなら最初から毛皮服じゃなくて浴衣を着とけよとツッコミを入れたかったが今は抑えておこう、今は女の子を見とれておきたい。


数分立って女の子の躍りが終わり、男のむさ苦しい躍りを見せられる所だったので直ぐに躍りから目をそらす。

周りを見ると、多くの人はテイラの再開に大喜びだったり、多くの人は知らないうちに夏樹の周りを群がったりと村人達は今日という日を楽しんでいた。

ナグはテイラに着いていき、その村人達と楽しく話している。


「いやぁ、女の子の浴衣姿を見ようと命懸けで王国から盗んだかいがあるな」


なははと村長が笑いジョッキーの中に入っているビールを豪快に飲みながらそう言う。

俺は豪快っぷりに飲む村長の姿を見てアルコール中毒で死ぬんじゃないかと心配したが、それよりも王国から浴衣を盗んだ根性に驚いて心配が吹き飛んだ。

てかその年でよくやるよ、実際の所じじぃに化けた若者だったりしてな。


「ん? なに笑ってんだ、永良」

村長が不思議そうな顔をしてきく。

「いや、じじぃの癖によくやるなと思ってな」

にやにやと上目で見る。

「俺はじじぃじゃないぞ!」

憤然な形相をして地団駄を踏む。

いや、その元気に動き回る所が怪しいからな、見た目80は過ぎてるぞ、何処にその年で自由に動き回る力があるんだ。

俺がそう思うと期待通りに話を進める。


「おれはピンピンの86才だ!」

「世間ではそれをじじぃと言うんだよ!じじぃはじじぃらしくよろよろと生きろ!」

「何を言う、俺は後100年生きてみせる」

「いや、そこは人として死んどけよ」



最後の言葉は目を細め呆れた口調で村長に言った。

夏樹と村長で万才してる姿に村人達はあははと笑い腹をおさえているが、夏樹は村長の姿をみて、ふと少し日本にいた時の伯父さんが村長と同じような頑固者だと思い出した。


手を首に着けている丸いアクセサリーを強く握り、夏樹は心の何処かに大好きだった女の子のことを思う。


雪野…


夏樹の表情がいつの間にか暗く村長はそれに気づく、大丈夫か? と聞き、夏樹は首を左右に振り今の思ってたことを忘れ大丈夫だと答え宴を再開する。


だが実際にはなかなか忘れるが出来ず何か気をまぎわらす事が出来ないかと考えた矢先、数メートル離れた先に浴衣姿をした女の子が村の1人に飲み物を汲んでいたのを見えた。夏樹も自分もと思い、村長に一言言ってから女の子の方へと歩きだす。


「おーい、俺にも一杯汲んでくれよ」


村の一人が女の子から離れて行くのをはかって俺は手を振りながら女の子を呼ぶ。

女の子は夏樹の声に反応して、振り向くと尻尾が揺れる。

うん、やっぱり獣人族は可愛いわ、さっき村長に萌えを変態扱いしてしまったことを謝っておこう。


「お飲み物は何を飲まれますか? ただいまオレンジにアモンにタハスがありますが」

「あぁと、オレンジで」


何だよ今の二つは、聞いたこともないぞ、そこら辺は余分に異世界を感じるな。

夏樹がそう思いながらも女の子は言われた注文のオレンジを紙コップにジョボジョボとつぎ始め俺は自然と女の子を見つめていた。


じっと見つめてると女の子は夏樹に気づきニコッと笑みを見せ首を傾げる。

その時夏樹の心にドキッとしたのは内緒だ。


「お待たせしました、オレンジです」

「ありがとう」


夏樹は手を伸ばし紙コップを受けとると同時に女の子の手と手がかさなり、お互いに「あっ」声を放ち数分の沈黙。


「あ、あの」

「えっ、あ、ああ、わりぃ、オレンジありがとうな」


疾風の如くに逃げる俺は紙コップに入っているオレンジジュースが零れるんじゃないのかと思ったが幸い、一滴も零れずにすんだ。


くそっ、可愛い顔して猫耳は反則だろう、あんな首を傾げて笑みを見せるなんて心に矢が刺さり一発でレッドガードだ、おまけに心臓の心拍数が早くなって来てる、深呼吸深呼吸。


