双子の姉が、自分の婚約者とキスを。婚約者を取られた公爵令嬢の新たなる恋
フォレスティーナ・ラセル公爵令嬢は信じられない光景を見た。
姉ミレンティーヌが、自分の婚約者、エドワード・ハリス公爵令息と仲睦まじく、客間のソファで抱き合っていた。二人は熱い口づけを交わしていて、フォレスティーナが扉を開けた途端、エドワードがこちらを見て、え?という顔をした。姉ミレンティーヌはこれみよがしに、にやりと笑ってこちらを見た。
エドワード・ハリス公爵令息とは政略で結ばれた婚約者である。歳は同い年の17歳。
彼は金髪碧眼でとても美しくて。フォレスティーナは彼と会った途端、恋に落ちた。
ラセル公爵家の次女であるフォレスティーナはハリス公爵家の長男エドワードに嫁ぐ為にこの婚約が結ばれた。
長女である姉のミレンティーヌと、双子の姉妹である。波打つ金の髪に青い瞳。美しい双子の姉妹として有名だ。同じ顔をしているので、ドレスの色で区別するように今までしてきた。
姉は華やかな桃色のドレス。フォレスティーナは落ち着いた青のドレスを着るのが暗黙の了解である。
フォレスティーナだって華やかな桃色のドレスを着たい。
でも、姉と区別がつかなくなるので、それは諦めて過ごして来た。
今日は愛しいエドワードが会いに来る日である。
フォレスティーナは朝からオシャレをして、青のドレスを着て、客間に足を運んだのだ。
エドワードが来たとメイドが知らせてきたので。
そうしたら姉ミレンティーヌが、エドワードとキスをしていた。
それも姉は青のドレスを着ていたのだ。
フォレスティーナは叫んだ。
「お姉様。どういうつもりです?わたくしの婚約者、エドワードと口づけをするだなんて」
エドワードは驚いたように、立ち上がって。
「え?フォレスティーナではないのか?だって青いドレスを着ているじゃないか?」
ミレンティーヌは口端を歪めて、
「あら、エドワードがあまりにも素敵なので、ちょっとキスをしただけじゃない?」
「お姉様にだって婚約者がいるじゃない。ジェイド・カイセル公爵令息が」
「彼は冴えないじゃない。それに彼はもうすぐ30歳。ずっと年上よ。ねぇ。提案があるの。わたくしがエドワードと結婚するわ。ハリス公爵家に嫁いであげる。貴方がこの家を継げばいいじゃない。ジェイドと結婚して。それがいいわ。ね?エドワード。どうせ同じ顔をしているのですもの。わたくしが貴方と結婚してもいいわよね」
エドワードが何て答えるか、フォレスティーナはエドワードを見つめた。
彼とは仲良く過ごして来た。去年結ばれた婚約。エドワードは会いに来るたびに花束を持ってきてくれて。赤の薔薇の花は大好きだったのでとても嬉しくて。
嫁ぐ予定の王都にあるハリス公爵家にもこちらからも出向いた。ハリス公爵夫妻にもフォレスティーナは気に入られて。
ハリス公爵夫人は、
「フォレスティーナはとても熱心にこの家の事を覚えようとしてくれるのね。貴方が嫁いできてくれるなんて嬉しいわ」
そう言って貰えた。
嬉しい。早くエドワードと結婚したい。
エドワードとも色々と話したのだ。
フォレスティーナは、
「わたくし、ハリス公爵家に嫁いだら、もっと色々と勉強して、貴方のお役に立ちたいと思っておりますの。だから色々と教えて欲しいわ」
「君は勉強熱心だね。そう言ってくれてとても嬉しいよ」
「早く、結婚したいですわ」
心が通じている。何もかもうまくいっていると思っていたのに。
エドワードは、姉ミレンティーヌを抱き締めて、
「私はミレンティーヌでもかまわないよ。どうせ同じ顔をしているんだ。それに、ミレンティーヌは口づけをさせてくれた。私に甘い言葉を囁いてくれた。それに比べてフォレスティーナは、君は真面目過ぎる。堅苦しいと思っていたんだ。だから胸がときめかない。ドキドキしない」
「え?貴方はわたくしの事を好きではなかったの?薔薇の花束だってくれたじゃない?わたくしハリス公爵家に嫁ぐのを楽しみにしていたのよ」
「誠に申し訳ないが、私はラセル公爵夫妻に話をするつもりだ。ミレンティーヌに婚約者を変えてくれないかと。私はミレンティーヌが相手だと胸がドキドキする。ああ、もしかして昨日会ったのも」
ミレンティーヌは微笑んで、
「わたくしよ。わたくしが昨日、貴方の家に押し掛けたのですわ。庭で熱い口づけをしたのもわたくし。愛を囁いたのもわたくし」
「やはりそうなのか。急に魅力的になったと思ったんだ。納得したよ。私が結婚するのはミレンティーヌしかいない」
フォレスティーナは怒って、
「貴方は口づけをさせてくれなかったからって姉に婚約者を変えるのですか?」
「だから、恋をしたと言っただろう?昨日の口づけで私は胸がドキドキした。堅苦しい君なんて大嫌いだ。いいじゃないか。同じ家の令嬢だ。私がミレンティーヌと結婚して、君がミレンティーヌの婚約者だった男を婿に迎える。万々歳だ」
わたくしの気持ちは?エドワードに恋していたわたくしの気持ちは?
