第六話 前進する絆
一話と三話、改変しました。
鳥が囀る前の早朝に身支度をすぐに済ませ、メーレン村を去った僕らは歩く途中見つけた廃墟で朝食をとっていた。
ちなみに今日の朝食は、目玉焼きとベーコンを乗せたパンと紅茶にした。
「…………………」
新しい仲間になってくれた彼女は、相変わらず無表情でパンを口に運んでいた...。
「美味しい?」
「……………………」
パンを口に運びながら軽く頷く。
……さて、この休息時間を使って。これからどうやって彼女の存在を隠すかだ。
もし、このまま次の村や町に足を運べば必ず貴族達には連絡がいくと思し。
昨日リーベさんが言っていた。この地方でのエルフに対する偏見が強いせいでゆっくり観光すらできないと思う...。
……そうだな、まずはこの耳をどうにか隠さないといけないな。
・・・・・そうだ!。バックに間違って持ってきたあれがあったはず。
僕はマジックバックからある物取り出す。
「あった。小さい時に貰った"ゾウ蜘蛛のレインコート"」
実は、新しい方も貰ったんだけど、、、持ってくるのは忘れたと言うか。
本当は二つ持ってくる予定だったんだ!(ただのど忘れ)。
「ごめんね、食べてからでもいいからちょっとこれ着てみて」
彼女は半分食べかけのパンを一気に口に放り込み、膨れたほっぺのままレインコートを不器用に着た。
「おお。めっちゃいい、似合ってる」
フードを被ったことによりエルフ特有の耳は完全に隠され、純粋無垢な可愛い少女へと変貌した。
「良かった。ちょうどサイズが合っていて、熱くはない?…………」
「……………………」
やばい。この子の名前がまだ分からなかったんだ、、、これからは長い付き合いになるんだから。
あだ名とか、、いやいや。だめだめ、勝手にあだ名とか名前をつけるなんて言語道断。
……とは言ってもなぁ...。それ以外で決めるのは難しいと言うか、厳しいというか...。
(「うーん……………あ、これだ!」)
頭を抱えてながら過去を振り返っていると、ある名案を生み出すことができた。
ガリガリガリ、ガリガリガリ。
「よし、これなら」
地面に、=〇〇(〜△△)の簡単な記号を書いた。
最初に会った時、この子は数学記号で自分の状態を僕に教えてくれた。
ならばこれを使い、記号で会話するならこちらも記号で会話すれば大体の意思疎通は可能ではないかと考えた。
ちなみにこの記号の意味は、何か変わりになる名前を作って欲しいという意味だ。
「……………………」
それを読み取ってくれた彼女は先ほど僕が使って書いた木の枝を拾い、数学記号では無く何かの絵を地面に描き始めた。
「……………………」
(「これは、、、雪の結晶に鳥の羽?」)
彼女の書いた絵は天才画家が描いたかのように独創的で、それに秘めた内容を読み取るのがとても難しかった。
「羽に、風に、吹雪に、、ゆき、雪!。もしかして?、これ雪の精霊」
彼女は軽くうなづき、持っていた枝を地面にゆっくりと置いた。
雪の精霊がモチーフの名前になると、この世界の精霊に関する仮名前にしたいが、それを決める知識の量は僕にはない。
その代わり、僕には。前世にいたとされる精霊や神話の知識は山ほど覚えている。
今回のテーマは雪に関して、かつ精霊で有名な国は、ヨーロッパにあるフィンランド国だったはず。
ラーメ、雪。フィンランド語では。
「ルミ!!!。ねぇ、ルミって言う仮名前はどうかな?。意味はフィンランド語で"雪"、ステキじゃない?」
それを聞いた彼女の目には一瞬、光が通ったかのように見えた。けどそれはすぐに、元に戻り。また、軽い頷くだけに戻った。
それでも、確実に少しづつ彼女は自分の感情を取り戻してくれているなと実感したのであった。
「それじゃ改めてよろしくね、ルミ!」
早く、面白いところまで持っていきたい。