夏樹の場合、先程の考えはいつの間にか消えてるがその代わり違う意味での思考を考えていた。



オレンジを飲み終わった夏樹は紙コップを捨て、村長のいるもとに戻ろうかと思ったがナグが夏樹を呼び止める。

その隣にはテイラと…店で怒号を放った女の子がいた。


「こんな所にいたのか夏樹」

「あぁ、ジュース飲んでた、で俺に何かようか?」


見たところ、隣にいる女の子2人は何か言いたげに口がごもって俯いてるが。


「ほら、ちゃんと言うんだろ」

優しげな口調で二人に言い、女の子が俺に向ける眼差しが何かを言う決心をした表情をして口が開く。


「あの、先程は申し訳ございませんでした!」


ガバッと頭を下げて二人の息が重なり声が被る。夏樹は何に対して謝れてるのか分からず頭にハテナマークを浮かべてはナグを見て助けを求める。


「お前を疑ってしまった事について謝ってんだよ」


ああと気づいた夏樹は手をポンと置いて、二人に気にしてないと言う、ナグが夏樹に聞こえないぐらいの小声で気づけよ天然と愚痴をこぼす。


テイラはナグにより説教を受けたが、それよりも村の皆が人である夏樹をまるで何も気にしてないように声をかけていたので自分だけ疑うのは馬鹿らしく感じ夏樹に近づいたのだ。


