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夏休み。別に特別な行事や、家族と旅行に行ったりもない。
ひたすらに無駄な時間だった。友達なんてこんな限界集落にいなかった。一番近い友達の等子の家までは5km以上離れていたし、兄弟もいなかった
しょうがないので母に150円ねだり、駄菓子屋に向かった。
靴を履き、外に出るとあまりに暑かった。とてもこんな暑さの中一人でずっと歩くのは無理だと思って引き戸を開けようとした。開かなかった。
どうやら母が鍵を閉めたらしい。我が家はとても古い家なのでインターホンなんてハイカラなものはついていない。
現在の装備は麦わら帽子と150円。これでなんとか駄菓子屋に到着するしかなかった。
直射日光を浴びながら、午後4時の今。なんとか駄菓子屋に到着した。
途中高校生の集団に出会したが、そんなこと気にせず駄菓子屋に向かった。
自分でも驚く様な素早さで駄菓子屋の冷蔵庫からラムネを取り出し、100円玉を店のおばちゃんに手渡して、ベンチに座りささっとラベルを剥がし蓋となっているビー玉を押した。
そうするともちろん溢れてくるが、そんなことは気にせず迅速に水分を吸収した。
ラムネのの瓶は10秒とたたないうちに空となった。最後の方はビー玉が飲み口に引っかかって飲みづらかった。
ふぅ一息ついて空を見上げる。もう夕方だし、太陽は自分から見て左の方にあった。
そっちのの方にゆっくり顔を合わせていくと、白いワンピースを着た。自分より明らかに年上の女の人がいた。黒く長い髪を靡かせていた。
僕はとっさに顔を逆方向に回した。何を考えているかわからなくて怖かった。
怖くてその姿勢から固まったままでいると、その人が近づいてきた。
僕の座っているベンチの後ろの方、冷蔵庫がある方だ。
バタン、という音が2回響く。あの冷蔵庫にはあと3つのラムネ以外何も入っていなかったはずだ。
おばちゃんのところで会計を済ましたらしく、僕の座っているベンチの方に来ている。足音でわかる。
そのお姉さんは僕の隣に座ると、僕とは違い、何かしらの方法を使ってこぼさずにラムネを開けた。
お姉さんの喉が鳴る音が聞こえる。それと同時に、ひゃっくりの様な音が聞こえた。
普通にひゃっくりかと思っていたが、少し違う感じがした。
これは多分泣いている。
父に、お前は男なんだから紳士な行動を心がけなさいと言われていた。
泣いてる女の人を放置して帰るのはどうなんだろうか、と思い、勇気を振り絞ってお姉さんの方を見た。
やはり泣いていた。
何か不快な涙でなく、やり切った涙。悔しさの涙って感じだった。
僕は大丈夫ですか、とかいうはずだったのに、咄嗟に口が動いていた。
「きれい、、」
自分でもこの発言は、変態か気狂いのそれだと思ったが、自分の体が小学生だったので許されたようだ。
少し動きが止まったと思うと、今度はお姉さんの方が顔を逸らした。肩が震えている。だんだんその震えが大きくなり、最終的にはケラケラと笑い出した。
「何か面白いことあったんですか」と言ってしまった。自分でも自分の生意気な発言が原因だとわかっていたのに。自分の顔が赤くなり出す。
笑いながらお姉さんが喋り出した。
「だって、お前みたいなちびっこが私に初対面で行った言葉がキレイ、だよ?ちょっと生意気すぎて笑っちゃうよ」
赤かった自分の顔が、さらに赤くなっていった。
笑い終えたお姉さんが話しかけてきた。一瞬シカトしようと思ったが、父の言葉が頭をよぎった
「実は好きだったやつに告白したらさ、もう彼女はいるって言われちゃったの。それが辛くって。帰ろうとしてたらこの駄菓子屋についてさ。あいつとよく行ってたんだよね。ここ。
それで辛くって泣いてたら隣にいた生意気なチビに『キレイ』って言われちゃったわけ」
「そうですか、、、」
何故だか申し訳なくなってきていた。
気まずくなってきたので立ち上がり、帰ろうとすると、
「もう帰るの?じゃあ一緒に帰ろう」と言われた。いきなり手を握られた。
若干汗ばんだお姉さんの手を感じながら、少しの緊張を抱えて帰路についた。
後ろから迫ってくるトラックに気づかずに。
誤字修正にAI使ってます