わたくしはハリス公爵家に嫁ぐのを楽しみにしていたのよ。
それなのに、なんてこと?姉に婚約者を変えるだなんて。
ラセル公爵夫妻である二人の両親にエドワードは話をした。
ラセル公爵は、
「フォレスティーナ。エドワードとミレンティーヌの気持ちが固まっているのなら、お前がジェイドと結婚し、このラセル公爵家を継ぐがいい」
フォレスティーナは怒りまくって、
「お父様。お父様はお姉様に甘すぎますわ」
母であるラセル公爵夫人も、
「貴方がこの家を継いでくれた方が安心するわ。だから、ここは諦めて。ね?フォレスティーナ」
姉ミレンティーヌは、両親の承諾を得て、エドワードに抱き着いて、
「嬉しいわ。貴方と結婚出来るのね。エドワード」
「ああ、君が私の結婚相手で嬉しいよ。ミレンティーヌ」
抱き合う二人を見て悲しかった。
誰も自分の味方はいないのだ。
青いドレスなんて大嫌い。
わたくしは、自分の恋を叶える事が出来なかった。
フォレスティーナは一人、部屋で涙を流した。
姉と結婚するはずだったジェイド・カイセル公爵令息と会う事になった。
ジェイドは赤の薔薇の花束を持って会いに来た。
彼は美男という訳ではない。もうすぐ30歳になるという17歳のフォレスティーナとは歳が離れていて、黒髪で青い瞳の地味な感じの男だった。
「この度の婚約者変更、承諾しました。私としましても、この家に婿に入るのなら、どちらのお嬢さんでもかまいません」
父ラセル公爵は、
「すまないね。ジェイド。ミレンティーヌの我儘で。フォレスティーナはとても真面目で優秀なんだ。君と気が合うと思うよ」
ジェイドはフォレスティーナに向かって赤の花束を差し出して来た。
「ジェイド・カイセルと申します。フォレスティーナ。よろしく頼むよ」
花束を受け取った。
嬉しくなんてなかった。
エドワードから貰った赤い薔薇の花束は嬉しかったのに。
ちっとも嬉しくない。
薔薇の花束を相手に投げつけて、馬車に乗り込む。
「ハリス公爵家にお願い」
御者に頼んでハリス公爵家に向かった。
ハリス公爵家につくと、エドワードに面会を求める。
ミレンティーヌがすでに来ていて、客間に通されると、エドワードと共に姿を現した。
フォレスティーナは叫んだ。
「わたくしのエドワードを返してよ。わたくしがこの家に嫁ぐはずだったのよ。それなのに。お姉様が盗ったんだわ。お願いだから。返してっ。エドワード。貴方もわたくしを選んでよ。わたくしが真面目でいやなら、性格を改めるわ。お願いだから。エドワード。わたくしを選んでっーーー」
エドワードは一言。
「なんてみっともない」
ミレンティーヌも吐き捨てるように、
「わたくしがエドワードと結婚することが決まったのよ。帰りなさい。フォレスティーナ。ラセル公爵家の恥よ」
ハリス公爵夫人が出て来て、フォレスティーナの手を取って
「さぁ、こちらの部屋へ。落ち着いて、お話をしましょう」
ハリス公爵夫人の部屋に連れて行って貰った。
ハリス公爵夫人の胸で泣いた。
泣いて泣いて泣いて。ハリス公爵夫人は、
「酷い息子でごめんなさい。貴方がエドワードと結婚するのをわたくしも楽しみにしていたのに。夫も今回の婚約者の変更に賛成してしまって」
「こ、こちらこそ、取り乱してしまって。申し訳ございませんっ。わたくしがいけなかったの。わたくしが姉より魅力がなかったから」
「いいえ。貴方は貴方の良さがあるわ。貴方はとてもこのハリス公爵家の事を考えてくれた。貴方の真面目な性格、わたくしは好きよ。本当になんの力にもなれなくてごめんなさい」
ハリス公爵夫人は泣いてくれた。
フォレスティーナは、解ってくれる人が一人いてくれただけでも救われる。
