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第三話 感情無きエルフとの出会い

 

 『少年よ、小生の深き傷に癒しをしてくれたことに感謝する。またいつかこの礼に同族と参る』

 

 ・・・・・、ん。寒さで目が覚める。

 辺りは暗く、天井の隙間からはイデアルの明かりが僕を照らしていた。

 すぐ隣で寝ていたフェンリル(母)の姿が無く、変わりに干し草のベットには大量に白い毛が残っていた。

 多分回復ポーションの効き目が早く出て、先に行ってしまったのだろう。僕との約束を守るために...。

 軽く息を吐く。それは白く変わりさっきまでのちょうど良い気温がうそのように思えるほど、肌寒く感じてきた。

 「これで大丈夫かな...」

 干し草のベットからゆっくり立ち上がり、洞窟を出た。

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 村に戻るため。獣道から王道を目指し歩いて30分ぐらいかな、僕はようやく王道に出ることができたのは。

 やはり夜でも周囲に人気を感じず、不気味な雰囲気をつくり出していたことは言うまでもない...。

 フリーデンフォルト村へと続く方向に歩き出そうとした、、、その時。

 僕の視界が道端に倒れているボロボロの少女を発見した。

 急いでその子に駆け寄り、声をかける。

 「大丈夫ですか?!」

 …………反応なく、今度は身体を軽く揺さぶるりもう一度声をかけるが。その子の意識が覚めず。

 「もしかして!」、と思い。その子の鼻に手を近づけて現状の呼吸を確認する、、、「息はしてある...」。

 どうやら最悪の状態ではなかったみたい...。

 それでも、この状況にやばいことには越したことはない。

 (「村に急いで戻るか?、いやダメだ。ここから近い村でも6kmはある。搬送中にいつ急変してもその場で対応できるか。くっ、こんな時こそ僕に多少の医学知識があれば…………あ、そうだ!あれだ!」)

 僕はマジックバックの中に手をかけ、あれを探し出す……。

 「……あった!救急用"リッヒファント(状態を調べる魔石)"!!」

 これを今からこの子の腕に軽く押し当て、現状魔力状態を即時検査する。

 もし、心臓部である魔力の波長が少しでもずれていれば命の危険を知らせる赤色に変化し、それが大丈夫なら青色に変化する。

 すぐさま、その子の腕にリッヒファントを押し当てた、、、結果は。青く光りだし、僕を安堵させてくれた...。

 

 パチ、パチ、パチ。

 あの状況から数時間。もう夜遅く危険な魔物が襲ってくるかもしれないので、今晩はこの森で一夜過ごし早朝にこの子を連れて村へと向かうことにした。

 「………………ん、、、」

 焚き火のすぐそばで寝かせていた少女が目を覚ましたことに気づいた。

 「大丈夫?身体とか痛くない?。あの君のお家とかって………」

 「…………………………………」

 彼女は俯き、終始無言になった。

 やばい、色々いっぺんに質問しすぎて逆に怖かわがらせてしまったか。

 ・・・それか、何か喋りまくない事情でもあるのかな...、どっちにせよここでそれを聞くのは良くなさそうだ。

 僕は焚き火で煮込んだ野菜スープを器に入れ、それを彼女に差し出す。

 「さっきは急に驚かせちゃってごめんね。もし、良かったらこのスープ飲まない?身体温まるよ」

 「…………………………」

 小さく綺麗な手でスープの入った器を受け取り、無表情のまま一口、また一口とスープを口にゆっくり運んだ。

 (「良かった、飲んでもらえて...」)

 スープを飲む様子を見る限り、先ほど傷にかけた回復ポーションの効き目が早くあらわれてくれたみたい...。

 

 ……さっきは焦りすぎてちゃんと彼女の容姿を見ていなかったが、焚き火のおかげで周囲が明るくなった今、よく見てみると。

 容姿が小学生低学年くらいで、純白の髪、耳が尖っている……。

 もしかしたら、家出をしてきたエルフの子かな...。

 僕はこう考えたが、不可解な点もたくさんあった。

 ……でもなんで、こんなにボロボロなんだろうか。魔物に追われて?。…いやよく見ると、この切れ方は刃物によって切られた跡に酷似しているな、、、しかも右腕には古代文字で書かれた古い鉄の腕輪がある。

 それに髪と肌は綺麗な純白、エルフの中で一番珍しい個体、"アルビノ"だと思うが。

 目の瞳はなぜかスカイブルー。珍しい個体アルビノだと遺伝の関係で必ずレッドアイになるって本に書かれていた...。

 しかもエルフ族にスカイブルーい目を持つ子が産まれてきたなんて魔歴書にすら記載されていなかったはず。

 色々と矛盾する点が次々とできてしまい僕の頭はすごく混乱した。

 うーん、分からないな………。でも、今はこれだけ言える。

 彼女の純粋無垢な青い瞳を見ると、その奥は何も光っていなかったこと。

 例えを言うなら、"感情を失った人の目みたいに"…。僕はその理由を探るため、少しだけ賭けに出てみることにした。

 「食べている途中でごめんね、もうちょっと親しみやすく呼びたいから。名前を教えてくれない?」

 「……………………………」

 彼女は器に残ったスープを一気に飲み。 

 その空なった器を置いて近くにあった小さな枝を拾い、それを鉛筆を使うように持った。

 そして、地面に何かしらの記号を描き始めた。

 ◯◯=△・・≠。

 数学記号?、、、イコールにノット。そしてチェックマーク、………もしかして。

 「自分の名前が分からないの?」

 彼女は下に向いたまま軽く頷くと、また地面に何かの記号を描き始めた。

 (「家の形に、イコールノット。文字みたいなのが、デルタ小なり。誰かに追われているのが、マイナス。人の形に、、、えっ……"空集合"...」)

 「……自分が誰なのかも分からない...」

 「……………………」

 彼女の書く動きは止まり、手に持っていた枝をそっと地面に置いた。

 ・・・そうだったんだ。単純な記憶喪失じゃなくて。この子は僕よりも過酷な人生を送ってきたから、こんなに感情表現が薄いのか...。

 聞いちゃまずいこと。僕、聞いちゃったかな...いや、ここで勇気を持ち教えてくれたんだ。それに僕も返して答えなきゃ。

 焚き火を見つめている彼女の近くに座り、僕はこう話す。

 「そっか、、、ごめんね、つらいこと教えてもらって。でも、もう大丈夫。これからはどんなにつらいことがあっても誰かが必ずそばにいて、きっと君の話を聞いてくれるから」

 「………………」

 彼女はずっと焚き火を見て無言だったが。僕にはそれが安心したように見えた...。

 すると彼女は眠くなってきたのか、うとうとし始めた。

 無理もない、時間帯はもうとっくに深夜だ。

 子供はとっくに熟睡しているころ、眠くなるのは当然…。

 「もう夜遅いから、先に寝てていいよ。寝ている間、僕が周りを見張っておくから安心して」

 彼女は一瞬こちらを見たあと、すぐに立ち上がり先ほど寝かせていた寝袋へ向かい。そこで横になるとすぐに深い眠りへと誘われていた。

 「……おやすみ」

まじか、4日も投稿を開けてしまった。

くっ、野球応援さえ無ければ、、、。

今日は頑張って連続投稿を目指します!

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