「えーと、テイラの隣にいる子は…」


女の子は何かを察したみたいで自分の名前を名乗った。


「ターヤと言います」


ターヤと名乗る女の子も最初は夏樹の事を軽蔑をしてたがナグにテイラを救ったのは夏樹と聞き、こうしてお礼を含め先程の怒鳴り付けた事を心に込めて謝ったのだ。


「ターヤか、いや、あの時お金忘れた俺が悪いんだから何もお前が謝る事はねぇよ」

「いや、いくらお金を忘れてたからって、お客様にあんな言葉を…本当に申し訳ございません」


まぁ謝られて悪い気分ではないな、そんなことより二人ともぺこぺこ謝る時に少し、ね、谷間が、見えるんだが目線がどうにもそちらを見てしまうんだよ。

ん? 何かナグの視線が痛い。


「おぉい、今お前何処を見てた?」


剣幕な形相に迫力のある低い声でそう問う。


「べ、別にぃ、どこも見てないけどぉ」


夏樹はそう答えるが目が泳いでる、恐らく多分ナグには張れてるだろう。


「ばればれ何だよ白状しやがれコノヤロぉ!」

「な、何を白状すれば良いのかな、って痛い痛い苦しいぃ!」


夏樹が言葉を言い切る前にナグの腕が夏樹の首を蛇みたいに締め付け首を締める。


「分かった、見たよ見ましたよ、だけどあんなに胸が揺れたり谷間が見えたりしたら男として見逃す訳にはいかないだろ!」

「バカヤロぉ、ターヤのは見て良いがテイラのは見てはならね、テイラの胸を見ていいのはお兄ちゃんである俺だけ、へぶっ」


右ストレート。恥ずかしさマックスまで登り詰めたテイラは我慢の限界が来てお兄ちゃんであるナグの左頬に強烈なパンチを披露する。

強いパンチの衝撃に堪えられなかったナグは数メートル吹き飛びそのまま白目を向いて大の字に気絶。

ターヤも顔を赤くして俯せている。


「あ、あの、すみません見苦しい所を見せて」


苦笑いでそう言って謝罪をするのはいいが、そんなナグを吹き飛ばすパワーがあればテイラが盗賊を倒せば良かったんじゃないか。

あ、人には逆らえないだったな。


「今日は本当に助けてくれてありがとうございました」

「ああ、気にするなよ、さっきも言ったようにただ食いしたペナルティーにお前を助けただけだ」


テイラは再度おじぎをしてそれに続きターヤもおじぎをした。

顔を上げて俺達はしばらくくだらないことをだべっていると

いつの間にか宴は終幕を終えて片付けに入っていた。

俺も何か手伝おうと思い行動に移ろうとしたが、丁度村長が来て片付けは村人達でやるからいいということ。


そのまま4人で再度だべって時間を潰し、次第に俺は睡魔に襲われ、手を口に持っていきあくびをすると、ターヤが夏樹の眠たそうな表情に気づき話はここで終了となった。


が、夏樹は知っての通り泊まる所など存在していない、野宿でもいいが生憎と夏樹は野宿の仕方など知識がない、その事を村長に言うと喜んでこの村の宿泊してくれることになりテイラ達も喜ぶ。