そう思えた。
エドワードの事を諦める事にした。
ジェイドとの付き合いが始まった。
ジェイドは一生懸命、ラセル公爵である父について領地経営の勉強をしてくれている。
フォレスティーナもラセル公爵家を継ぐので、ジェイドと共に父について領地経営の勉強をした。
ジェイドはフォレスティーナに、
「私はこの通り、冴えなくて。女性を喜ばせる言葉も上手くいえない。申し訳ない。よく、ミレンティーヌにつまらない男って言われていたんだ」
フォレスティーナはジェイドに、
「わたくしもエドワードに真面目で魅力がないと言われたわ。一緒ね」
二人で顔を見合わせて笑った。
この人となら、穏やかな家庭を築いていける。
激しい恋心が無くても。そうフォレスティーナは思った。
数日後、フォレスティーナがうっかり躓いて、足に怪我をした時に、すっとんできて心配してくれたのがジェイドだった。
「足に怪我をしたって?大丈夫じゃないよね。私に出来る事があったら何でも言って欲しい。君の足の代わりになるよ」
ジェイドはそう言ってくれて。
足の怪我に効くという薬草をギルドから買い取ってもってきてくれた。
なんて優しい人。とても嬉しい。
でも、同時に疑問が湧いた。
「え?ギルド?貴方、何でギルドで薬草を買ったの?」
「知らなかったのかい?私はギルドで薬草採取の仕事を時々しているんだ。冒険者登録をしていてね」
「知らなかったわ」
その割に、筋肉がついているんですけど。ジェイド。本当に薬草採取の仕事?
何か隠している。
そう思えるジェイド。
足の怪我が治ったら、カイセル公爵家に行ってみようとフォレスティーナは思った。
一月後、カイセル公爵領に行ってみることにした。
そこにいけばジェイドの事が解るに違いない。
馬車の旅をするには時間がかかるので、魔族に金を払って、転移魔法で転移することにした。カイセル公爵領にある彼の屋敷にである。
ジェイドの両親であるカイセル公爵夫妻に会う事にした。
ジェイドは王都の屋敷にいるはずなので。
先にカイセル公爵夫妻に会いに行くことを伝えた。
数日後、魔族の転移魔法で転移して、カイセル公爵領の屋敷についた。
門をくぐり、屋敷に続く道を歩きながら驚いた。
「何?この庭にごろごろしている骨は???」
大きなドラゴンだろうか?骨がごろごろと庭に転がっているのだ。
玄関で公爵夫妻が出迎えてくれた。
カイセル公爵が遠い目で、
「息子が討伐したドラゴンの骨だ‥‥庭にアレほど置くなといったのに」
カイセル公爵夫人も、
「あの子は次男で自由に育て過ぎてしまって」
ジェイドが魔族の転移魔法で王都から転移してきた。
慌てたように、庭に現れて、
「何故?フォレスティーナ。領地の屋敷に?」
「ご両親にご挨拶をしようと思ったのですわ。この庭は?」
カイセル公爵夫妻がとおおいい目をした。
庭に転がるドラゴンの骨……骨、骨、骨…
カイセル公爵は、
「ジェイドはS級の冒険者をしている。だが、だがもう引退させるっ」
夫人も慌てたように、
「そうですわ。もういい歳ですし、このように討伐したドラゴンの骨を転がすようなことは二度とさせませんわ」
フォレスティーナはジェイドに向かって、
「ジェイド。貴方は我が家に婿に来るよりも、冒険者として生きた方がいいと思いますわ」
カイセル公爵夫妻に、
「S級冒険者を我が公爵家の婿に迎えるなんて、もったいないですわ。この話、なかったことにした方がよいのではないでしょうか」
カイセル公爵が、
「いや、ラセル公爵とは話し合っていて、いい加減に息子も落ち着いて欲しいと。だからそちらへ婿入りの話を」
カイセル公爵夫人も頷いて、
「そうなのよ。骨は、骨は持ち込まないように、言い聞かせますから。どうか。どうか」