早速テイラ達に宿を案内をされ夏樹は寝床をゲットをしたのであった。

宿の名前は猫耳と書いてあり思わず転びそうになり、夏樹はこれは誰が名前を着けたと聞いたとこ、自信満々に手を上げ、呆れる。

夏樹も猫耳に惚れたのだから人のことは言えないだろう。


宿に入りベットまで案内されお互いにお休みをいい、プツンと電源が切れたみたいに直ぐに眠り今日1日の終幕が終わった。



時は戻り10分前の森のなかでは何者かの影が2人がざわめいていた。


「おりゃあ」


スポっと大根みたいに抜けた人影が1人、夏樹によって埋められていた盗賊のリーダー? がもう1人の影により掘り出され地面に座る。


「ガロン、お前は茂みに隠れていただけの腰抜けだな」


がろんと名乗る男はへっと笑みを見せてはこう言う。


「あんただって俺に掘られなかったらそのまま埋まってたんだぜ、ギルハードさん」

「くくっ、違いねぇや、ありがとよ」


お互いに笑みを見せるが次第に悪い笑みに変わっていく。


「あいつギルハードさんのことリーダーと勘違いしてましたね」

「ああ、俺達のリーダーは洞窟にいらっしゃる、この惨状をリーダーに報告しよう、恐らくあいつは獣人族の村にいるだろう」

「くくっ、リーダーが出ればあいつも終わりですね」


最後に森の全体に奴等の高笑いが響き渡った。




コンコンとドアに2回ロックするテイラはドアの奥に返事がないことにドアを開けて奥に入る。

夏樹はまだベットに寝ており、肩を揺らすがなかなか起きない、それどころか布団に潜り込む。

それでもくじけないテイラは少し恥ずかしながらもテイラも布団に潜り込み夏樹にすがり付く。


夏樹の視点では、ん? なんか背中に柔らかいものが…だけの感想でまだテイラが夏樹にすがり付いてるなど気づいていない。

すると何やら夏樹の耳に誰かのすぅすぅと寝息聴こえ、そこでようやく気づいた。


「…何でいんの?」


夏樹が声を放つが寝返りするだけであとは反応を見せない。

ふと夏樹の視界に左右に揺れる尻尾がはいった。

そこで夏樹は昨日村長の言っていた「獣人族の尻尾を触るとひゃあっと可愛い声が出るんだぞ」という言葉を思いだした。ごくりと夏樹の喉に唾が通る。

良いよな、まぁ答えは聞いてないけど。


「えい」

「ひゃあっ!」


ふさふさと艶のいい感覚が夏樹の手に触れる。

お、固さはあるがなんと言えばいいのかしいていえばタオルをキツく巻いた状態ににているな。

俺がそう思った束の間、テイラの手のひら俺の右頬のすぐそばまで来てる事にきづき避けようと思ったがもう遅かった。


「へぶっ」


熱いヒリヒリした熱が俺の右頬に走ったと思ったがそこまで痛くなかった。

テイラを見ると沸騰したように顔が赤い。


「おはよう、テイラ」

「あ、おはようごさいます…って違います! 何でいきなり尻尾を触るんですか!」

「いやだって、起こしても起きなかったからだけど」


頭をポリポリかきながらそう答える。


「何か凄い敗北感があるんですけど」


少し不機嫌になったが直ぐに吹っ切れたようで笑みを見せて下に朝ごはんがあることを教えて貰い、俺達は下のへと降りる。

昨日は意識が朦朧としてたがテイラがここの宿で働いているというのは頭に入っていたため夏樹はあまり朝にテイラがいることに驚いてはいなかった。


がつがつと貪るように夏樹は次々に食べ物を口に運ぶ。

その夏樹の美味しそうに食べてくれる姿を見たテイラはつい心が喜び、軽くガッツポーズをとる。


テイラは助けてくれたお礼にと深夜遅くから自分で料理作っていた。

普段は料理人がいるのだかていらのあまりにも熱心に懇願するので料理人の心が折れたのだ。


「おお、旨かったごちそうさま」


心が籠ったお礼についテイラの顔が破顔する。


「私は今からアモンの実を取りに行くのですが夏樹さんもどうですか?」


ああ、どうしよう、このままここにいても暇だしな、ついて行けばどうせ手伝いだろうけどまぁ手伝いだけなら別にいいか。

それにアモンの実がどんな実なのか興味あるしな。


「ああったよ、俺も行く」


食器をさげた俺はそのアモンの実が何処になっているのかを聞く、どうやらここの村から少し離れた所になっているらしい。

木材で作られたドアを開けて、地面を足で踏み、手を天に向け深く伸びる。

ついでに空を見上げると今日も快晴だった。


はぁと1つのため息。

結局元の世界に帰りずまいか、いったい何が目的で俺がこの世界に来たのか全然分からない。

日本に帰って早くダチとだべりたいのにな。

そう言えば安木はちゃんとごはん食べてるかな、あいつんちけっこう貧乏だからな、よく栄養失調で救急車に運ばれるもんな、心配だ、まぁそこは仲間がカバーしてくれてるだろう。


「夏樹さん、どうしました?」

「ん? あ、なんでもねぇよ」


テイラは不思議そうに首を傾げるが行きますよと言って前を向き、その後に夏樹がついていく。

しばらく歩くと俺の頭ぐらいの大きさの木が見えてきた。

テイラから聞くとそれがアモンの実だそうだ。


「よし、じゃあいっちょ採取といきますか」


腕を十字架に組みストレッチをする。


「夏樹さん、これで取ると便利ですよ」


はいとそこら辺の地面に置いてあったハサミを渡し夏樹はそれを受けとり作業に移る。

見た目緑色をした木の実、例えるならミカンの緑バージョンだと思うが、どれ1くち。


手に持ち口に持っていくとシャキっと音が聞こえ夏樹の耳に

刺激した。


「バカうま」


なんだこれ超がつくよこれ、シュワァと広がる果汁、これは炭酸が含まれているのか? 味は…りんごだな、広がる果汁の炭酸にリンゴの味、うん旨いな」


「味見して見ました?」


夏樹がアモンの実食べて感動してるのに気づいたテイラはそう問う。


「ああ、すげぇうまい」


夏樹は目を輝かせながらそういいテイラはニコッと笑みをみせた。


「それはよかったです、でも味見だけを集中するんじゃなくて採取のほうも宜しくお願いしますね」


最後に釘をさしてテイラは作業に戻った。

夏樹はもう1つと思い、アモンの実を手に取るが。


「あれ、何か視界がぼやけて見える」


目を手で擦り再度実を見るがやはりぼやけて見える。


「…っ」


次は頭に激痛が走った。

なんだこれ、思いっきりバットで殴られたぐらいの痛さだ。

そう思いながらもドンドン頭痛が激しくなる。

次第に夏樹は意識が遠くなり気絶した。
















































すみません、夏樹がこの世界にきた理由まで書こうと思いましたがそこまで書けませんでした。

大変申し訳ありません。


感想、評価、誤字、おかしいなと思う所があれば何時でもまっています。

だめ押しでも歓迎です。

とにかく自分はまだまだなので、だめだと思った所があれば頑張って直していきたいので報告を宜しくお願いします。


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