ジェイドはフォレスティーナの手を握り締めて、
「冒険者は引退する。だから、どうか、婿入りさせて欲しい。お願いだ。庭にドラゴンの骨を転がすような事はしない」
あまりにも真剣にジェイドやカイセル公爵夫妻が言うので頷くしかなかった。
その夜は、屋敷で歓待された。
カイセル公爵夫妻と色々な話をした。カイセル公爵領は良質な宝石が採れるのだ。
ジェイドは客間で二人きりになった時にフォレスティーナに、
「今度、エメラルドの首飾りをプレゼントするよ。私が自ら掘ってくる」
「いえ、自ら掘りにいかなくても。危険な事はやめてくださいませんか?」
「でも‥‥‥私はラセル公爵家に婿入りするにあたって、君を幸せにしたいんだ。君の為に色々としてあげたい」
「どうして?わたくしを?」
「ミレンティーヌ嬢が婚約者だった時は絶望しかなかった。言いたくはないが、私とは合わなくて。彼女には散々、馬鹿にされた」
「姉が申し訳ないですわ」
「でも、君に婚約者が変わって、私は本当に幸せを感じた。君は努力家で、真面目で。私は君に精一杯の愛を注いでやりたいと思ったんだ」
「わたくしはそこまで魅力はありません。だってエドワードに捨てられたのですもの」
「真面目だから捨てられたと言っていたね。魅力がなかったからと。真面目なのが何が悪い。ふしだらで不真面目な女なんて大嫌いだ。私は真面目な君が大好きだ。私こそ骨を庭に転がしておくし、この通り歳も離れているし、顔は地味だし‥‥‥申し訳ないと思っているよ。でも君と結婚したいんだ」
嬉しかった。こんなに熱く自分を求めてくれるジェイド。
心の傷が溶けていく。涙が流れる。
ジェイドが抱き締めてくれた。
心からこの人が結婚相手でよかった。そう思えた。
数日後、ラセル公爵家に戻ったら、もう関係ない人と思ったエドワードが来ていた。
両親と姉ミレンティーヌと共にフォレスティーナは面会した。
エドワードはフォレスティーナを見て一言。
「フォレスティーナ。やはり君でなくては駄目だ。ミレンティーヌは金遣いが荒くて。プレゼントも高級なものを強請られて。我が領地の事を覚えようとしない。母上も怒っている。婚約者を元に戻さないか?君と再び婚約したい」
それを聞いていたラセル公爵がさすがに怒って。
「そんなに何度も婚約者を変更できぬ。ミレンティーヌをそちらへ嫁入りさせると決まったのだ。きちっと責任取って貰おう」
ミレンティーヌはエドワードの隣に座っていたが、その身にしなだれかかって。
「わたくし、オシャレをしたい年ごろなのですわ。もっと素敵なドレスを着たい。アクセサリーだって沢山欲しい。領地の事は貴方がしっかりと覚えればよいではありませんか。わたくしは夫人なのですもの」
「母は領地経営の手伝いもしているぞ。フォレスティーナだって一生懸命勉強をしてくれた」
「堅苦しいフォレスティーナが嫌いなのでしょう?わたくし、貴方を沢山癒しますわ。綺麗な恰好をして、貴方の目を楽しませますわ。それが妻の仕事ではありません?」
フォレスティーナは思った。
何て自分勝手な人達。なんてなんてなんてっ
エドワードに向かって叫んだ。
「エドワード。貴方と婚約を再びするつもりはありません。お帰りください」
エドワードは焦ったように、
「しかしだな」
「姉の事が好きならば、きちっと責任を持って、添い遂げてくださいませ」
ミレンティーヌはにんまりと笑ってエドワードに腕を絡めた。
エドワードは美しい顔を歪めて、
「こんな酷い女だと思わなかった。これなら、フォレスティーナの方が何倍もマシだ」
マシとは失礼だわ。
こんな男の事が好きだったなんて過去の自分を呪いたい。
フォレスティーナはそう思った。
ミレンティーヌに向かって、
「お姉様がわたくしにした事を許すつもりはありません。二度と、口を聞きたくありません。わたくしに関わらないで」
「あら、たかが婚約者を盗ったぐらいで?貴方が魅力がないのが悪いのよ。ジェイドとお似合いだわ」
反省のない人。同じ顔をしているからこそ、一生、許さない。そう思った。
一年後、ジェイドと結婚したフォレスティーナ。
彼は冒険者をやめて、真面目にラセル公爵家の領地経営の手伝いをしている。
庭にドラゴンの骨が転がるという事態もなく平和だ。
フォレスティーナはジェイドに問いかける。
「物足りなくありません?貴方はS級冒険者になる程、腕を上げたのに。こんな退屈な生活は?」
ジェイドは笑って、
「私はもうすぐ30歳になる。いつまでも冒険者を続けていてもな。両親も落ち着いて欲しいと言っているし。君との生活も悪くないと思っているよ」
「悪くない?」
「いや、猛烈にいいよ」
優しく唇にキスをしてくれた。
ミレンティーヌはハリス公爵家に嫁入りした。
エドワードはミレンティーヌの贅沢に、苦労しているようだ。
ハリス公爵夫人は良い人だった。
時々、彼女と会ってお茶をして、愚痴を聞く。
こちらも、色々と社交界でのふるまいのアドバイスをしてもらった。
ハリス公爵夫人とは良い友となった。
姉ミレンティーヌの事は今でも憎い。
憎くて憎くて仕方がない。
でも、嫁いでいった彼女とは二度と関わらない。
二年後、ミレンティーヌを見かけなくなった。
あまりにも贅沢が酷いので、離縁されたと聞いた。
ラセル公爵家に行くところがなくて戻って来た。
だけれども、その頃、ラセル公爵夫妻は引退して、ジェイドが公爵になっていたので、フォレスティーナは公爵夫人として堂々と、
「お姉様の面倒を見る事はないわ。二度と顔を見せないで頂戴」
「貴方、それでもわたくしの妹なの?」
家にいれず、叩き出した。それ以来、見かけていない。
姉の事だ。強かに生きていることだろう。
エドワードはフォレスティーナへの仕打ちが社交界で広まっていた為、後添えを貰う事が出来ず、今も夜会でフォレスティーナに熱い眼差しを送ってくる。
フォレスティーナは愛しいジェイドに腕を絡めて無視をした。
それが最高の復讐だから。
それに‥‥‥
姉が傍にいなくなったので、色々な色のドレスを着る事が出来るようになった。
大好きな桃色のドレスも着る事が出来るようになった。
今日も夜会に桃色のドレスを着て、大好きな夫ジェイドにエスコートされて、出席する。
胸に煌めくはエメラルド。ジェイドが採ってきて贈ってくれた首飾りだ。
フォレスティーナの宝物になった。
今日も華やかな夜会が王宮で催される。
幸せを感じながら、フォレスティーナはジェイドと夜会でダンスを踊るのであった。
とある、変…辺境騎士団四天王
アラフ「今回は屑の美男はさらわない方がいいな」
ゴルディル「なんでだ?さらえばいいじゃないか」
マルク「未練がましくフォレンティーナを見ている現状が奴への罰になるからね」
エダル「三日三晩の教育が出来ぬのはつまらんな」
騎士団長「もう屑の美男はいらんだろ?魔物討伐に精を出すがいい」
四天王&モブ「「「「「えええええええっ???それは反対っ」」」」」
「屑の美男は我らの希望」
「屑の美男は我らの華」
「屑の美男は我らの至高」
情報部長オルディウス 「屑の美男情報を?いや、騎士団長に禁止され‥‥‥マルク触手を絡ませるなっ。エダルっ。三日三晩の懇願書?ゴルディルっ。暴れるなっ。部屋が壊れ…アラフ、貴様、四天王のリーダーだろう?止めろっ?え?知らんだと?おいこら、モブたちも暴れるなっ」